まったく、なにか善行でも積んだのでしょうか。世の中が地震だサリンだと大変な時代に、BRAには幸運が集団で押しかけてきた1年でした。幸運の押し売りだという人も中にはいるかもしれませんが、ダービー、皐月賞をワンツーフィニッシュ。桜は2、3着。オークスは1、4、5着。昨年のナリタブライアンは1頭の怪物に巡り会った奇跡と考えられますが、今年は確かにBRAの登録馬のレベル自体が極めて高かったのだと振り返って感じます。
さて、1994年度の最終号となりまして、例年であればタイトルは当然優勝したキッズ姫なのですが、先月ジェニュインの皐月制覇がタイトルを飾ったこともあり、また総合優勝と同時にダービー馬のオーナーとなることもBRAの大きな存在意義であると考え、タヤスツヨシをタイトル馬に選びました。言い訳がましいですが、タイトルの内容はともかく選出基準自体に私情をはさんだわけでは決してありません。
ダービーへ駒を進めたBRA軍団は6頭。1番人気は、皐月賞で苦しい位置から追い込んだ内容を買われて宮崎妻のタヤスツヨシ。皐月賞馬のキッズ姫ジェニュインが2番人気。常識的には苦しい藤原弟ナリタキングオーはそれでも潜在能力の高さに期待されたのか4番人気。昨年の広瀬拓に続いて2頭出しとなった藤原弟オグリワン14番人気。深尾トウショウフェノマ9番人気。皐月1番人気の佐々木規ダイタクテイオー7番人気となっていました。レースは休み明けのマイティーフォースが逃げ、あきれるほどの超スロー。岡部ジェニュインはこのペースならと果敢に先行集団に取り付きます。ナリタキングオーも前に押し上げますが、明らかに体調一歩。過去のレースでは抑えれば間違いなく「持っていかれていた」馬が行く気を見せないようでは、勝負になりません。タヤスツヨシは初めてまともなスタートを切り、中段やや後方のこの馬にとってのベストポジションを楽に追走します。ダイタクテイオーもスローのため前づけしたいところですが、皐月では早く動きすぎた感もあり、無理はしません。向正面から3コーナーにかかっても依然としてペースは遅く、マイティーフォースの後退に伴って自然と先頭に立ったジェニュインにとって、Vロード視界良好という感じ。直線に向いてナリタキングオーは完全に燃え尽き、オグリワン・トウショウフェノマは馬群の中でもがいている。ジェニュインは外から追い込む馬を確認してから追い出しにかかります。オートマチック・ホッカイルソーが来ているが、この時岡部は相手がこれなら勝てると確信したのでしょうか。一瞬並ばれるまで待とうかという躊躇があります。そのとき外から襲いかかったのがタヤスツヨシ。ホッカイルソーの外に並ぶと内に切れ込みながら一気にジェニュインを抜き去ります。ジェニュインも必死に巻き返しますが、極限の上がり勝負ではもはや追い込める余地はなく、最後はタヤスツヨシが突き放して完勝。ジェニュインはぎりぎりこらえて2着。外を追い込んだダイタクテイオーが惜しくも6着。トウショウフェノマ10着。キングオーはヨレヨレになりながら11着。オグリワンは17着という結果に終わりました。タヤスツヨシは35秒前半という上がりも素晴らしいが、ホッカイの外から先頭に出るまでの30mぐらいの脚が驚異的で、ジェニュインにとってみれば、2400であの脚がつかえる馬がいるとは・・・という感じでしょう。
一方その1週間前に行われたオークスではある意味でBRAの悲願であった牝馬GT獲得を、遂に浅井ダンスパートナーが達成してくれました。こちらも強烈な追い込みを武器に、直線なかばで、もはや勝負あったというレース。2着以下とは能力がかなり違うのではないかという印象を受けました。少なくとも2000m以上のレースでまともにスタートすれば、同世代の牝馬には今後負けることはないでしょう。秋にはフランス遠征・ヴェルメイユ賞挑戦が控えています。これに勝てば文字どおり快挙。BRAからも豪華副賞を計画しております。
では、決算号らしく、収得賞金順に会員の皆様の成績を振り返っていきましょう。
