主役はそろった!
タキオン・オーシャン天命を待つ。

 まあ、新聞やテレビでもさんざん報道されてますが、編集子の職場が大変なことになってまして、それと同時にゲームのプロデュースなんてことも始めたし、テレビにも出たりで、ホント目の回るような忙しさです。リッチマン・プアマンも2ヶ月ぶり、自分で書くのは半年以上もあいてしまって、うまくまとめられるかどうか不安でもありますが、クラシック直前、BRAのレポートをお伝えします。

 まず、ここまでのクラシック路線の全体の流れをおさらいしましょう。

 牝馬路線は、例年どおりダイワルージュ(大野)、リワードアンセル、リキセレナードといったローカル3歳Sの活躍馬がまず序盤の流れをつくりました。この時点ではまずは例年レベルの世代といったところ。ここには、ネームバリュー(及川)、スペランツァ(石黒)といった注目馬もいましたが、その後伸び悩んでおり、早熟だったかという感じ。

 秋にはいってあっといわせたのが、タシロスプリング・テンザンデザートによる宮崎妻のファンタジーSオウンダブル達成。このレースはタイムも早く、この2頭はその後のレースでも人気を集めることになります。そして真打ち登場という感じで阪神3歳牝馬Sを制したのが、札幌で牡馬の強豪と好勝負していたテイエムオーシャン(西山兄)。あふれんばかりのスピードでほとんど持って行かれた状態ながら、他の馬とはエンジンが違うという圧勝。このレースの2・3着がダイワルージュ・リワードアンセルというところから、テイエムオーシャン1頭が抜けており、他は秋以降にデビューしたクラスが意外と小粒で、全体的なレベルは例年よりやや下というところ。

 年があけてチャンピオン・テイエムオーシャンはチューリップ賞をけた違いの強さで圧勝。少なくとも桜はほぼ確定といえるでしょう。感じとしては同じダンシングブレーヴ産駒のキョウエイマーチの桜ぐらい2番手以降に差があるムード。では、オークスはというと、今年はメジロドーベル級の馬は見当たらないだけに、自分との戦いになりそう。一方、ダイワルージュも年明け初戦のアネモネSを見事なレースぶりで勝って、状態は万全。リワードアンセルとは完全に勝負付けがついたか。しかし、テイエムとの差も前回はかなり決定的だった上に、テイエム自身が年明けてパワーアップしているだけに、その差が埋まるかどうか。現状、この2頭にローズバド・ハッピーパスを加えた4頭が桜の主役というのは異論ないところでしょう。

 別路線組で注目はエルフィンSを勝ったフローラルグリーン(猪口)か。底を見せていないという意味では期待が持てますが、見たら案外ということもあるからねぇ。トライアルを使わないというのも常識的には苦しいか。フラワーC2着と健闘のオイワケヒカリ(平山)にもチャンスはありますが、勝ったのがタイムフェアレディではテイエム・ダイワとはかなり差があるか。馬主部門トップの宮崎妻の2頭では、成績的にはトライアル3着のテンザンデザートとなりますが、どうみても1200が限界でマイルでは、よほどスローにならない限り、惨敗の可能性が高そう。馬主としては出ると馬券買うからつらいだけという気も。むしろキャリア11戦、タイムの裏付けがあり、トライアルは休み明けの上に、不利があって競馬にならなかったタシロスプリングのほうが気楽にのって一発があるかも。しかし、まあ全体的には桜はテイエムでほぼ確定。問題はオークスで化ける馬は何かというあたりに絞られてきた感じがあります。クリスSの馬はさすがに間に合わないでしょうが。

 牡馬路線は、マイネルジャパン(奥山)が函館3歳を勝ってBRAとしても幸先良いスタート。まぁ、この馬の場合はいつもの奥山パターンにはまって、今や裏街道まっしぐらという感じですが。むしろ夏に注目されたのは未勝利ながら特別勝ちのウインラディウス(金光)でした。

 秋になるとダンツフレーム(猪口)、トラストファイヤー(大田光)、シャワーパーティ(饗庭)、といったBRA馬を含み、エイシンスペンサー、フジノテンビー、ネイティヴハートなど例年なら十分クラシックレベルと思える有力馬が次々と現れました。しかも、この世代のすごいところは、前記ウインラディウス以下の有力馬がそろった朝日杯で、未勝利を勝ったばかりのメジロベイリー(飯田)が力勝負で勝ち、一方実質的な3歳王者決定戦となったラジオたんぱ杯3歳Sでは、べらぼうに強い勝ち方で連勝してきたクロフネを札幌以来の実戦となったジャングルポケットと新馬を勝ったばかりのアグネスタキオン(宮崎夫)がこれまた、戦慄するほどの強さで破ってしまったという上位グループの底知れない厚みにあります。

