梅は咲いたか、桜はまだかいな。
ホクトビーナス2連勝

 今月、篠原氏のサクラソブリンがデビューを果たしたことによって、BRA所属オーナーの馬は、少なくとも1頭は出走し、なおかつ、たとえ雀の涙ほどであっても、全員が賞金を取得することに成功致しました。ひとまずは事務局としても、肩の荷が降りたというところです。後は、皆様と一緒に、サクラホクトオーが何もかも持っていくのを静観することに致しましょう。

 さて、この事態を憂慮したBRA事務局では、弥生賞−皐月賞−ダービーとサクラホクトオーがぶっこいた場合に必要となる、20万円程度の財源を確保するため、特別プロジェクトを実行しようと考えております。名付けて「ホクトオーコロガシ作戦」。

 すなわち、弥生賞にてホクトオーの単勝に2万円を投資、その配当を皐月賞、ダービーと全額ぶちこもうというもので、事務局の机上の計算によりますと、\20,000×1.4(弥生賞)×2.1(皐月賞)×2.1(ダービー)=\123,480となり、BRAの負担はかなり軽減されることになります。

 もしホクトオーが負けた場合でも、どのレースでも1着と2着の賞金差は2000万以上はありますから、それほど損をした気分にはならないはずだと思います。そもそも、スタートの弥生賞あたりで負けているようでは、その後、2冠馬などになれるはずもありませんから、それはそれでよしという風に考えられるのではないでしょうか。

 このプロジェクトには、皆様の資金を使用するものであり、BRAとしても初めて勝負に出るといった内容のものでありますので、本来、規約第4条により事務局に決裁権が認められているものではありますが、ここで提案させていただきました。

 皆様の中に特に異議ありという方がいらっしゃった場合は、2月末日までに事務局へご連絡ください。3分の1以上(4人以上)の反対があった場合、当プロジェクトは中止致します。

 さて、悲壮な話の後は、愛馬の最新情報でお楽しみください。


 文頭でも述べましたが、昨年6月にスタートしたBRA愛馬会において、ただひとり所有馬のデビューがなかった篠原氏でしたが、ついにサクラソブリンが1回東京戦にて登場。骨折明けながらも、先行してなかなかの粘りを見せ5着。折り返しの新馬では2番人気に支持されましたが、ツキも無かったのか、分割の他方の勝馬よりも速いタイムで走ったにもかかわらず、再び5着という成績でした。厩舎では、まだ太いとのコメントでもあり、脚質からも次の中山の未勝利戦では、人気にはなるでしょうが、まず勝ち上がってくれるでしょう。

 新馬でサクラソブリンを破って、デビュー戦を飾ったのは、中西氏のアサヒトウコンです。まあズブいこと、ズブいこと。追って、叩いて、しごいて、押して、3コーナーから追い出して最後までバテないというのも、たいしたものかもしれません。次は中山の水仙賞(芝1800m)を予定。果たして中山コースでどういうレースをするか、興味はつきないところ。

 先月号のタイトルを飾った萩原氏のサニーマーケット。今月は果敢に重賞挑戦。G3の共同通信杯でした。もちろん4歳の重賞挑戦はBRA初めてであり、キャリアの割には7番人気とそこそこの期待を受けましたが、やはり新馬−重賞連覇というのはいかんせん難しく、8着と破れてしまいました。次も弥生賞あたりで勝負するのか、それとも自己条件で確勝を期するのか、関係者の判断が待たれます。

 BRA2頭目の2勝馬となったのは、宮崎氏のホクトビーナスでした。開幕週のダート1400を楽勝した後、ダート1600mの特別戦に登場、圧倒的1番人気に応え、逃げ切って2連勝。まだびっしり追い切れないにもかかわらず、関東の桜候補の地位を手に入れました。宮崎氏は、「カッティングエッジが故障し、タニノターゲットも順調とは言えない。アイドルマリーはおそるるに足らないから、敵はシャダイカグラただ1頭。」と得意の虚言癖を出し始めています。

 そういえば、シャダイカグラを大差にちぎった馬がいましたね。どこへ行ってしまったのでしょう。

 同じく宮崎氏期待のウィナーズサークルは、未勝利を勝った後、オーナーの「次は共同通信杯じゃ。」の声をよそに、なんと6頭立てのダートの特別に挑戦、直線で逃げ馬を競りつぶしたところを、思った通り外からきっちりと差し切られてしまいました。これで3度目の2着、一応全て1番人気に支持されているものの(5戦中4回は2倍以下)、ミスタージリアシと言うべき、勝負弱さを見せています。

