キャプテントゥーレ、レジネッタ
波乱の戴冠!

 混戦なのはもちろん、誰もが承知。それにしても、桜は三連単700万。

 いやはや、競馬はおそろしい。編集子はどの馬にもチャンスはあるとはいえ、マダムルコントとエフティマイアとハートオブクイーンだけは絶対いらないと思っていましたが、あやうくそのうちの2頭で決まりそうになって、呆然です。

 その中で、トライアル3着ながら、12番人気と低評価だった五十嵐弟レジネッタが強烈な差しを決めて、まずは一冠をゲット。ダートやトライアルでは堅実ながら、芝のGTではどうよという印象だったフレンチデピュティですが、この春は、まずは絶対にいらないはずの芝の長距離でもアドマイヤジュピタが勝ったように、種牡馬として評価を改める必要がありそうです。レジネッタは先行した阪神JFでも大崩れしておらず、今回不当に人気を落としていた感もあり、桜花賞がフロックでは全く無いとは思いますが、さて府中の2400でプラスアルファがあるかというと微妙。人気も微妙。

 期待を大きく裏切ったかたちの太田光トールポピーは、今回流れが特に不利というわけでもなく、それでいて阪神JFより1秒タイムを落としての8着。兄もこの時期に意味不明の不振に陥ったこともあり、ここからの巻き返しはさすがに苦しいか。

 逆に負けてなお展望がひろがったのは、中しまのリトルアマポーラ。実績のないクイーンCからのぶっつけで、大外から5着は価値あり。印象としては府中でさらにというタイプだけに、これは期待十分。中しまはこれ一頭で上位陣逆転は難しいけれども、オディールとあわせ一本もありえるでしょう。

 一方で限りなくついていないのはキッズ姫で、ポルトフィーノが完全に歯車が狂ってしまい、桜は直前に取り消し。追い討ちをかけるように骨折が判明してオークスも断念。世代ナンバーワンのポテンシャルがありながら、まともに力を試されないままになってしまいました。クラブ馬主だけに、復活はするのでしょうが、個人馬主ならこのまま繁殖入りもありえる流れではあります。

 と書いているうちにオークス枠順発表。たかが18頭だての今となっては、有利も不利もあまりないですが、大外に中しまの2頭がふられ、レジネッタは同じく五十嵐弟ライムキャンディと並んでど真ん中。風は五十嵐弟に吹いているか。

 他では府中で完全復活した木村アロマキャンドル。府中の申し子と解釈するか、単なるムラ馬か。もちろんレッドアゲートやソーマジックも注目ですが、BRAから優勝馬が出る確率はかなり高そうです。18頭にもぐりこめなかった五十嵐兄シングライクバードもそれほど力量差はないと思いますが。今期の五十嵐兄はミダースタッチ、ネオスピリッツ、ミゼリコルデ、ピイラニハイウェイともう一皮むけてくれたら、ボロ勝ちもありそうなメンバー構成ながら、ここまでブレイクにいたらず、ベスト5は難しいかも。

 桜におとらず大混戦という評価だった皐月賞。波乱という印象もありますが、弥生賞の4・3・1着で決まったわけで、順当といっても過言ではないでしょう。勝ったXiuキャプテントゥーレはデイリー杯を勝ち、朝日杯でも3着とこの世代で一流といえるだけの実績もあったわけです。まあ、その馬をどスローで逃がした後続の騎手のマインドには大きな問題があったとは思いますが。ミホノブルボンは別格としても、古くはカツトップエース。アイネスフウジン、ジェニュイン、サニーブライアンなど展開に恵まれようがなんだろうが、皐月で逃げて好勝負に持ち込んだ馬のダービーでの好走例は数多くあり、その意味で、骨折が判明したのは残念至極。Xiuは絶好の優勝チャンスがこれで遠のいてしまったか。

 キャプテントゥーレよりも人気になったのはOKUショウナンアルバ、木村ブラックシェルといったところでしたが、どちらも前残りの展開でちぐはぐな競馬で不発。特にショウナンアルバは強気に行っていたら、むしろぶっちぎりまであったんじゃないのという気もします。このあたりが勝負のアヤでしょうか。もっとも、ショウナンアルバが勝っていたら、今期の優勝がOKUで確定していたでしょうから、順位争いとしてはこれでおもしろくなったとも言えます。マーガレットSを圧勝して、マイルCで人気になったファリダットも不発。

 木村ブラックシェルはある程度予想された豊っぽさで、大外強襲の6着。陣営としては極めて遺憾だったのでしょう。矛先をマイルに向けて、NHKマイルCでは力強い競馬で2着と好走しました。さらにもう一度路線を戻してダービーへ挑戦。当然人気にはなるのでしょうが、今年にはいって既に5戦。2000→1600→2400と距離を変えて、4度目の長距離輸送は好材料ではないでしょう。

 実は今期はBRA牡馬陣は空前の不作で、ダービー出走がほぼ確定しているのは、上記のショウナンアルバ、ブラックシェルだけとなっています。木村ノットアローンは除外の公算大。もともと重賞勝ち馬が猫の目状態で、賞金出走ラインが高いのもあり、トライアルで注目されたいーだマゼランとか及川夫ニシノエモーションとか、その他の馬もころころ負けてしまいました。ということで、アルバ-ブラック1点という馬券もありかもしれません。私は絶対買いませんが、東京で強いレースをした2頭という意味では理屈はありますね。

 とまあ、日本ではクラシック真っ盛りですが、アメリカ遠征中の及川夫カジノドライヴがGUのピーターパンSに優勝。いや、行ってみるもんだ、と。実際、このレースはGUとはいっても、優勝賞金10万ドル程度のまさにトライアルのためのトライアルですが、それでも勝ちっぷりはケタはずれでした。2戦めで、遠征で、初騎乗だし。いよいよ次は6月7日ベルモントSに出走。今年はビッグブラウンという10年に1頭クラス(カーリンクラス)がいるのがつらいところですが、まずはご武運を。

 では、次号は決算号です。ばいちゃ。