栄光はすべて我がもの。
広瀬拓也、最強のチャンピオン!

 全て物事は終わってみると簡単なように思えるのですが、今年のダービーほど簡単なダービーが過去にあったでしょうか。シンボリルドルフ、ミスターシービー、トウカイテイオー、カブラヤオー、幾多の名馬よりも「強い」かどうかという比較はともかく、楽にダービーを勝ったという点ではナリタブライアンは最強のダービー馬であると言えると思います。ミホノブルボンやメイズイの逃げ切りなども楽勝という意味では確かにそうなのですが、ブライアンの場合は「もし」もう一度、いや何百回レースをやったとしても、その度に展開が変わったとしても、どんな不利を受けたとしても、決して負けそうにないという意味でダービー史に残るものでしょう。

 驚異のレコードで皐月賞を制したナリタブライアンが断然の人気を集める中、BRAからも6頭が参加して行われた日本ダービー。皐月賞で競り合って壊滅したサクラエイコウオー、メルシーステージの2頭の出方が注目されましたが、今回は小島太が少し遠慮したのかそれほどの競り合いになりません。メルシーステージが先手を取るとエイコウオーは少し間をおいて3番手。レースの流れは落ち着くかと思われましたが、2コーナーから向こう正面に入ると絵にかいたように「引っかかった」アイネスサウザーが一気に先頭。これでメルシーステージはアウト。ブライアンはここまで全く楽に中断やや前の位置をキープ。広瀬拓は「よっしゃ」と一言。3コーナーではエイコウオーが絶好の手応え。広瀬拓から「最高の展開」というかけ声がかかるとナリタブライアンが進出開始。エアダブリンは終始馬込みの真ん中。身動きがとれないのか、ためているのか。ドラゴンゼアーはそのやや外目。エクセレンスロビンは早くも手応えが怪しくなってきました。4コーナーではブライアンが馬群の外を2頭分ほど間をあけてまくってきます。南井は絶対不利を受けないつもりか。エイコウオーがインをうまく回って一瞬先頭。メルシーステージは既に燃え尽き、逆にエアダブリンが一気に差をつめますがスギノブルボンと接触して一瞬グラリ、「はっ、はわわ」と叫んだ宮崎夫の視界が一瞬ブラックアウトします。ドラゴンゼアーもしぶとく食い下がっていますが、伸びてはこれません。エイコウオーも止まりました。ブライアンは直線外へ向かって斜めに突進。「どこ行くんだ」広瀬拓の脳裏に、数々の競馬珍場面が走馬灯のように浮かびます。内では天才武豊(本当に天才!)の外に馬群をさばいたエアダブリンが襲いかかってきました。しかし、ハラハラしたのはここまで、外のブライアンは我が道を進んで、ようやく誰の目にも十分すぎるほどぶっちぎっていることが判明しました。後は万雷の拍手の中、ゴールと同時に右手を挙げる南井騎手を背に、我々は再び見ることがあるかどうかという「強い」ダービー馬の誕生を目にしたのです。

 かくして、BRA史上最高の成績(多くの会員にとっては最悪の結果)を残した1993年度。皆様の成績をおさらいしてみましょう。


 過去5年常に上位をにぎわせながら、惜しいところで優勝を逃し続けてきた広瀬拓。まさに悲願の優勝です。賞金総額5億3千万!GT3勝を含む重賞6勝はまさに空前の記録。またナリタブライアンの重賞5連勝(しかも全て3馬身以上ちぎって!)はまだ継続中なので、中央競馬記録の重賞6連勝まであと1、新記録まであと2。秋には3冠、兄弟対決など、また日本中をわかせてくれることでしょう。なお、GT記念品については、本人の希望により今回はパスするかわりに、3冠達成の際に記念の豪華カップをプレゼントすることになりました。メイズイのように、じゃなくてミホノブルボンのように、じゃなくてタニノムーティエ、コダマ、トウカイテイオー、カブラヤオー、ヒカルイマイ、カツトップエースじゃなくてルドルフのように無事、この偉業を達成してもらいたいものです。馬主としては最終週にスプリングコートがいきなりデビュー勝ち。どこまでついとるんだ。

