他人の不幸の上にたつ。
宮崎夫満開の春!

 まったく、勝負というのは最後の最後までわからないものです。この春ダイナース軍団を襲った不幸は「たたり」というか「悪夢」というか・・・。チューリップ賞を圧勝し、99%勝てるといわれた桜花賞を目前にして、五十嵐兄エアグルーヴが無念のリタイア。突然の発熱ではいたしかたなく、この後はおそらくオークス一本ですが、順調さを欠いたという事実をはね返し、雪辱を果たすかどうか見ものです。

 この不幸に思い切り便乗したのが宮崎夫。抽選待ちだったファイトガリバーは、トライアル中最もレベルが低いと思われたアネモネS完敗から、「馬が変わった」と言われるほどの進境を見せ、激しい流れのレースを中団で完璧に折り合い、直線では末脚爆発。桜花賞レコードでの快勝となりました。思い入れの深いダイナガリバーの初G1を祝うことができ、宮崎夫は大大満足。この桜花賞でBRAは全てのクラシックを手に入れたことになります。また、同じくホクトペンダントもあの流れを先行し5着にねばったのですから、それはたいしたもの。馬主本人はこの2頭から馬券をちらしたため、イブキパーシヴまで手が回らず、ホクトが出てなきゃ絶対取ってたと、贅沢なことを言ってます。

 エアグルーヴの回避で人気を集めた太田光ビワハイジは、全く意味不明の凡走で15着。4コーナーまでの位置どりになんら不満は無かっただけに、この敗戦には首をかしげるばかり。ここからの立ち直りはかなり苦しそう。一方、この春に復調著しいのが喜多ノースサンデー。崩れる一方のダイナース軍団にあって、唯一嬉しい人。一時は壁に突き当たったかと思われていましたが、アネモネSを武騎乗で快勝すると、本番でもインを強襲。惜しくも3着となりましたが、前から言っているとおり、この馬は絶対に東京向き。オークスでこそ巻き返して欲しいものです。

 結果的にエアグルーヴの代打という形になった五十嵐兄シーズアチャンスは、桜に強い武を鞍上に迎えましたが、インにぶつかる不利もあり惜しくも6着。こちらはトライアルで何としてもオークスの権利が欲しい。金光センターライジング・BASSIIマックスロゼの実績組は結果的にその切れ味を発揮することが出来ずに馬群に沈みました。このあたりはヘクタープロテクター産駒の成長力が問題でしょうか。来年度の指名では考えちゃうとこですね。

 牡馬路線も大嵐ふきまくり。エアグルーヴ回避の翌日、3歳チャンピオンであるキッズ姫バブルガムフェローが骨折の報。今季初戦のスプリングSでは意識的に後方を進み、馬群を割って本番への最終調整を完璧に終えたところで、望みを断たれました。思えば朝日杯終了時から、岡部がしつこいほど「無事で本番を迎えたい。」と繰り返していたことが印象的です。
 バブルガムのリタイアで一躍1番人気候補となった浅井ダンスインザダーク。ある朝目覚めるとやはり熱発。その日のダイナースクラブでは春霞たなびく窓の外を、廃人のような3人が眺めていたとか、いないとか。

 このアクシデントを歓迎したのもやはり宮崎夫。「どうなっとるんじゃ。」の電話が全国各地からかかる中、ロイヤルタッチが1番人気で皐月賞へ出走。若葉Sでの敗戦を道悪と割り切れば、人気になるのも当然でしたが、惜しむらくは騎手の決定がやや早かった。もう少し待てば武か岡部の手があいていたものを・・・。(岡部なんてバブルガムの予定がギガトンですよ。)ともかく直線抜け出したイシノサンデーをものすごい勢いで追い上げたものの、いかんせん道中のポジションが悪すぎました。宮崎夫はしばらく「どう見てもイシノサンデーは失格じゃあ。」と言ってましたが、それより、あんなレース後にヘラヘラ笑ってる南井は騎手失格です。

 桜花賞とは裏腹に皐月賞に出走したBRA軍団はロイヤルタッチただ1頭。キッズ姫期待のローゼンカバリーも山吹賞で2勝目をあげたクリスSのマウンテンストーンも抽選で除外。ツキというのは恐ろしいですね。両馬に加え、若松ダイイチキャプテン、キッズ姫ストーミィサンデーらが青葉賞・プロキオンSでダービー出走権を争うことになります。ただ、ここには関西のフサイチコンコルドと皐月賞組も何頭か出走するでしょうから、結構厳しいことは事実。浅井ダンスもぶっつけか、一度叩くのかでやはり迷うところでしょう。

 その他の馬では、佐々木規クイーンアドマイヤがアネモネS-未勝利という脈絡の無いローテーションでともにボロボロ。深尾ターフチャンピオンが桜草特別で2着し、短距離適性を示しました。藤原弟チョウカイクラウンは相変わらず3着続きで、なんと7度目。いわゆるひとつのロイスアンドロイスですね。抹消したはずの太田光シンボリカンヌが再登録。おかげで太田光はビワカレンの追加登録料をまぬがれほっと一息。

 さて、いよいよNHKマイル・オークス・ダービーというクライマックスが近づいてまいりました。現時点での情勢は

 マイル:スギノハヤカゼ・バンブーピノ・ゼネラリストらの短距離勢力に、場合によってはダンディコマンドやスピードオーまで加わるかもしれず、桜花賞組のビワハイジ、イブキパーシヴ、ホクトペンダント、マックスロゼあたりも入り乱れて、この春最大の混戦となりそうです。私はダンディコマンドが強いと思います。

 オークス:ファイトガリバー・ノースサンデー対エアグルーヴ・ナナヨーストームという図式でしょうか。エアグルーヴの立ち直りが全てでしょう。

 ダービー:ひいき目もありますが、ロイヤルタッチが差し切れるのではないかと思います。イシノサンデーにはやや距離が長いでしょう。ダンスインザダークがどこまで回復するか。出走権利が得られれば、ローゼンカバリーは穴馬以上に評価できるかもしれません。注目のフサイチコンコルドは本番では用なしと見ています。

 さあ、ラストスパートです。みんな盛り上がってるかーい。

 ああ、怨みの声が聞こえてくるようだ。ではまた。