笛吹けど踊らないのが人の常というか、オグリキャップ特集を組もうという編集子の意図にも関わらず、誰ひとりコメントを寄せる者もなく、彼の引退式を明日に控えて、この号を編集しています。ちょっぴりセンチになっちゃいそう。
あけましておめでとうございます。皆様お元気ですか。
まったく色々な事がありすぎて、今月は紙面がまとまりを欠くと思いますが、ご容赦あれ。
さて、格からいくとまずは重賞からでしょうか。3歳牝馬Sに挑戦した馬が2頭。五十嵐/キッズ姫の師弟コンビがビバリーヒルズ/メジロティファニーを出陣させました。ビバリーヒルズはラッキーなことに、2着馬の失格のおかげで5着に繰り上がり入線。うらやましい限り。その後若竹賞へ挑戦しました(後述)。メジロティファニーは9着。その後ホープフルS、若竹賞と元気だけはいっぱい。土田氏は、ホープフルS終了後に、「うちの娘が”おいた”をいたしました。」と語り、皆を呆然とさせました。
G1朝日杯に挑戦したのは、乙川氏のサクラハイスピード。形の上では、小島太がビッグファイトを蹴ってこちらを選んだということもあり、注目されましたが8着。しかし自身1分35秒3なら悪くはないでしょう。
年が明けて笑いが止まらないのは中西昌氏、代替馬として選んだスタビライザーが500万はぶっちぎるし、京成杯では堂々の3着。ダイナマイトダディの骨折、ビッグファイトの距離適正を考えると、いつのまにやらクラシック候補じゃあーりませんか。しかも、しかもですよ。抹消されたはずのモンテヤシマが実はぴんぴんしてたそうな。ついてるとしか言いようがないです。もちろん中西昌氏は、しばらく考えた末(誰が考えるんだ、そんなもん)、一応スタビライザーにしとくか、と宣言しました。へー、そう。
特別組で注目は、立川氏のサクラヤマトオー。暮れのホープフルSで余裕十分に4勝目をあげました。距離が延びるほどレースが安定してくるという、馬主にとっては最高の馬に成長しています。立川氏は皐月賞5着は最低もらったとえびす顔。負かした相手が弱すぎるという話もありますが、少なくとも以下の皆様からはそのような声は聞こえてこないことでしょう。
[ホープフルSその他BRA成績]
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牝馬では広瀬拓氏のミスタイランド。中山の1200mすずかけSでポンとハナを切るや、まさに他馬に影を踏ませぬ逃げ切り勝ち。勝ちタイム1分9秒4も優秀ですが、何より前半の32秒台が素晴らしいの一語。広瀬拓氏の言うとおり、少なくとも桜花賞で逃げる権利は確保したと言えます。このまま、差す競馬を覚えさせるなどというバカな目論見はやめて、一流の逃げ馬へ育ててもらいたいもの。
工藤氏のグロウファントムは、いつも岡部に乗ってもらえていいなー、と言われていますが、ダートの朱竹賞で岡部の巧騎乗もあり、2着と健闘。ただ、デビューから芝千六−ダ千二−ダ千四−芝二千−ダ千八と、距離適正などどこ吹く風というローテーションで使われているのが今一つかな。
一時は馬が大人になったという噂のあった萩原氏インターミラージュですが、とたんに衰えてしまったようです。葉牡丹賞/ホープフルSと連敗。むしろ葉牡丹賞で苦しい位置から追い込んだ、広瀬拓氏のサクラミサキオーの方が先行きが明るいような。ただ、こちらは上のアサヒオーと同じく使い込めない体質という弱点がありますね。
他では、五十嵐氏のベストダージリンが黒竹賞で4着。徐々に気性の悪さも解消されてきたようです。
西山氏オンリーワン/萩原氏トップモデルも頑張っています。
特別の最後はこれ、若竹賞。巷では、ストロングカイザーが圧勝したことで有名ですが、水面下でBRAの激しい争いが繰り広げられておりました。結果は以下のとおり。
[若竹賞着順]
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まさかドベとブービーをBRAが独占するとは。しかもマイネルクリーガーは勝ち馬から6秒4も離されてしまって、いやはや。
気を取り直して、新馬/未勝利情報です。各スポーツ新聞でも大きく取り上げられたのが、宮崎氏サンゼウス。一応タイトルにしてみました。ただレース自体はまさに薄氷の新馬勝ち。写真判定が8分もかかったんですと。タイムはまあまあですが、次はいきなり共同通信杯だそうな。ちと家賃が高いのではないのかしら。
大西氏アジュレーシンボリが新馬2戦目で勝ち上がり、これで大西氏は、いよいよ大記録へリーチです。それにしてもこの勝ち上がり率は只事ではない。しかも今年の4頭はいずれも新馬2戦目。皆の衆、シンボリカイザーが出てきた時は、借金してでも(今でもしてるという人はおいといて)、2戦目は買いでっせ。
昨年末、「みんな賞金はボクが出しています」と言って涙をさそった広瀬泰氏。良かったね。アクティブハートが新馬勝ち。ダートでしたが、血統から芝にも不安なく、しかも大型馬で変わり身も期待できるとなれば、言うことなしでしょう。
立川氏の代替馬マイネルクリーガーも叩かれ2戦目を勝ち上がりました。が、その後がね。
その他新たなデビューは以下。パストラルボーイ(佐々木)/グローバルボーイ(高橋)/イーストサツキ(キッズ姫)。成績は一覧表を見てちょ。
未勝利を勝ったのは、乙川氏タイムトラベラー。新馬でいきなりタイムオーバーをくらって、どうなることかと思いましたが、お見事です。
宮崎氏のスノーテグラも新馬勝ち。宮崎氏はウィナーズサークルのようなフォームだ、と叫んでいましたが、オグリキャップのようだと言わなかったところが彼の謙虚な人格を表しています。
五十嵐氏はリュートハーモニーがぶっちぎり。これで苦しみながらも、全ての馬が勝ち上がりました。大西氏とは対称的に、こちらは4頭中3頭が未勝利勝ち。残る1頭はなんと初勝利が500万特別という珍しいケースとなりました。
さて、今月は皆様に大変ためになるお話をしましょう。
タクノボーイ/タイガーフォードという2頭の所有馬を同じ未勝利戦に出走させた人がいました。仮に広瀬拓也氏ということにしましょう。
オッズは前走3着のタクノボーイが断然の1.9倍。気合を入れた彼は単勝1万円をはりこみました。両馬の連勝も買いたかったのですが、新宿のウインズでは午前中は連勝馬券は発売していないので諦めました。まあタイガーフォードは前走2秒9もちぎられて負けたことだし、常識的に望みはないでしょう。
しかしレースが始まると彼の顔色が変わります。タイガーフォードが逃げているのです。しかも一人旅と思われたタクノボーイに競りかけているのです。
両馬の戦いは直線に持ち込まれました。しかしタイガーフォードがタレないのです。何たってヤネは増沢なのです。同馬主なのに遠慮はしないのです。両馬のハナがピタリと揃って、ゴール!
そして嗚呼無情。えてしてそういうものですが、タイガーフォードの単勝は23.7倍もつきました。冬の嵐はことさら身にしみます。その日のお酒はちょっぴり涙の味がしたそうです。
つまりこの話は、同馬主2頭出しは人気薄で勝負というセオリーを表しているわけ。どっとはらい。
BRAでは、このような皆様の愉快な体験談を歓迎しています。それにしても最低やね。ではまた来月。