ランニングゲイルは行き場を失い、テイエムトップダンはついてまわっただけ。キタサンフドー、スターマイサドルは見せ場もなく、エリモダンディーは差をつめたにとどまり、そしてオースミサンデーは直線で故障発生。何かにたたられたとしか言いようのない皐月賞のBRA軍団の中で、もっとも期待の薄かった中嶋サニーブライアンが見事な逃げ切りをおさめました。スタートするや、1コーナーに向かって真一文字にダッシュ。コーナーで極端にスピードを落とし、テイエムキングオーが飛び出せばあわてずに2番手に控える。3コーナーでは再び先頭を奪い返し、馬場の良いところを通って4コーナーで一気に差を開くと、ゴールまでまっしぐらに駆け抜けたのです。レースそのものは走破タイムそのものが遅く、かつ危惧されたとおり有力馬が後方でごちゃつく流れで、自身ノーマークの逃げ馬というポジションを十二分に利用したラッキーな勝利とも言えますが、筆者の目から見ると、ちょうどカツトップエースが春の2冠を制したケースと極めて似た状況であり、「実は強かった」パターンの匂いもします。プリンシパルSを叩いて本番というプランでしたが、中間一頓挫あったのが気がかり。これで中嶋は一気に首位を奪取。
破れた馬の中では、佐々木計テイエムトップダンが京都4歳特別に挑んだものの、見せ場なく15着。(この辺からも皐月賞のレベルは怪しい。)スカーレットメールの故障とあわせ、佐々木計の悲願はどうやらおあずけとなりそうです。2番人気におされた西山ランニングゲイルはプリンシパルからダービーへ。勝てばもちろん2度目の優勝のチャンスは十分ですが、このまま行くとダービーは13戦めとなり、常識的には難しいところか。
牝馬路線で好調なのが、福田尚オレンジピール。桜花賞では馬場の悪さに加え、出遅れてしんがりからという展開にも泣きましたが、それでも直線では良く差をつめて5着、得意の東京ではオークストライアルを先行して粘るという、いつものスタイルで制覇し、重賞3勝め。福田尚はこれで中嶋と僅差の2位。オースミジャイアンが青葉賞4着で出走権獲得できなかったのが残念ですが、今のところ最も優勝に近い存在と言えます。今年の桜花賞はキョウエイマーチのスピードがことさら圧倒的で、BRAの各馬も長谷川プロモーション7着、饗庭ヤマニンザナドゥ9着、藤原弟タニノマウナケア14着と全く良いところ無しでした。
オークストライアルでは宮崎夫グレースアドマイヤが3着でなんとか権利獲得。オースミサンデー・ロイヤルタッチと相次ぐ故障に呆然とする宮崎夫ですが、この馬のオークス出走とエアダブリンの復活で、この春は相変わらず勝負馬券には事欠かないようです。Gアドマイヤは3コーナーであきれるほど手応えが悪くなって、それでも直線差を詰めるあたり脚の使いどころには難しいものがありそうです。
ここまでの主力バーボンカントリーが休養した五十嵐兄はエアウィングスがスイートピーSを圧勝して、最後の最後でクラシックに間に合いました。昨年のエアグルーヴに続き連覇ともなればBRA初の快挙です。同レースで乙川ハナノメガミはおしくも4着。乙川久々のG1出走はこれでアウト。
一昨年のチャンピオン・昨年3位の土田がここにきて調子を上げ、9位に浮上。パームシャドウが山藤賞・マーガレットSを連闘でぶっこぬき、NHKマイルCの伏兵と目されるまでになりました。今度は相手が3枚も上になりますが、勢いで好勝負してほしいもの。
今月好調だったのは五十嵐弟。マチカネフクキタルが君子蘭賞2着ムーニーバレー1着と好調。弥生賞で散々な目にあったサイレンススズカが鬱憤をはらすかのように500万下でまたも1秒ぶっちぎる楽勝。しかしその後球節炎で青葉賞取り消しといったいどうなってるの状態。プリンシパルか白藤Sからダービーを目指すようですが、いずれにせよ、それほど余力残しの仕上げともいかず脚元が本番まで持つかどうかが最大のポイントです。その能力は間違いなく今年の世代ではトップクラス。五十嵐弟は眠れぬ夜が続いているのではないでしょうか。
眠れぬ夜は奥山も同じこと。スプリングSを回避し、ぶっつけの予定だった皐月も回避と始動の遅れているマイネルマックスがマイルCで復活です。常識的には一文もいらないでしょうが、折からの雨、底力と勝負根性の馬だけに奇跡の復活がありうるのでしょうか。昨年夏より守り続けたトップの座を遂にあけわたし、現在3位。西山・KN・BASSIと組んだアットホーム隊も優勝間近ですが、そう簡単に神様は祝福をくれそうもないですね。
今月妙にめだっていたのが藤原兄弟。弟のテイエムコンコルドは最多出走馬ほぼ確定ですが、今月は500万を勝ち上がり、通算2−2−5−7。しかも500万に上がってから5−3−4−2−3−2−1という馬主孝行ぶりで、通算賞金も3000万に迫っています。これもまた競馬です。一方成績の上では弟におされぎみ(というより一度も勝ったことないけど)の兄は、ゴールデンウィークの京都でハードワイヤー・ファンドリグリーン・アグネスレジェンド・ドラゴンクリークと持ち馬5頭中4頭が出走という、なんか早坂社長が来た時のモガミの馬みたいな快挙を達成しました。しかももう1頭もマキシムローレルもその前週に出走しているので、危うく5頭全て同一週出走という空前の記録達成となるところでした。しかし、その5頭あわせて2週で200万しか稼いでいないところは泣かせます。
さあ、残すところあと5週。いよいよラストスパートです。最近とんと話題にならない工藤・野田あたりにはすまないという気持ちもありますが、もはやそのあたりを話題にしていられないほど上位は接戦。なにしろ1位と2位の差は未勝利5着の賞金でひっくりかえる状態です。またひとつのクリアポイントであるベストテンも8位の宮崎夫から17位の太田あたりまでがかなり濃い戦いとなっており、これからの1ヶ月は相当に熱いでしょう。みなさん、軍団対抗戦で最下位になったチームのペナルティ覚えてますか?
では次号は決算号(もしかしたら、ダービー直後と決算と別にするかも)です。毎週のトピックスは是非ホームページで。最後までガンバロー。