想定内の意外な結末、及川夫二度目のV!
二冠大野は大魚を逃す。

 長い長い写真判定の末、G1史上初の1着同着。負けなかったという意味で大野アパパネは、昨年のブエナビスタに続く牝馬G1完全制覇という偉業達成。しかし勝てなかったという意味では、賞金が下がり、結果的になかばまで手中におさめた初優勝を手にすることができませんでした。

 逆転で栄冠をつかんだのは、エイシンフラッシュがダービー馬となった及川夫。メイショウボーラーを擁してつかんだ2003年度に続く2度目のV。前回もOKUとの大接戦を制したものでしたが、今回も準優勝のキッズ姫との差はわずかに16500BCU。エイシンフラッシュがローズキングダムをわすかにおさえた皐月賞3着がきいたか、故障明けにもかかわらず、毎日杯・皐月賞・NHKマイルと確実に掲示板に載ったリルダヴァルのがんばりのおかげか。

 それにしても、今年のダービーは人気的にはそれほど荒れた印象はないものの、レースそのものは、ほとんど壊れたレースと言っても良いほどのスローペース。スローだから瞬発力有利とか、マイラー有利とか前残りとか、という理由付けをすることが難しい結果でした。エイシンフラッシュは2000Mの実績と皐月賞3着の地力から、勝って不思議はない馬ですが、勝つべくして勝ったというのとは、若干印象が違うように思います。コースどりも含めてすべてうまくいったのも事実。それが競馬。


さて、恒例の会員レビューです。

優勝:及川夫 14-25-16-13-11-10-6-1-7-4-8-8-14-1
 昨期はやや不振だったものの、わずか1年で鮮やかに復活。宮崎夫以外では、初めての複数回優勝を達成しました。エイシンフラッシュ・リルダヴァルに加え、リリエンタールやエクセルサスなど牡馬陣がまんべんなく活躍。

準優勝:キッズ姫 12-17-21-11-1-3-8-21-34-30-24-15-16-NA-15-24-7-14-13-2
 悔しい準優勝はキッズ姫。ローズキングダムが朝日杯を制し、無敗の2歳チャンピオンとなったところでは、ヴィクトワールピサが無指名だったこともあり、大野との一騎打ちという様相で、実際にそのライバルをとらえたものの、思わぬ伏兵に敗れたというところでしょう。大口投資家として、ルーラーシップ、ラナンキュラス、アドマイヤプリンス、シャガールなど出走そのものがニュースとなるような軍団構成はさすが。

3位:大野 29-16-19-21-7-33-19-16-17-10-2-13-19-3
 アパパネが二冠を達成するも、最後に逆転を許して3位。ピンクカメオを擁して準優勝した時以来の好成績。サリエルが2勝、中日スポーツ杯でも好走するなど、全体的なレベルアップも感じられます。

4位:真王寺公彦 22-9-3-16-5-5-35-6-39-13-28-32-29-29-27-28-28-4
 昨年のドラフトで久しぶりの大量所有を宣言、結果10年ぶりの好成績で、戦略が見事に的中。一流半ぐらいの血統馬を集めた印象でしたが、ゲシュタルトが京都新聞杯を勝ち、皐月、ダービーでも見せ場十分。テイラーバートン、ロジフェローズの牝馬二騎が、体調不良でクラシックを断念したことが悔やまれます。

5位:OKU 12-3-24-3-16-13-3-4-2-5-12-14-4-3-5
 例年どおりの安定感ある成績で5位。重賞勝ちはないものの、エーシンダックマン、ケイアイデイジーがオープンで再三好走。オウンダブルも達成。早めにデビューして一旦底を見せたと思わせる所有馬が、シーズン後半でがっちり稼ぐあたりがOKUの強さでしょう。メイショウホンマルが故障したのが残念。

6位:木村 29-28-25-7-20-30-24-25-15-3-12-6
 毎年エントリー大会では本指名で無抵抗。補欠で頭数確保なので、いったいどうなるのかハラハラもんですが、最後は10頭中7頭が勝ちあがり、バトードールがダートで今後も楽しめそうと、最初からこういうラインナップを狙ったんですよという結果。6位は健闘といえるでしょう。

7位:五十嵐兄 5-6-16-5-5-2-7-10-28-7-5-12-21-5-6-6-10-7-16-7
 昨年久々にベストテンから脱落しましたが、あっさり復帰。例の伝説の新馬発言で笑いをとりましたが、なんのかんのでそこにいたダイワバーバリアンが10万BCU稼ぐのだから戦略的に何の問題もありませんでした。惜しむらくは、そこにエイシンフラッシュもいたというところか。

