昨年の3歳牝馬チャンピオンを争った2頭の激突となったチューリップ賞は、五十嵐兄エアグルーヴが決定的ともいえる5馬身差で圧勝しました。暮れの牝馬ステークスでは後ろのイブキパーシヴを気にするあまりビワハイジに逃げ切りを許してしまいましたが、今回は前を行くビワハイジを射程圏においてレースをすすめ、直線で並びかけると後はちぎる一方。抜き去ってからの脚が凄いというのが、超一流の証明です。勝ちタイムの1分34秒2も軽く桜花賞レベルをクリアしており、無事に本番を迎えれば相当高い確率で「勝てる」と思われます。もはや心は牝馬2冠でしょうか。敗れた太田光ビワハイジも交わされてから何とか2着を確保し意地を見せましたが、特に不利のあったレースでなく、たとえ仕上がり7分だったとしても、ここでの5馬身は相当に苦しい。ニシノフラワーがアドラーブルを逆転した例もありますが、今回はそれ以上に逆転は難しいと思われます。こちらは桜−マイル路線かも・・・。
首位をいく宮崎夫ホクトペンダントは牝馬特別で2着となり出走権を確保。金光センターライジング・ソロシンガーとの壮絶な叩き合いを制したもので、新しい一面を見せてくれましたが、正直勝ったリトルオードリーとは差があり、本番でも掲示板が目標という感じではないでしょうか。むしろ桃花賞で2勝目をあげたファイトガリバーが混戦となれば面白いかも。もともと阪神の雪割草特別に出走予定だったのが、思わぬ除外で中山回りとなったのですが、結果的にこれが大正解。阪神ではバンブーピノが古馬準オープン並のとんでもなく強い勝ち方で、どう考えてもこれに勝てたとは思えません。ともかく大幅にメンバーに恵まれたにもかかわらず、直線ではおつりがなく、叩き出されると内へもたれて冷や汗ものでしたが、とりあえずこれでオープン入り。この後はアネモネＳを使って本番。
金光センターライジングはエルフィンＳで復帰し、ここまで4戦3勝という実績からも1番人気となりましたが、よもやの降雪・ダート変更で全く動けず惨敗。原因がはっきりしているだけに、この敗戦自体は問題ないでしょうが、牝馬特別で最後息切れするあたり、若干の後遺症はあるかもしれません。BASSIIマックスロゼは桜へのひと叩きを中山菜の花Ｓに求めました。結果、逃げ馬をとらえきれず2着でしたが、安定した末脚は魅力十分で、本番へむけてメドがたったというところ。ただひとつの懸念はマイルでどうかということでしょう。エアグルーヴのように長い間脚が使えるタイプでないだけに、展開には注文がつきそうです。
何としても重賞勝ちがほしいダンスインザダークは伝統の弥生賞に出走。同じＳＳ産駒のイシノサンデーと人気を分け合いましたが、結果はいわゆる「着差以上」の快勝。前2走とは異なり、4コーナーから外を回って仕掛け、直線では相手をねじふせる形での「王者」のレース。かつてのサクラスターオーを思い出させる勝ちっぷりで、武も「何一つ悪くなったところが無い。」と言い切っています。ただタイムは後述のローゼンカバリーの500万特別と同じ平凡なもので、ロイヤルタッチはそこから34秒台で上がれるだけに、本番で雪辱を果たす可能性が高いとは言い切れないでしょう。
新馬で評判のサクラケイザンオーを破って注目されたキッズ姫ローゼンカバリーは武の手綱を求めて西へ遠征。こぶし賞に出走。しかし、キャリア1戦の馬には余りにも厳しい流れとなり、惜しくも2着。とはいうものの、直線で大外から勝負に出て、一旦は馬群に飲み込まれかかりながらも、そこから二の脚を繰り出して、2着確保するあたりたいした勝負根性です。ホント一瞬掲示板も無いかもしれないと思ったもんね。続いてかつてミホシンザンノ勝った水仙賞に出走し、1番人気に応えて快勝しました。相手がサクラシンオー・アロハドリームクラスですからあまりいばれませんが、兄もこの時期に大きく成長した馬ですし、むしろダービーで面白いかも。