BRA7代目にして初の女性チャンピオンとなったのはジェニュインを擁するキッズ姫です。ジェニュインは早くからクラシック候補と言われていましたが、新馬でエアリュージュに負け、赤松賞ではコクトジュリアンに完封され、若葉Sでも1着とは言え、ルイジアナボーイにぶっちぎられており、本当に強いのかという疑問がつきまといましたが、スピードを生かした先行力で皐月・ダービーと連対し、近代競馬にふさわしいセンスの良さを見せつけました。またサマーサスピションが1勝馬でありながら青葉賞を2分25秒8の好タイム勝ち。シグナルライトから寸法を測っても無事ならばダービーでも好走していたでしょう。未勝利勝ちでは2着を1秒5ちぎって最大着差勝利賞獲得。またオトメノイノリは阪神3歳牝馬・桜・オークスとGT皆勤賞。オークスではばてない強みで4着に入線。秋にはさらなる飛躍が期待できます。
宮崎妻は息子の名前にひたすら感謝。人間欲を捨てるということは大切なことです。タヤスツヨシは楽な相手であっても確実に勝てるというタイプではありませんが、あの切れ味がものをいう場面があれば、今後も大きなところを勝てるでしょう。もう1頭のグランドサソリも10戦を消化し、2頭で20走というのもたいしたものです。キッズ姫が前年11位・宮崎妻が前年12位で仲良くジャンプアップ。
今年前半までタントツだった藤原弟は最後ややつめを欠いて3着。とにかく肝心なところでナリタキングオー・シスタータイクーンという大物が脱落してしまったのが痛かった。ナリタキングオーのローテーションについて云々言う向きもありますが、ブライアンも同じルートで2冠を取っており、たまたま運が無かったというしかないでしょう。スターレセプションが500万勝ち。オグリワンも2勝し、あやうく所有馬全部2勝以上という凄い記録が生まれるところでした。開幕号の今年の抱負で「今年はベスト3が目標」と公言した通りになりました。
4位浅井は常連上位組。今年はわずか2頭の所有ながら、ダンスパートナーが桜2着・オークス優勝と大活躍。またサッカーボーイの弟ビークァイエットも復帰し2勝目をあげ、まことに良い1年でした。実質半年であげた成績というのも凄い。
5位は前年に続いて五十嵐兄。プライムステージの1億5000万アップは無駄ではありませんでした。3歳重賞2つとクイーンC2着、桜3着、オークス5着。オークスで馬場入りの時の大暴れを見てもわかるとおり、気性の成長が今後の課題です。期待のサンデーブランチが福寿草特別を好時計で勝った後休養してしまったのが、誤算といえば誤算でしょうか。
6位は前年20位から復活の佐々木規。ダイタクテイオーが毎日杯含めて4勝と大活躍。皐月・ダービーも破れたものの見せ場は作っており、マイル前後の的距離では今後大きな活躍が望めます。一方インターブラボーは14戦消化してタフなところを見せてくれました。
7位は代替馬プレストシンボリの活躍でジャンプアップした「馬を見る天才」工藤。プレストシンボリは新馬−春菜賞−菖蒲Sと3連勝し、NZTでもシェイクハンドの大駆けに破れたものの2着を確保。もっと距離が延びても良さそうです。一番印象的だったのは菖蒲Sの直線一気でしょうか。15走で最多出走馬となったナリタプリマドンナをはじめ、所有馬が満遍なく出走し、大差で最多出走馬主となりました。
8位はクリスS。新入会員の最高順位です。ただ、高馬をそろえたのが収支は今ひとつ。新馬−特別連勝の素質馬ヤマニンアリーナが思ったほど成長がなかったのが残念でしたが、ブライトサンディー、ニッポータキオンが堅実なレースをしてベストテン入りに貢献しました。
9位は新人・太田光。ニジンスキー産駒のイブキニュースターが孤軍奮闘。500万−フラワーC−スイートピーSと3連勝でオークスでも大きな注目を集めました。結果6着となったのは、速い時計への対応力という点でしょう。とにかくパワーと根性に優れた馬で、エリザベスではダンスパートナーの最大のライバルとなると思われます。その他の4頭は合わせて賞金750万。運もあるとは言え、もしニュースターがいなければ、BRAの低賞金記録を塗り替えた可能性もあります。ちょっと見たかったような気もする・・・。
昨年暮れにはもっと上位進出を予想されていた中しまは結局10位。阪神3歳牝馬Sであれほどの切れ味を見せたスターライトマリーが別の馬かと思うほどの落ち込みぶり。桜・オークスとも12着で、牝馬の難しさを痛感させました。それでも、エクセレンスホーク以外の4頭が勝ち上がったのは立派。
あと一歩でベストテン入りを逃した喜多は11位。ネーハイジャパンが15回走って最多出走馬タイ。最後に白百合Sを勝って3勝目と活躍しました。新馬勝ちのシマノシンシアはその後泣かず飛ばずでしたが、勝利時の着差1秒2はサマーサスピションに続く第2位の記録です。