8位:福田 29-2-27-4-24-8-4-1-24-2-7-18-9-2-8
 モズが重賞2着、トーセンファントムがローズキングダムと好勝負と前半は豊富な駒で首位を争える陣容でしたが、トーセンファントムは故障、モズは復帰が遅れて成長もみられず。一方でギリギリ間に合ったトゥザグローリーがきついローテーションながら、ダービーでも見せ場を作り、まずまずの1年か。

9位:いーだ 2-21-14-17-14-5-38-14-20-15-21-8-16-3-15-9-9
 最近、自分の馬の成績にけっこうこだわりを見せるいーだ。8頭勝ちあがりはかなりの高打率。ただし、ホームランバッターであるはずのレーヴドリアンが、いくらなんでも大振りすぎるよという戦法で、重賞を勝てなかったのは誤算か。はまる時ははまりそうな末脚ですが、今年はめぐり合わせも悪かった。

10位:Dフラッグ 27-24-9-30-2-21-32-5-6-18-13-16-18-1-10
 ザタイキのレース中故障発生が象徴的なシーズンでした。この事故で武豊が騎乗できなくなり、ひいてはダービーの結果にもかなり影響したのではないかしら。ジャポニズムの馬運車脳天激突事件など、いろいろあった年ですが、昨年優勝者としてはベストテンにふみとどまったのは、まあ良し。

11位:Xiu 7-24-6-13-29-32-14-12-14-3-12-3-3-13-2-6-11
 ステラリードが札幌2歳を勝った時には、今年こそというムードも高まりましたが、その後はぱったり。むしろ一旦底を見せたツルマルジュピターが重賞3着やオープン勝ちなど順調に稼動しベストテンからは陥落したものの、そこそこの結果。

12位:五十嵐弟 9-1-25-17-31-25-8-18-9-2-11-5-7-12
 クォークスター、アースガルドなど素材の良さは感じさせながら、開花しきれなかった馬がめだちました。グリューネワルトもそうかな。クォークスターはプリンシパルS2着。去年までならダービー出走OKでしたが、今年から規則改正で涙を呑みました。

13位:FUMI 22-21-21-5-13
 昨年のベストテンから圏外へ。トライアンフマーチの弟インペリアルマーチが思いのほか活躍できず。とはいえ、シャインがシンザン記念2着から皐月・ダービーと出走を果たしたので楽しめたクチか。

14位:太田光 9-5-19-17-2-20-15-24-22-9-11-14-5-1-17-14
 サンディエゴシチーが3連勝で札幌2歳Sを制覇した時は、どこまでいくのかと思われましたが、結果的に2勝めをあげたのはただ1頭。なによりデビュー戦でモノが違うと思わせたディープデザイアのリタイヤが痛かった。

15位:コマツ 25-11-15
 とにかく今年はアグネスタキオン受難の年で、コマツもデイリー杯圧勝のリディルが故障。これ以外にもサンライズプリンスやリルダヴァルもパンクしており、タキオンリスクというようなものも考慮しなければいけないと痛感。開幕前に良血が話題となったリアライズトロイカは結局3着3回と中途半端な結果。

16位:宮崎夫 1-6-11-10-14-3-18-1-12-36-12-1-1-5-17-17-26-17-17-22-21-16
 シーマークの最多出走を含め稼働率は高かったものの、肝心のアドマイヤガッツあらためアドマイヤハーレは結局仕上がらず。何よりダノンパッションのリタイアが痛い。無事ならエイシンアポロン・ダイワバーバリアンとの比較でももう少し稼げたかも。

17位:BASSII 8-28-3-14-19-29-6-14-7-32-26-26-19-23-17
 シンメイフジが新潟2歳を驚くべき末脚で快勝。その後はパワーをもてあましぎみで不完全燃焼でしたが、4頭持ちとしてはまずまずの成果。ゆかりの血統馬コルドバが秋以降全休は残念。

18位:中しま 10-13-1-18-23-33-23-30-24-27-27-19-19-6-4-18
 2年連続ベストテンからかなりのランクダウン。ダイワファルコンが重賞で一瞬見せ場をつくりましたが、これだけのラインナップで3勝はけっこう厳しい。