 2位はメルシーステージの驚異的活躍により、新人飯田弟。いくらマミーブルーの子供だとはいえ、ステートジャガーとは・・・。獲得賞金1億5千万は例年ならば優勝レベルなんだが、いかんせん今年は仕方ない。来年もこの調子でがんばってチョーライ。メルシーステージは皐月、ダービーと惨敗したが、カツラギエースだって同じようなものだった。中距離の名馬となってほしいものです。ちなみにメルシーステージのダービーの着差7秒5は本年度の最大着差敗北賞です。パチパチ。ついでにビワセイハの未勝利勝ちの着差2秒2は最大着差勝利賞です。パチパチパチ。これも凄いことだ。

 3位にはまっこと久しぶりに宮崎夫が復活。エアダブリンさまさま。若葉Sで4着になった時は、今年もダメかと思いましたが、青葉賞、ダービーと距離が延びてそのステイヤーとしての素質の高さを証明しました。今はまだ大きなことは言えないでしょうが、心の中では「秋を見ていろ」という気持があることも確かでしょう。マイラーとして期待したホクトフィーバスが使い込めなかったことと、シャダイカグラの仔カグラグレートのデビューが遅れたことが残念(今ごろデビューして「まだ太い」なんて書かれてるんじゃねー)。

 4位は持ち馬わずか2頭ながら皐月賞2、4着と大健闘の小林。しかもこの皐月、ダービーの2レースで5着に入った関東馬でブックの3歳馬名簿に載っていたのはこの2頭だけですから、感心するしかありません。サクラスーパーオーのダービー断念がまことに残念です。流れからしても、フジノマッケンオーとの比較からしても、十分2着争いには加わっていたと想像するのはたやすいことです。

 5位は各馬が堅実に走った五十嵐兄。エクセレンスロビンはNHK杯5着と健闘しましたが、本番ではさすがに流れに乗れませんでした。ダイアナソロンの仔チェリーテーストが八重桜賞、エーデルワイスSと連勝して4戦3勝。もう少し早くデビューしていたら桜花賞でも人気になっていたでしょう。もちろん秋には重賞で勝ち負け以上の期待。特にヒシアマゾンが出なかった場合のエリ女は、メンバーも甘そうですし・・・。本人は持ち馬10頭制度の導入を唱えるBRA過激分子となっております。

 6位はノーザンプリンセス、ミストラルアゲンの牝馬2頭が頑張った浅井。ノーザンプリンセスは桜花賞でも人気になりましたが、なかなか関西馬の壁は越えられるものではありませんでしたね。ミストラルアゲンは断念オークスのカーネーションCで3着と元気。明らかに平坦向きなので、夏の新潟ではおもしろそうです。

 7位、5頭中4頭が勝ちあがったXiu。残るメジロアムールも未勝利で2着に来てますし、初勝利も目前でしょう。もっとも素質の高そうなチヨノマークリオーが4月後半から休養してしまったのは残念。良血タケノキャプテンがくちなし賞で2勝目をあげました。最終週で2つあったキッズ姫との差をつめ最多出走馬主(タイ)となりました。

 8位は前年ブービーからかなり常識にかかってきた比留田。インターマルスが特別を勝ち皐月賞出走ですから、まずまずというところでしょうか。メイショウワカタカもようやく復調し、露草賞1着、菩提樹S2着と好調でした。超期待馬のメジロアサギリ(ラモーヌ、アルダンの下)の事故はまことに残念です。

 9位藤原弟も前年16位からのジャンプアップ組。抽選馬カシノディグニティが走ること、走ること。出る権利のあるレースは重賞、平場、抽選馬限定と出まくったという印象。燃え尽きたのか、4月末で引退。馬主孝行な馬だわさ。

 10位乙川はヤマニンアビリティが全て。昨年暮れまでは「天下取ったる」という感じでしたが、今年は「消息だけでも知りたい」という感じでしたね。こじつければ、ナリタブライアンに負けたわけでないし、ヒシアマゾンには勝ってるし、この世代で一番強い可能性もないわけではないかもしれないと言っても良いのではないでしょうか。クールポイントが勝ち上がったので、地元の新潟で特別にでも出てくれるでしょうから、お楽しみに。

 11位キッズ姫もトニーザプリンスが全て。若葉S2着、皐月賞5着ときて、NHK杯3着、ダービー4着ぐらいの可能性はあったのですが、無念のリタイア。かなりの重傷らしいのですが、早くターフに復活してほしいものです(復帰する時は500万下です)。サラマンダーの代替馬ホークアイトニーは結局未出走のまま。今年から規約が変わってサラマンダーの賞金はパー。最多出走馬主も最終週にXiuに並ばれてしまうし、ダービーの後は酔っぱらいの宮崎夫にセクハラされるし、ついてないかもしれない。

