牡牝のクラシック第１弾は、残酷なまでに明暗をわけました。
圧倒的人気を背負ったＤフラッグ・ブエナビスタ。以前の桜花賞であれば、外枠発走から後方追走というのは、その時点で勝負の圏外と言える流れではありますが、今の阪神コース、少なくなったフルゲートからすると、力の差のある有力馬にとっては、むしろ有利。悠然と最後方からのレースを進め、直線では大外を力強く突き抜けました。中しまジェルミナルとレッドディザイアの反応が良く、またコースを一瞬しめられかけたこともあり、確かにひやりとした瞬間はありましたが、並びかけてからはエンジンの違い。それとともに、今年の阪神は外を回った差し馬の天下という馬場であったことも有利ではあったでしょう。その意味ではダノンベルベールやアイアムカミノマゴはコースと位置どりが厳しかったかも。当然、ブエナビスタはオークスで断然の本命ですが、今年の東京は、先行馬が全部残る特異な馬場状態（マイルＣ、ヴィクトリアと後ろから行った馬は勝負にならない）ゆえに、あるとしたら、前残りでウルトラ波乱というのもありえるかもしれません。
一方、先行脚質、無敗、キーレースを完勝と、ある意味でブエナビスタ以上に期待が集中した福田ロジユニヴァースは、先行激化の流れにモロに巻き込まれ、なんと１４着に大敗。皐月賞で１番人気がここまで負けるのは、フサイチホウオーどころか、なんとサクラホクトオー以来だそうです。中山の実績、ここまで負かした相手を考えると、敗因は流れと体調としか言えませんが、経験則としては、さすがに皐月でここまで負けてしまった人気馬が、ダービーまでに立て直してくるということは、相当に考えづらいところ。
勝ったのは、２号前のＲＰでこの世代の中心と言いきったアンライバルド。いいセンスしてるよなぁ、オレ。もちろん馬券は当たっていません。当たっていない原因となったのがＦＵＭＩトライアンフマーチ。思い切った後方待機からアンライバルドが突き抜けた後を猛然と追い込みました。母はあのキョウエイマーチ。稀代のスピードを先行でなく終いの脚に転化。やっぱ幸四郎はこわいです。ＦＵＭＩは翌週にエイシンタイガーも特別勝ちで、ついに５位に浮上。
３着にはＯＫＵセイウンワンダーが食い込み２歳チャンピオンの面目を保ちました。これ、夫婦で２頭軸マルチで余裕で当たってそうな馬券ではあります。４着に五十嵐弟のシェーンヴァルトも見せ場もつくり、大本命こそ敗れたもののＢＲＡ陣としては実り多いＧ１となりました。
オークスは桜上位のＤフラッグ・ブエナビスタ、中しまジェルミナル。惨敗したＤフラッグ・ダノンベルベールも出走。新勢力では猪口のハシッテホシーノがトライアルからすべりこみました。セールスポイントは２４００Ｍ経験とそこでの強さですが、今回スタミナ勝負にはなりそうにないところがどうか。
ダービーは、福田ロジユニヴァースの巻き返しももちろんですが、皐月賞２−４着のトライアンフマーチ、セイウンワンダー、シェーンヴァルトのうち何頭かは上位にきそう。それ以上に青葉賞を圧勝したいーだアプレザンレーヴが血統的にも非常におもしろいところ。いーだは前年のナイアガラの仇をここではらした格好。兵庫チャンピオンシップであのスーニを破ったコマツ・ゴールデンチケットも出走を表明。もし勝てば、中央未勝利馬のダービー優勝という空前の記録が生まれることになります。この馬は、芝でも２着があるし、ゴールドアリュールの気配がするので怖いです。木村デルフォイは京都新聞杯２着で賞金を加算したものの現時点では賞金１９位で微妙。血統（シックスセンスの下）といい、２４００の特別勝っているところといい、出走できれば大穴の気配です。まあ、マイルＣ組が１頭ぐらいは回避しそうなものですが。
こういうことを書いていて、ふたを開ければ、ロジユニが巻き返して、ブエナが大敗なんてのも競馬の世界ではありますからね。なんとも言えないですよ。では、次号決算号となります。