12位は新人・めいりん。新馬・ゆきやなぎ賞を連勝し、スプリングS挑戦予定だったマーベラスサンデーがリタイアしてしまったのが、残念です。同馬を含み所有馬全てが勝ち上がり6勝をマーク。初年度としては立派な成績です。今季は女性会員が大活躍で、めいりんの12位が最低の成績。4人でBRA総賞金の3割以上を稼いでおります。
13位はディフェンディングチャンピオンの広瀬拓。13位という成績は過去のジンクスから言えば、何とか踏みとどまったともいえますが、ベストテンを外れたことがなかった広瀬拓としては、全く不本意な成績でしょう。また高額馬をそろえておりますので最大被害者となっております。カッティングエッジの弟エアジャスティスは黒竹賞を勝ち、スプリングSでも5着ですので、順調ならばNHKかNZTでそこそこ勝負になったと思われます。最大の敗因は相性の良いサクラ軍団が不発に終わったことでしょうか。新年度巻き返しがあるのは、それとも西山兄のように地獄を見るのか興味がもたれます。
逆に14位は前年屈辱の最下位から何とかここまで上がってきた福田尚。実は第1回の集計データでは19位だったのですが、馬名未定だったシャダイアイバーの仔が既にステッペンウルフという名前が付いていることが判明。しかも出走していることも判明。その上勝ち上がっていたことも判明し、特別で2着になっていたことも判明と、あらあらららっという間にここまで順位を上げました。しかし、たまたま事務局が気が付いたから良かったものの、本来馬名未定の馬の登録名をチェックし、連絡するのは馬主の義務だからね。ビールぐらいおごってね。高額馬マックスウィンザーは飛梅賞を勝ち、スプリング、若草Sでもそこそこの勝負をしています。ただ、この血統は成長力があるのかないのか予想がつかないので秋に期待とも言えないところです。
15位は血統馬をそろえたものの順調さを欠いた乙川。ヤマニンランバートはNHK杯惨敗後、900万の駒草賞をマイペースで圧勝。5戦3勝として、期待をつなぎました。ヤマニンサイクロンは2着2回、3着4回といらいらするようなレースを続けています。ライトレター、アンブレラといった素質馬も新馬で2着、3着となり次は確勝という時点で休養してしまい完全な不完全燃焼でした。
16位は深尾。トウショウフェノマが新潟3歳Sを勝った時点では、優勝候補に挙げられていましたが、その後全くの不振におちいり結局真ん中の順位。フェノマは朝日杯でも見せ場を作り、期待された京成杯がまさかの競争中止。巻き返しを狙った皐月賞は当日に出走取消と不運続きで、その後もNHK−ダービーと駒を進めましたが、一度狂った歯車を元に戻すまでには至りませんでした。トウショウロミオが最大着差敗北賞獲得。
17位は比留田。オグり産駒のアラマサキャップがミモザ賞を圧勝。オークスTRは4着でしたが、抽選で出走権をえて、オークスでも8位。長距離では苦しそうですが、中山のマイルから2000mぐらいで大きいところを狙うチャンスがあるでしょう。期待のサンドピアリス産駒サンドコロネットが未出走だったのが不満か。
18位はまたまた下位グループの仲間入りの宮崎夫。フィールドチャンプが手薄な新潟の特別を勝ったのが唯一の見所でした。でもレース見てません。本人は2頭しか勝ち上がっていないウィナーズサークル産駒のうち1頭所有していたのが、せめてもの救いだと言ってます。しかしウィナーズはピンチだよな。まあスーパークリークも似たようなもんだけど・・・。
19位は鈴木プロ。プロがど素人に近い宮崎妻に2億円も差つけられてしまうとは・・・。と言っても、今回はダイナース軍団の裏の番長キッズ姫の「サンデーサイレンスは取っちゃだめ。」という謀略にはめられた感もあります。今年はどうぞSSを指名して下さい。ちーっと高いけどね。きんせんか賞を勝って休養していたコンフィデンスがワンチャンスにかけてスイートピーSに出走しましたが、15着。ワールドクリッパー以外の4頭が勝ち上がったものの上のクラスではちょっと足らない感じでした。
20位は、3年ほど留守にすると言い残して大陸へ渡った萩原。今ごろは黄砂の舞う夕焼け空を眺めているのでしょうか。と言っても、ファックスと電話とインターネットを駆使して競馬の情報を手に入れるので、BRAは続行するとのこと。お疲れ様です。500万下で2着したトチノエンゼル以外は勝ち上がってもまるで勝負にならず不本意な一年でした。