 12位田中は昨年同様、この順位でもプラス決算。皆様教訓にするべき点は多そうですぞ(一番見習うべきなのはオレか・・・)。ネオタイクーンが特別勝ち、重賞でも好走しました。しかし、できれば毎日杯で2着にして皐月賞に出してあげたかったですね。現在繁殖入りしております。

 初参加の喜多は13位とちょうど真ん中。元気いっぱいだったアモーネ以外の全ての馬がどこかで順調さを欠いてしまったことが、上位進出を阻んだようです。通算32走はまずまずでしょうか。

 14位は昨年チャンピオン西山兄。ディフェンディングチャンピオンが、てひどく落っこちるというジンクスは今年も守られました。ロジータの仔シスターソノはナムラコクオーに圧勝し、ローブモンタントと好勝負するなど素質の高さは存分に見せてくれたのですが、結局本番には出走できず、サラブレッドというのは難しいものだと思わせました。

 15位は最近よく日本に出張している中国人萩原。例年通り出走数の少なさが悩みの種でした。ランドエブロスが休み休みながらも特別で2-2着と好走。今年こそは皆と同じ条件で指名をしてみたいそうです。

 16位広瀬泰も2勝では大いに不満足でしょう。外国産大活躍の本年、マニラ、ホームビルダー、アリダーと外国馬に注目したところまでは正解でしたが、どこかで計算違いをしたようです。メイショウワダツミがここにきて調子を上げているようなので、ローカルで単勝でも買ってあげてください。

 17位は工藤。「馬を見る天才」の名前が泣いている。今年は本当に不調で補欠指名した馬も全くダメ。来期の奮起を期待したい。ドリームチームが普通の強い馬ぐらいには成長しそうです。

 前年2位の深尾もここまで落ちてきました。18位。トウショウカレラが未勝利ながら1400万も稼ぎ、16走で最多出走馬となりました。おめでとう。トウショウホリディが最終週に勝ってあやうく未勝利はまぬがれました。

 19位は新潟から参戦した井上男。ダディケイは掲示板をはずさない堅実さだったのですが、かといって勝ち上がるだけの決め手に欠けました。サクラナラオー、トウショウマインドが不出走ではね・・・。

 20位佐々木規。今年の最大被害者となりました。まあプライベートでも色々あったようだが、「降るときはいつもどしゃぶり」というやつですな。去年の夏はマックスワイザー、ダイイチフローネで旋風を巻き起こすかと思われたのですが、なんと最後の出走が1月5日だというから驚き。彼にとってこの半年は何だったのでしょうか。

 21位は佐々木規と並んで大きく落ち込んだ中西父。マイチャンピオンは札幌では距離延びれば・・・と思われていましたが、距離云々に関係なく、札幌で燃え尽きていたようです。BRA史上初の4歳春の障害転向を決行しました。

 飯田兄は弟の好調さと対照的に22位。メジロエクレール1頭に頼った1年でした。ただ今年のメジロは全くの不作で、その中ではこの馬など最高に近かったのではないでしょうか(たいしてなぐさめになってないか)。

 23位藤原兄。やはり弟よりはだいぶ下でしたね。チェンジは一部のペーパー馬主ゲームで異様な人気になったそうですが、アサキチを小型にしたようなタイプで、未勝利クラスで健闘どまりという感じでした。

 24位は昨年最下位から1ランクアップというべきか、順位で言うと6ランクダウンというべきか、高橋誠名人です。いわゆる「箸にも棒にも」状態。でもツルマルナスルエルなんてオレも走ると思ってたもんなー・・・。

 さて今年はさすがに参加人数が増えただけあって、最下位もハデでした。前年4位福田勝は21ランクダウン。収得賞金109万は1位広瀬拓の500分の1!ニフティエンジェルなんて、もう少し走っても良さそうなもんだが。ま、競争成績については、コメントのしようもないというのが一番ふさわしいコメントだね。来期は昨年の西山兄のような奇跡の復活を期待してます。


 さて、そうこうしてるうちに、もう新規募集の時期となりました。

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