幸せは舞い降りた。
ジェニュイン歓喜のG1制覇!

 とにもかくにも、キッズ姫さん、おめでとうございます。前号ではキャリアは長いが、重賞勝ちがない会員と評しましたが、初めての重賞が皐月賞とは・・・。幸運の女神は時に残酷ですが、ひとつだけ明らかなのは、希望さえ持っていれば、いつの日か必ず幸福は舞い降りてくれるということです。しばらくは、この幸福に酔ってください。八大将軍吉宗風に言うと、「祝着じゃ。」というところ。

 さて、会員の皆様にはまことに申し訳ありません。なんと前号から3ヶ月も間があいてしまいました。週末は息子と遊びながらパソコンで競馬をやっていると、「あっ」という間に時間がたってしまって・・・。言い訳はとにかく、この間に本来であれば、タイトル候補となっていた馬達を中心にレポートしましょう。

 3歳から影のクラシック候補と言われていたキッズ姫ジェニュインは、皐月賞への出走権をかけた若葉Sではルイジアナボーイの大逃げの前に大差の2着となるも、ラッキーな繰り上がりで優勝。ただこの時は道悪ということもあり、岡部も「2着で十分」状態。そして迎えた本番ではフジキセキ・ナリタキングオーという大物2頭の回避により大混戦となったレースを、岡部の完璧な騎乗でモノにしました。スタートからゴールまで全く不利なく、コースとしても最も走りやすいところを通ったもので、2着以下との差がそれほど決定的とは思いませんが、あのポジションを絶対に取れるという自信こそ、この馬の最大の武器でしょう。もちろんダービーでは本命間違い無し。2年連続でBRAから2冠馬が誕生する可能性は十分です。

 幸福は来る時には一度に来るもので、キッズ姫サマーサスピションがダービーの指定レース青葉賞を快勝。4コーナーから大外ごぼう抜きという、馬主にとって最もスカッとする勝ちっぷりでした。タイムも例年のダービー優勝馬レベルに達し、これなら本番ではキッズ姫のワンツーフィニッシュもありえるかと思われました。が、さすがに幸福は永遠には続きません。レース翌日骨折が判明し、無念のリタイヤ。もともと脚部が丈夫な馬ではないし、青葉賞でも直線では大きく内にささっていましたから、あのあたりで痛めていたのかもしれません。全治6ヶ月はかなりの重傷。秋も無理かもしれませんが、なんとか立ち直ってくれることを祈ります。

 昨年に続いて皐月賞はBRAが1、2着となりました。宮崎妻タヤスツヨシは、ジェニュイン同様若葉Sをステップレースに選びましたが、こちらは大アンラッキー。1番枠からのスタートがあだになり、ルイジアナボーイの斜行の影響をモロに受けて内ラチに激突、戦意喪失してレースはついて回っただけ。本番にも不安を抱えながらの出走でした。皐月賞でも相変わらずの二の脚の鈍さからほとんど最後方でじっとガマン。しかし、道悪で直線やや馬群がばらけた間隙をついて、強烈な追い込みを見せ、根性で2着を確保。この後は、直接ダービーへ向かいますが、直線の長い東京でジェニュイン打倒の一番手であることは間違いないでしょう。

 本当に今年は幸運と不運が複雑に絡み合った縄のように訪れるケースが目に付きます。藤原弟ナリタキングオーは、共同通信杯に続いて、道悪に苦しみながらも、スプリングSを快勝。フジキセキという最強馬がいなくなった皐月賞では、間違いなく主役をつとめると思われましたが、レース前日に無念の出走回避。今年の皐月賞は、流れからいってまさにこの馬向きだっただけに悔やまれます。なんとかダービーには間にあって欲しいもの。

 佐々木規ダイタクテイオーは裏街道を進みながら堅実な成績で勝ち星を積み上げてきましたが、毎日杯で待望の重賞制覇。末脚に磨きをかけて、1番人気で皐月賞を迎えました。道中も見た目は折り合いがつき、4〜5番手の絶好位から4コーナーでは先頭に並びかける勢いでしたが、そこから全くのびず、8着。馬主は「今回は体調疑問。距離は母方のファラモンドから克服可能。ダービーでは巻き返す。」と言っておりますが、このタイプに東京の坂は意外とこたえるかもしれません。