 年が明けるとボーンキング(福田)が京成杯を力強く差しきり、ダンツフレームがアーリントンCをダイイチダンヒル(饗庭)が若葉Sを強烈な追いこみで勝つ(しかし、豊も悪ノリしすぎという感もある)など、BRA軍団も上々の成績。例年ならこれらの馬のオーナーはウハウハ状態なはずですが、今年はそれ以上に弥生賞で復帰したアグネスタキオン、共同通信杯のジャングルポケット、スプリングSのアグネスゴールドという3強の強さがまさにそれぞれ三冠レベルと言えるほどのもので、よくて2番手争いという感はいなめません。

 アグネスゴールドが骨折し、BRAのメジロベイリーも春は間に合わないとなると、現在、ひいき目抜きにアグネスタキオンが無事であるなら、皐月・ダービーのニ冠達成の可能性はかなり高く、ジャングルポケットが両レースで2着する可能性も相当に高いと思われます。そこに割ってはいる可能性は筆者の私見ではダービーで逃げた時のクロフネ、皐月賞でこの2頭があまりにも牽制しすぎた場合のボーンキング(見た目以上に底力があるタイプ)と見ますがどうでしょうか。良血の爆発力という意味ではトレジャー(及川)なども怖いわけですが、戦った相手が弱すぎるというのもいえますね。マンハッタンカフェもがっかりだったし。

 馬主順位のほうを見ると、3頭持ちで25戦7勝という宮崎妻が例年以上の粘りを見せています。とはいえ、持ち駒の資質からはトップを守りきるのは至難か。まぁ、回収率からいえば、笑いがとまらない状態ではあります。2位は2年連続4度目のVという驚異的な記録にむけて驀進中の宮崎夫。もう1頭のマイネルエーレもダートで3勝と活躍。まずは、過去2度2着どまりの皐月賞。神様・仏様・河内様という心境か。3位はダンツフレーム・フローラルグリーンの2枚看板で望む猪口。昨年も3位だけに、なんとかひとつ順位をあげたいか。クラシックで掲示板に4回のるというチャンスもあります。僅差の4位にテイエムオーシャンと心中の西山兄。桜花賞は間違いないだけに9年ぶり2度目の優勝チャンス十分。5位はダイイチダンヒル・シャワーパーティの饗庭。このクラス持ってれば例年なら間違いなく優勝できそうなものですが。6位はダイワルージュの一発にかける大野。勝っても負けてもクラシックでここまで人気になること自体初めてですから、楽しんでください。一応優勝争いはここまでか。7位福田はボーンキングですが、逃げるか差すかというあたり難しそう。でも馬券的には楽しみもありそう。8位五十嵐兄は、ここにきてコイントス・ミレニアムバイオが調子をあげており、前年の屈辱はなんとか晴らせそうです。しかし、馬代金がなぁ…。9位金光。どんな馬を選んでも常にこのぐらいの成績というのも一種の芸ですな。勝ちあがる馬もいるし、注目される馬もいるんですが、そこからブレイクしません。10位はマイネルジャパン以外にタケイチイチホース(フェアリーS2着)というおそろしく渋い馬を持っている奥山。3着のサクセスストレインから寸法をはかるともしかすると、けっこう強いのかも。11位以降はなだらかなカーブで賞金が並んでいますが、20位ぐらいからベストテンを狙うのはG3・1個分ぐらい稼ぐ必要があるので、そろそろ苦しいかなという感じ。

 下位に目をむけると昨年初のベストテン入りを果たした長谷川が、未出走地獄に苦しんでいます。ブービーの井上が6000BCUなので、そうとう厳しい状況。ちなみに、誰も興味ないかもしれませんが、37・38位で藤原兄弟がミクロの争いをくりひろげています。現在弟が300BCUほどリード。なんたって過去7年連続で弟が兄に先着しているというジンクスでは片付けられない記録を残しているだけに、編集子としてはけっこう楽しみ。

 さて、この前始まったと思ったら、もう大詰めをむかえているBRA。会報とどこおってホントにすみません。次回はなんとかダービー前にだします。それから、毎週の順位なんかはBRAホームページをよろしく。掲示板で西山兄と西原ヘリオスが最新情報なんぞを書きこんで、その後見苦しく言い争いなんかしてますので、是非ご参加ください。では。Have a good season!