こぶし賞を制したのは若松ダイイチキャプテン。新馬勝ちの後、期待されながらも今一つ突き抜けられないでいましたが、今回は馬場の真ん中を堂々と貫いて後続に2馬身差。これは吹っ切れたという印象です。姉はあのシャダイカグラ。いかにもクラシック向き。果敢に挑んだ弥生賞でもダンスインザダークとともに追い込み、僅差の4着。現状皐月へ出走できるかどうか微妙なだけにスプリングＳで再度権利確定を目指すでしょう。
クリスＳマウンテンストーンがマイル春菜賞で実力馬ルグリエールの2着と健闘。12番人気で連勝は万馬券。不発の時もありますが、はまった時の末脚は素晴らしいものがあります。今後も東京コースでマイル前後ならばおおいに楽しみ。となるとNHKが目標か。それにしても500万の平場で惨敗した馬が、連闘で臨んだメンバー大幅強化の特別でこれだけ走るとは・・・。競馬は難しいです。藤原弟チョウカイクラウンが飛梅賞、ゆきやなぎ賞と連続3着。これで通算6度目の3着で500万の「常連」という言葉がぴったりです。藤原兄はミスターサクセスがデビューし、ようやく賞金確保。テイエムカミカゼが今期初の賞金を稼いだ宮崎妻とともに、賞金ゼロ軍団を脱出しました。残るは高橋名人のみ。いまだデビューせず・・・。
上杉アグネストニーが未勝利脱出。余勢を駆って出走したアーリントンＣでも5着入線。ゼネラリストなんかに先着しているのだから、健闘と呼んでもいいでしょう。前半の貯金だけで生きてきたおくやまは、ようやくマヤノカプリースが復帰。目を覆わんばかりの大敗でしたが、半年以上あいてるだけに仕方ないところか。オープン勝ちがあるので桜の出走権はなんとかキープできそうです。「質より量」の西山兄は久々にサイコーセンリがはなのき賞で3着に健闘。逃げ足は確かで、メンバーしだいでは特別ぐらいは勝てるのでは？広瀬拓ナリタハンセルオーが新馬勝ち。上位常連の広瀬拓にやっと持ち駒ができた感ですが、果して間にあうかどうか。特別−青葉賞-ダービーなんてのが夢でしょうか。西原ヘリオスエルパソダンジグが未勝利脱出。終わってみれば、もっと早く芝を使っていれば良かったという印象。ただ、西原ヘリオスの支払った追加登録料を考えると、少なくともあと一つは勝ってくれなきゃイヤイヤ。
3月第2週を終わった時点で、首位は牡牝に駒をそろえた宮崎夫。ついでビワハイジと心中の太田光、バブルガムの復帰が待たれるキッズ姫、エアグルーヴで桜にリーチの五十嵐兄と続いています。客観的に見て、やはり牡はバブルガム・ロイヤルタッチの争いに浅井ダンスインザダークが割って入るかどうかで、BRA軍団から皐月の勝馬が出るのはほぼ確実。ローゼンカバリー・若松ダイイチキャプテンは出走できるかどうかが心配の種。牝はエアグルーヴが断然強く、ビワハイジは大崩れはせずとも勝つまではどうか。展開次第でBASSIIマックスロゼが穴。ホクトペンダント・ファイトガリバー・シーズアチャンス・センターライジングあたりが掲示板候補。BRA以外ではイブキパーシヴが怖いという感じ。NHKマイルは大本命の飯田弟ゴールデンカラーズが故障したため、オークスを回避する桜組、ビワハイジ・マックスロゼ・ホクトペンダントあたりと牡ではダンディコマンド・バンブーピノの争いとなるのではないでしょうか。
さて、本会の名称であるBRAはもともと編集子と初期の会員の多くが所属していた会社・バルビゾンの名にちなみ「Barbizon Racing Association」の略称として決められたものです。4年目からはバルビゾン以外の会員が増えたこともあり、あえてBRAという略称を会の正式名称として定め現在に至っておりますが、やはり略称のみ存在しているというのも変な状況だし、第一新しい会員に「BRAって何の略？」と聞かれて、バルビゾンという会社があって云々といちいち説明するのも大変です。そこで、BRAという名称の根拠を以下のとおり定めますので、ご賛同願いたいと思います。
BRA : Backstreet Racing Association (裏町競馬会)
ぶっちゃけた話、これは故寺山修二の著作からのパクリですが、編集子としては結構気にいってます。今後ともよろしく。
では、また。次号は皐月の後かな。