19位:まりな 43-37-11-33-35-20-21-24-26-29-19
 3頭持ちながらランクを大きくあげて19位。ミッキードリーム・エリモクイーンがそれぞれ2勝。ミッキードリームは好メンバーの毎日杯2着(リルダヴァル・ルーラーシップに先着)なので、故障がなければ面白かったのでは。

20位:猪口 15-3-3-1-7-22-4-15-6-11-8-20
 10頭持ちで55走と稼動は十分、半分の5頭が勝ちあがったのも好材料ながら、いかんせん2勝めは遠く、また重賞うんぬんというスケールを感じさせる馬がいなかったのも事実。捲土重来。

21位:ねっしー 26-15-28-9-11-23-10-11-1-10-15-21
 優勝以降右肩下がりの成績。2勝めが遠かった勝ちあがり組よりも、未勝利のインディアナポリスのほうがスケールが大きいと思いますが、2着3回でシーズン終了。負けた相手がペルーサ、コスモエンペラー、トウカイメロディ(3頭とも後に特別勝ち)というのも運がない。

22位:さいとう 30-20-22
 4頭持ちで30走、4勝。まあ、ある意味猪口やねっしーよりも好成績と言えるでしょう。シャルルヴォアなんかは、デビュー2戦めで重賞挑戦、アプリコットフィズと1秒差なので、順調に使えていればなぁという感じ。

23位:広瀬 12-16-5-13-16-23-28-22-13-36-8-17-21-18-4-16-1-12-12-10-23
 6頭持ちながら、そこそこの話題馬をそろえてきたいされましたが、8年ぶりに20位から落ちてしまいました。勝ちあがったのがキラウエア1頭というのでは仕方ない。金子さんのハワイ馬名という着眼は良かったんだけどね。

24位:宮崎妻 14-3-12-2-36-10-39-9-29-4-16-9-8-33-9-29-29-24-24
 即戦力中心のラインナップの割にはみんな勝ちあがるのが遅いのなんの。惜しかったのはマイネテレジア。東京の未勝利は十分オープンクラスの強さだっただけに残念。

25位:及川妻 5-4-16-22-25
 夫は復活すれど、妻はさらなる深みへ。それほど夫とレベル差のない馬もいましたが、ゴルトブリッツとかラフェクレールとかだんだん弱くなっていった感じ。ミルクマンはPOG期間終了後に馬名登録というむかつく話。これは藤澤リスク。

26位:天宝院透 27-25-37-32-21-25-19-2-12-3-1-18-9-24-25-26
 24・25・26位と毎年順調にランクを下げています。設定1?アドマイヤリイチは5月デビューで9着。6月には抹消。なんだかなぁ。

27位:浅井 7-11-6-4-4-31-34-31-42-16-27-32-15-21-23-25-17-18-27
 14年連続ベストテンに届かず。あ、これ去年も書いた。栗田厩舎とかやっぱ厳しいんじゃないか。化けるとしたら角居厩舎のバルトーロと思いましたが、典型的な順調に使えないタイプだったもよう。

28位:西原ヘリオス 32-20-26-22-5-22-26-25-19-23-28-28-20-30-28
 最下位からは脱出したものの28位。まあ、2頭、3頭もち会員というのは上位の大国とは別次元で語るべきかもしれません。マイネルグートの11走、1勝はそれなりにOK?

29位:けんた 5-9-22-1-14-30-18-6-28-13-39-2-28-10-26-12-27-22-27-27-29
 いよいよ底辺に定住してきたけんた。とにかく1勝はした。マツクニのキンカメなんで、もう少し早く稼動していれば、もう少しなんとかなったかもとは思います。

30位:岡崎 24-32-27-34-31-28-28-20-23-31-26-30
 1年あけて最下位復帰。ルグランヴォヤージは4月デビューで2−1着。もうひとふんばりと思われましたが、どうやら故障とな。そもそも角居厩舎で上位10頭ぐらいに入ってないと、どうしてもデビューは遅れぎみになっちゃいますな。

軍団戦は及川夫・大野の<プロ軍団改>が昨年最下位の汚名をはらして楽々と優勝。大野がまともだと、ここは強いよね。いつもの<THE田ズ>との好勝負となりましたが、<プロ軍団改>が押し切りました。最下位は<さくら>。こちらは前年優勝からおっこち。

ということで大変遅くなりましたが、決算号でした。すぐにエントリー結果号が出る予定。清算は2010年度とまとめて行います。