21位は昨年2位から、ここまで落ちた飯田弟。このあたりからレポートするべき馬がいなくなってきます。去年の今頃はマイネルエナジーの英国ダービー挑戦が話題になっていたものだが・・・。期待のハルヒデウィナーも500万では一息足りなかったか。
22位は藤原兄。順調にステップアップする弟に取り残された感があります。と言ってもサンエムエンプレスが寒桜賞を勝ち、エルフィンS−桜トライアル−桜花賞と王道を歩んでくれたので、成績よりも楽しめたのではないでしょうか。トキオブレイブも片目を開けて格好はつきました。
23位は広瀬泰。オグリ産駒のアーケエンジェルが萌黄賞を勝ち、桜へも出走した割には盛り上がりに欠けた一年でした。他3頭で合わせて6走ではそれも止むを得ません。アーケエンジェルの2勝目は7番人気で連勝は大万馬券。これが取れなかったのが一番悔しいと言っております。PATがあるんだから、まめにチェックしなくちゃね。
24位は金光。昨年の指名では5頭中4頭が競り負けるという悲劇がありましたが、成績はもっと悲劇的かも。イブキハイシーザーは1勝馬ですが8戦全て掲示板という堅実さで1億7000万も稼ぎ、貢献度97%。ジェイドロバリー産駒ポピュラーが未出走です。
25位飯田兄も相当に悲劇的。昨年夏の新馬で圧勝したエイブルカグラは結局長期休養で復活を果たせず。素質という意味では、プライムステージ以上のものを感じさせただけに、まことに残念。暮れまでに8走と順調に使い込んだサクラクリエイターが休養してしまったのも寂しいところです。
26位は井上女。フライト・ペルーシュ・ブリットのヤマニントリオが全く不発。超良血ヤマニンフライトは新馬2着後、半年ぶりの未勝利を快勝ですから、この後が楽しみな素材です。年末にドウカンハヤテが競走中に故障。お悔やみ申し上げます。
27位は馬名未定3頭指名で1年中頭を抱えていた天宝院透。残るダイアナソロン産駒のタヤスオーツカが2勝し、クリスタルC・NHKと重賞に駒を進めたので、最悪の事態は避けられたというところ。馬名未定3頭は依然としてどこにいるかもわからない状態。今回あまりにも気の毒なので事務局としても何か救済策を取ろうかとも考えましたが、そうすると、5頭持ってても8走しかしていない井上女や28位以下のチョー悲惨3人組の立場はどうなるといった議論にもなりますので、ツイてなかったということで納得してください。
28位は昨年2等持ちで皐月賞2、4着と健闘し4位となった小林。4頭で22走と良く走っているのですが結局今季ただ一人の未勝利馬主。メイショウユキムラの新馬2着が唯一惜しいという感じ。この時の勝ち馬は藤原兄のサンエムエンプレス。まあ、文句言うほどのことではないけど・・・。
最下位争いにはドラマが生まれました。最終週までダントツ最下位だった高橋誠が最後の未勝利をマーベラスメロンが勝って29位に浮上です。規約を言葉通りに遵守すると今年は宝塚記念が1週間早く行われたので、この賞金は加算されないということになりますが、これは予測不可能な事態ということで、事務局判断で東京及び中京最終週の賞金も加算しました。とはいうものの高橋誠はこの3年で最下位→ブービー→ブービーと狙ってもできそうにない成績。古い会員にしかわからないでしょうが「芝2世」と呼ばれています。しかし芝は惨敗の翌年一気に巻き返し優勝を遂げましたので、心機一転頑張ってください。
そして最下位は前々年のチャンピオン西山兄。昨年14位からついにここまで落ちてきました。本当にBRAで優勝するということはツキを全部はたいてしまうということなのですね。4頭で15走はそこそこですが、1勝だけ。2着・3着なし。掲示板にのったのも勝利を含めてわずかに3回。しかもその1勝は指名時点で既に新馬勝ちしていたクラシックゴールのもの。すなわちゴール前で興奮した経験は1回もないことになります。トホホ・・・。
さてフジキセキ・スキーキャプテンがいなかったとは言え、牡馬のクラシック完全制覇。牝馬初のクラシックホース誕生と好調だった1994年度。新年度はまた数名の新入会員を迎え、よりにぎやかに、そして楽しい1年にしたいと思っています。皆様ご協力ありがとうございました。
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