 広瀬拓エアジャスティスは抽選出走ながらも健闘して、あと一歩で掲示板の6着。あの切れ味はダービーよりもやはりマイル向きでしょう。NZTに出走できれば面白い存在になりそうです。

 牝馬路線での注目は、浅井ダンスパートナー。エアダブリンの妹だけにマイルでは足りないかもしれないと思っていましたが、チューリップ賞では内容十分の2着。本番桜花賞でも直線だけの勝負に徹して追い込み2着。まだ未完成なだけに、この距離ではそこから突き抜けるだけの瞬発力はさすがに無理でしたが、オークスでの底力の戦いでは俄然注目されることでしょう。

 五十嵐兄プライムステージはダンスパートナーと同じローテーションで連続3着。桜花賞では意図的にタメようとしましたが、それでもやや早目の競馬。デビュー以来崩れたことは一度もありませんが、その堅実さが逆に思い切った競馬ができない原因にもなっており、今年のようにレベルの高いレースでは、どこかで思い切った競馬をしないと勝利の女神は微笑まないのかもしれません。タイプとしてはスカーレットブーケか。

 オークス候補という意味では、ここにきて最大の注目馬となった太田光イブキニュースター。1800のフラワーカップ、スイートピーSをジョージビューティ、ツキノロマンといった注目馬相手に連勝し、ひょうっとすると桜花賞組をおさえて、本番では一番人気になるかもしれません。なんと言っても父はあのニジンスキー。流れが遅くなり切れ味比べとなれば一抹の不安はありますが、距離適性、底力では他馬を圧倒しています。

 獲得賞金の上位組では深尾トウショウフェノマが皐月賞当日に取り消しという不運。やはり一度ツキが落ちると基本的には落ちっぱなしというのが、勝負の世界ですね。NHK杯で捲土重来を期します。キッズ姫オトメノイノリは相変わらず掲示板の常連となっていますが、これまで一度もバテて負けたということがない馬で、全ての馬にとって初距離の2400ならば、キッズ姫の上昇運に乗って一発があるかもしれません。コスモドリームが勝った時のような流れがベストでしょう。藤原弟シスタータイクーン、中しまスターライトマリーは現時点では成長力がクラシックレベルまで達していなかったということでしょう。将来を考えると今年のような激しいクラシックで消耗しない方が良いのかもしれません。

 比留田アラマサキャップは道悪のミモザ賞を圧勝。オークスTRでも注目されましたが、4着で本番への出走は難しそうです。この馬は明らかに中山向きでしょう。宮崎夫フィールドチャンプは裏開催のゆきやなぎ賞で2勝目、NZTに出てほしいという馬主の願いを無視して、次走はエーデルワイスS。

 その他新星誕生かと騒がれためいりんマーベラスサンデーの故障や、乙川ヤマニンランバートの復活なるかといった話題等もありますが、世はゴールデンウィーク。各馬の成績は次号でまとめてレポートしましょう。

 今年は皆様お気づきの通り、例年に無く上位拮抗の状況になっております。現時点での優勝候補はキッズ姫、藤原弟、五十嵐兄、宮崎妻、佐々木規の5人、最多収得賞金馬はジェニュイン、ナリタキングオー、プライムステージ、タヤスツヨシ、ダイタクテイオー、イブキニュースター、ダンスパートナーまででしょう。馬主の5人は誰が勝ってももちろん初優勝。特にダービーでの着順(出走するかどうか)が明暗を分けそうです。五十嵐兄・宮崎妻・佐々木規は上位の2人がコケてくれることが前提なので、立場としては苦しそう。藤原弟はとにかくナリタキングオーの立ち直りが全てでしょう。ただ、ナリタが出てくると結果的に流れが速くなり、タヤスツヨシが漁夫の利という公算もあります。五十嵐兄プライムステージはオークスを勝ち切るまではどうか、というのが実感。

 最多出走馬は喜多ネーハイジャパン、工藤ナリタプリマドンナが13回で並び、佐々木規インターブラボーが12回で追っております。その後のグループはおそらく無理でしょう。馬主部門は工藤が34回でダントツ。喜多・藤原弟が28回で追っていますが、これはもう変わらないと思われます。問題は事務局の計算間違いですが・・・。と不気味な発言を残して、ではまた。