予想していたとはいえ、ナリタブライアンの勝利は4歳春の時点では過去の名馬に比べても最強と言えるものでした。メルシーステージ、サクラエイコウオーが作り出した皐月賞史上例を見ないハイペースを4番手で追走。馬主の広瀬拓も「いくらなんでも、まだ早い。」と叫んだ3コーナーからの追い上げ、直線先行馬がボロボロになるところを失速するどころか、2着以下を大きくちぎりすててゴールイン。戦前予想された「もしブライアンが負けるとしたら・・・」という悪い要素が全て出たレースであったにもかかわらず、問答無用の強さであり、もはやダービーどころか3冠も視界におさめる勝利でした。あと400m延びてもあの着差はむしろ拡大するのではないでしょうか。4歳春で2000mを1分59秒5はどうしようもなく速い・・・。だいたい成績表欄に付けている特別・重賞マークがもう書けなくなってしまいました。どうしましょ。
さて、前回皐月賞の掲示板にはBRAが3頭ぐらいのるのではと書きましたが、それを上回る4頭が掲示板に突入。そもそも18頭だてのレースでBRA所属馬が7頭もいたのだから空前の出来事と言ってもよいかもしれません。
まずは後方一気の追い込みで2着にくいこんだ小林サクラスーパーオー。デビュー当時から距離が延びればと言われていましたが、直前の山桜賞を圧勝、抽選に勝って出走のチャンスを最大に生かしました。結果的には的場の騎乗も大正解。同じく小林ドラゴンゼアーが4着。これまで右回りでは今ひとつ実績を残せませんでしたが、本番では果敢に前を追いかけ大健闘の入着です。今度は得意の左回り、しかもダービー出走権をがっちり手にして、余裕を持ったローテーションで臨めることからも惑星以上の活躍を期待しています。馬主の小林の今年の所有馬はこの2頭。まさに強運、まさに驚異。
キッズ姫トニーザプリンスも差し一本に賭けて5着に突っ込みました。強敵相手の健闘は称えられますが、5着ではダービー出走はかなわず、再度NHK杯で権利取りに燃えます(ただ今年のNHK杯は久しぶりに強力メンバーが揃いそうなのがつらいところ)。
メルシーステージ、サクラエイコウオーの逃げ馬2頭は、折り合うどころか、マッチレースでもやっているかのようにブンブン飛ばし、直線で壊滅しました。両馬とも、あそこまで飛ばしてしまっては、得意の二枚腰を発揮するのはさすがに不可能でした。比留田にとって初のGT挑戦となったインターマルスもここまで相手が強くなると、自分の型に持ち込むのは無理で15着と惨敗しました。
一方牝馬戦線の第一弾、桜花賞は大混戦の下馬評そのままに万馬券となって幕を閉じましたが(それにしても大川慶二郎は凄いね。ツインクルブライドが人気がなさすぎるから厚めに買おうなんて言うんだもん)、BRAからは唯一浅井の2騎が出走。ノーザンプリンセスは未知の魅力が買われたのか2番人気に持ち上げられましたが、1月以来の実戦ではいかにも不利という感じでした。それでもしぶとく6着に来るあたりが、彼女の非凡な能力を示しています。ミストラルアゲンも仲良く1月以来のぶっつけ西下。こちらも10着なら、まずは自分の能力だけは出したという感じでしょう。
こうして幕を閉じたクラシックの第一弾。次はいよいよダービー、オークスですが既に熾烈な戦いは始まっています。
今年から(宮崎夫の反対にもかかわらず)重賞になった青葉賞、皐月賞では東上しながら除外になったエアダブリンが1番人気になりました。レースは前半の6ハロンが1分16秒台という超スロー、エアダブリンとしては不得手の瞬発力を要求される苦しいレースでしたが、4コーナーからまくり気味に進出、かろうじて後続を振り切り待望の重賞制覇です。しかし、勝ちタイムが遅いのは仕方ないとしても、やはり反応の鈍さは目につき、ブライアンに挑戦するというより、未知の魅力を備えた2着候補となったにすぎないような感じです。
牝馬では新馬を圧勝した五十嵐兄チェリーテーストがスイートピーSで1番人気となり、これを勝てばオークス最大の惑星となるところでしたが、やはり出入りの激しいレースでキャリアの浅さが命取りとなりました。飯田兄メジロエクレールも最後までクラシックへの夢をつなぎましたが、惨敗。今年はメジロは不作でした。
桜花賞6着のノーザンプリンセスはデビュー圧勝の東京でオークストライアルに出走。理想的な流れで直線抜け出した時は、素質開花かと思わせましたが、あと2ハロンから失速して4着。これは距離の壁以外のなにものでもないでしょう。できればNZTトロフィーを目指してほしいものです。
その他の馬では西山兄クリーミーヘッドが待望の初勝利。休養してしまったシスターソノの分も、あとひとふんばりしてほしいものです。深尾トウショウカレラはまた3着を積み重ね通算「0-1-8-5」。田中ネオタイクーンは1番人気で臨んだ若葉Sで4着。2200という距離のせいでしょうか。CB産駒はこの距離で勝つようなら大物になるのですが・・・。工藤の大物ドリームチームがデビュー。まだ良血の底力は見せていません。宮崎夫ホクトフィーバスが平場で2勝目。芝向きだとは思うのですが、どうでしょうか。飯田弟ビワセイハがダート平場を圧勝。ダートは鬼かも・・・。金光チヨノマークリオーは500万で惜しい2着。この馬あたりが秋には大きく成長するタイプでしょう。
さて、ちょっと気が早いのですが注目の最多出走馬争いの現状を報告しておきましょう。現在トップは藤原弟カシノディグニティ深尾トウショウカレラの14回、それをインターマルス、メルシーステージ(13回)、マイチャンピオン、アモーネ(12回)が追いかけています。当確ラインは16回〜17回ぐらいになりそうなので、トウショウカレラが勝ち上がらなければ逃げ切り、勝ち上がって休養するとアモーネの大逆転もあるかもしれません。
では次回は例年通り決算&新規募集号となります。
PS.サンマリノGPで悲運の事故にあったアイルトン・セナの冥福をお祈りします。
ただ、以前岡騎手が死亡した時にも言ったけど、人間にコントロールできないスピードで行われるスポーツには、このような事故は不可避だと思いますよ。だって時速40キロの馬から落ちたって人間は死ぬんだもの。300キロの車で事故を起こして死なない方が奇跡じゃない。どんなにスピードを押さえた安全なコースを作っても、死ぬ覚悟でコーナーに飛び込んでミスしたり、車が故障すれば普通死にます。もっと安全なレースがしたければカートレースやポニーの競馬をすれば良いけれど、誰もそんなレース面白いと思わないし、そんなレースでは名誉や冨は得られないんだもの。仕方ないじゃんか。FIFAの会長が「ドライバーには危険はつきもの」という発言をしてひんしゅくを呼んでるけど、私はセナが悲運のドライバーであったことと、レースの安全性は全く別の次元の話だと思うけどね。なんか、運動会で騎馬戦や棒倒しが中止になるのと同じような発想を感じてしまうのです。