希望に満ちた敗戦。
ありがとうパートナー

 既にご存知と思いますが、浅井所有のダンスパートナーがこの秋勇躍フランス遠征を敢行。ノネット賞で2着。ヴェルメイユ賞で6着という成績を残して帰国しました。ヴェルメイユ賞では前がふさがり、脚を余したということが話題になりましたが、ダンスパートナー以外にも不利を受けた馬もいたし、じゃあ前が開いていれば勝てたかというと、スムーズに走っても3着だったかなという感じでしたね。

 それよりも何よりも、大きな意味は海外のクラシック路線にシリーズとして参戦して、間違いなく最もレベルの高い馬を相手にハナ、2馬身という着差でがんばり通したということ。つまり、この次は1馬身差で負けるかもしれない。その次は3馬身差で負けるかもしれない。でも、クビ差で差し切れるかもしれないという予想の対象になるということ。おそらく大差をつけられて「競馬にならない」というレースは考えにくいし、「勝利の可能性」を単なる期待感だけで語るレベルは、完全に脱したということです。とにかく様々な意味で、本当に意義ある海外遠征であり、BRA所属馬として初めて世界を相手に戦った馬が登場したことに、素直に拍手を贈りたいと思います。

 さて、札幌3歳で上位独占を果たしたBRA軍団ですが、それに続く新潟、小倉、函館では全くの不振。特別勝ちは函館のコスモス賞を勝った金光センターライジングとフェニックス賞を勝ったおくやまマヤノカプリースですが、それ以外にいわゆる昇級好走組がなく、新馬・未勝利はそこそこ勝ち上がるものの、その後クラシック候補の冠を得る馬が見あたりません。

 編集部としては、今月の見出しはおそらく、そのセンターライジングの函館チャンピオンで決まりだろうと活字を組んで待っておりましたが、よもやの惨敗。不安材料があるとすれば、多頭数の1ワクでもまれた時にどうなるかという点だと思っていましたが、レースはニホンピロプレイズ(ちなみに西山兄の補欠馬でした。)が一気に行ったため、センターにすれば願ったりのばらけたインコース4・5番手。道中もハイペースを無理なく追走しているように見え、直線を向いてさあこれから突き抜けるかと思いましたが、さにあらず。前をとらえるどころか、あっという間に馬群にのみこまれ、全く伸びるところがなく8着。敗因は不明ですが、マックスビューティもサッカーボーイもナリタブライアンも負けた函館3歳Sだけに、巻き返しのチャンスを確実にモノにしてもらいたいものです。

 おくやまマヤノカプリースは小倉3歳Sの前哨戦であるフェニックス賞を快勝。新馬−特別のエリートコースに乗りました。ただエイシンイットオーもタイパヒュームも出ていなかっただけに、少なくとも小倉チャンピオンとまでは現状言うわけにはいかないところ、一息入って秋が注目でしょう。

 鈴木ホットブラッドは2戦目の新馬を勝ったあとマイルの芙蓉Sに挑戦。外から差をつめ4着。ただし400キロをわる小柄な馬だけに、今後大きく変わってくるかどうかは微妙なところ。芙蓉Sには久々のめいりんサクラジェットオーや天宝院透フレンチリーダー、クリスSマウンテンストーンなども出走しましたが、枕を並べて討ち死に。この辺から見ると今年の北海道組のレベルは例年ほどではないかもしれません。

 勝ちっぷりから注目されるのは、中しまオースミギャロップ。スタートで大きく立ち後れながらも、馬群を縫うように進出し、直線では余裕すら感じられる手応えで楽々と先行馬を差しきりました。「ミホノブルボン」のデビュー戦のようというのは誉め過ぎでしょうか。宮崎夫ホクトペンダントも鮮やかな勝利をおさめた1頭。必ずしも好スタートではありませんでしたが、抜群の加速力で後続をぶっちぎりました。母ホクトビーナスは脚元に不安をかかえており、ダートで2連勝の後、ぶっつけの桜花賞で2着、そして引退という苦しい現役生活でしたが、母子2代のオーナーである宮崎夫は「脚元さえ無事なら桜はもらいじゃ。」と豪語しています。

 その他の組ではBASSIIマックスロゼ。新馬快勝後、函館1800のオープンで惜しくも2着。牝馬のオープン勝ちはクラシック出走権争いで大きな意味を持つだけにこれは残念。

 喜多ノースサンデー、深尾ホークブライドも勝ち上がり、どちらもマイル向きと思えるだけに今後が楽しみです。

 今日現在で宮崎妻、工藤、福田勝、藤原兄、飯田弟、高橋誠、青木、上杉、福田尚、若松の10名が未出走となっております。例年のパターンではあと2ヶ月ぐらいが勝負の分かれ目。次の東京開催が大きく注目されるところです。

 それでは、今年もやってまいりましたピックナイン・コンテストの応募要領を御案内してお別れといたしましょう。再見。

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