これほど強いか、オルフェーヴル。
Dフラッグ主役の座を奪還!

 前号ではクラシックを目前にして、チャンピオン・レーヴディソールの離脱という悲劇にみまわれたDフラッグ。良血トーセンレーヴも毎日杯3着で皐月出走権を逃すなど、決して良い流れではなかったわけです。しかし、ふたを開けてみれば、ドリームジャーニーの弟オルフェーヴルが、東京開催となった皐月賞をあっさりと快勝。これまで兄同様に不器用なところが見えた同馬が、馬群をスパっとわって、1番人気サダムパテックに決定的な3馬身差。スプリングステークスを勝っていたとはいえ、重賞勝ち馬のいない組み合わせのものでしたし、東京の京王杯では惨敗。4番人気という人気がしめすとおり、それほど信頼されていたわけでなく、ハイペースになった場合の単穴という評価。いやいや、それにしてもこの3馬身は大きい。兄よりも、5−6頭前で競馬ができて、現実に東京のG1で結果を出したのであれば、ライバルのサダムパテックがフジキセキ産駒ということもあわせて、ダービーで不動の中心となるでしょう。3着に巻き返したのはねっしー・ダノンバラード。もともと2歳の最重要レースであるラジオNIKKEIの勝ち馬。共同通信杯の不可解な敗戦がなければ、もっと人気になっていたのでしょうが、今回は武豊が前々でたちまわって結果を出しました。14番人気の低評価ながら4着と健闘したのが猪口デボネア。後方一気の脚質ながら、一連の重賞で確実に脚を使っており、ダービーでも混戦になれば怖い存在。きさらぎ賞以来の実戦となった及川夫トーセンラーは外外を回る展開も向かなかったか一瞬伸びかかるものの7着。どこにでも出てくるい〜だの二騎。エイシンオスマンとプレイが8、9着。朝日杯3着の太田光リベルタスはおそらく体調が全く整っていないのでしょう。勝ち馬から10秒近く離されての最下位です。

 オルフェーブルが勝つまでは、xiuマルセリーナが桜花賞を非常に強い勝ち方をしたため、悲願の優勝もありそうに思えました。これで4戦3勝。先着を許したのがレッドデイヴィスとオルフェーヴルだけ。差し馬に有利な馬場だったというのもありますが、直線に向くまでは出るところがないというポジションから、一気に切れた脚は本物。2着のホエールキャプチャはクロフネ産駒で2400が向くとは思えないし、強敵と目されたトレンドハンターは戦線離脱。オークストライアルも決してレベルが高そうに見えない中、オークス優勝確率というか、勝ちやすさでいうと、オルフェーヴルのダービー以上かもしれません。オークスを勝てば海外遠征というプランがありますが、残念ながらBRAの集計期間外になるため、Dフラッグには届かないか。矢車賞でモスカートローザが勝って、オークスでマルセリーナとワンツーとかちょっとだけ考えましたか?

 オークスでマルセリーナの強敵になりそうなのが、なんとかギリギリ間に合ったというキッズ姫グルヴェイグ。久々の実戦である矢車賞。さすがに調教本数も少なく、直線を向くまでは四位もあわてた感じはありましたが、抜け出してからは楽勝。良血だけに、変わり身も大きそう。もともと2勝馬で出走権は抽選かと思われていたところが、戦線離脱、路線変更組も多く、無抽選で出走可能というのにも運を感じます。中1週のローテーションも馬体が減らなければ問題ないのではないでしょうか。

 中1週マンと呼ばれるのがい〜だエイシンオスマン。スプリングS−NZT−皐月賞ーNHKマイルと連戦を続け、その中でNZT優勝。(BRA史上初優勝)NHKマイルでも見せ場十分の4着とタフに活躍しています。もしかして、さらにダービーも出るのか?

 中1週どころか、青葉賞からプリンシパルという前人未到のローテーションでダービーへの執念をみせたのが、Dフラッグのトーセンレーヴ。青葉賞3着は、一昨年までならダービー出走権獲得だったので、Dフラッグのツキもここまでかと思わせましたが、果敢に挑んだ連闘策。しかも1着でなければ意味のないレース。直線一瞬行き場を失いかけたところで、まさにねじふせるかたちでの勝利。母はビワハイジ。父はディープ。これも怖い。

 ダービー最終切符となる京都新聞杯を3連勝で制したのがねっしークレスコグランド。走るたびにレースタイムも上がりも短縮しており、急速に成長しています。ねっしーはダノンバラードとクレスコグランドがワンツーを決めて、Dフラッグの二騎が惨敗すれば、奇跡の逆転優勝の可能性あり。ま、ないけど。しかし、マンハッタンフィズって良い仔を出すなと思ってたら、マンハッタンカフェの妹なのねん。へぇ。同じレースには、せん馬であるため皐月賞にもNHKマイルにも出走できない五十嵐弟レッドデイヴィスが出走しており、もしかすると世代最強かもという評価でしたが、大幅な馬体減も響いて大敗。レース中に骨折していた可能性もあるということです。2着となったのは五十嵐兄の善戦マン、ユニバーサルバンクですが、賞金的にはとても微妙なライン。五十嵐兄はリフトザウイングス戦線離脱。ステラロッサも権利獲得ならずと、ここにきてツイてない感じ。

 NHKマイルは毎度おなじみエイシンオスマンとプレイが4着・5着。この2頭、父がロックオブジブラルタルで先行型。おそらく極めて、能力が似ていて、好走条件が一致するんでしょう。つまり、今後、この2頭が同じレースに出てきたら、まとめて買うか、まとめて消すかという作戦が有効と思われます。さて、このレースは2歳チャンプのグランプリボスが強さを見せましたが、大外から追い込んだのが福田コティリオン。マイルで離れたしんがりから悠然と進み、外から一気にのびた脚はみごと。相当に強いか、外差しが決まる馬場に変わってきたのか、いずれにせよ、ダービー最大の伏兵となったかも。

 さてさて、オークス・ダービーを前にほぼ勝負は決した感があります。Dフラッグの獲得BCUはこの時点で、既にブエナビスタで優勝した年を上回る快ペース。ダービーを勝てば、10年以上前の広瀬拓(ナリタブライアン所有)の記録を上回りBRA新記録となる見込み。ウラヤマシス。では、また。