 ミスタータイサ、マルゼンカイウンは、相変わらず最低人気にだけはなりませんが、2月4日のダートの未勝利戦では、1分54秒4という1800mとしては優秀なタイムで1700mを走りました。1着馬とは28馬身差、それでも単・複・連と勝負してしまうオーナーの姿は、余りにも感動的です。ひょっとすると東京競馬場に銅像ぐらい建つかもしれません。そんなことないって。

 そんな広瀬氏を喜ばせたのは、良血メジロミラマーのデビューでしょう。メジロラモーヌ、アルダンの弟という由緒正しい血筋の同馬は、マルゼンカイウンにショックを受けている広瀬氏を励ますかのように、その2レース後に登場、BRAらしいズブさをみせながらも2着に健闘、複勝のみとはいえ、初めて広瀬氏に馬券を取らせました。ちなみに、ミラマーがゴールインした時、マルゼンカイウンはやっと馬道を引き揚げていくところだったそうです。そんなことないって。

 稼働率抜群の佐々木氏は、今月もライトアートがちゃっかり賞金を獲得しています。9頭だてという手頃な平場に出走した同馬は、5番人気で5着と昇級初戦としてはまずまずのレースをしました。タイムもダート1700mで1分46秒7ならば、これもまずまず。クラス慣れすれば、2勝目も近いでしょう。

 さて皆様お待ちかねの、「無事是名馬シンボリシーザー」コーナー。

 毎月、私たちに「努力」の意味を教えてくれるシンボリシーザーですが、そろそろ報われない努力もあるのではないかと思えてきました。前走ダートで壮絶な負け方をした同馬は、どうせダメなら差の少ない方がいいやと考えたのかどうか、芝1600mの特別という正統派路線に矛先を向けました。14頭立て14番人気、単勝配当はなんと143.8倍。しかし、彼は、懸命に走りました。確かに人気はないかもしれない。連勝だって、自分のいる5枠から買った人は、同居しているトウショウサウザーの方に期待しているのだろう。でも、代用品でもいいから5枠よ来いと思っている人も多いはずだ。その人々の前で頑張りを見せたら、きっと名前も覚えてもらえる。そうしたら、次は単勝で100倍を切るかもしれない。彼は必死でした。でも直線に入った時は最後方。その時、それまで先行していた馬が1頭バテてずるずると後退してきたのです。彼ももちろん疲れていましたが、意地もあります。懸命に叩かれて1完歩ごとに前の馬に迫り、とうとう最下位から脱出することに成功しました。彼に交わされて最下位に落ちた馬が、トウショウサウザーであったことに気付いたのは、とうにゴールを過ぎてからのことでした。こうして、シンボリシーザーの名は、このレースで5枠から流した人々にとって、忘れえぬ名前となったのです。「なんて使えん馬なんだ。」という溜息とともに。(完)

 乙川氏のシンボリシーザーは、これで8戦1勝となった訳ですが、ここにきて、猛然とシーザーを追撃している馬がいます。

 高橋氏所有のナカミトップランです。同馬は昨年11月に1600mの芝でデビュー。勝てないまでも、センゴクヒスイ、モガミサイババ、テンホーといった強敵相手に、5,6,2,5着となかなかの善戦を続けていました。4戦目には、1600m、1分36秒1という未勝利戦としては、相当に良い時計も出して、勝利は近いと思われたのですが、1月末から小倉に遠征。なんと4週間で3回出走して未だに勝ちあがれないでいます。しかも、対戦相手は、中央に比べて格段に弱くなっているというのに、成績は7,12,4着と相手なりに負けてしまうといった内容。現在7戦0勝。もし広瀬氏がオーナーだったら、全財産を失ってしまうところでしょう。この後、中山を使うのでしょうが、疲れが出なければいいのですが・・・。

 さて企画に悩む編集部では、今月は、宮崎氏の特別寄稿を掲載いたします。つまらなくても、ご意見は聞きたくありません。


特別コラム:競馬スタメン分析法

 私が、昔BRA会員であるO氏に教えられた競馬の楽しみ方のひとつに、こういう遊びがある。

 競馬というものは、所謂この馬とあの馬とどちらが強いといった比較とは別に、しばしば世代間の強さの比較というものも議論の対象となるのは、ご承知の通り。いわくテンポイント世代最強説とか、花の47年組といった事柄は、競馬ファンが集まれば必ず話のタネになるものである。

 そこで、このあいまいな世代レベルというものを、できるだけ感覚的にとらえるために編み出されたのが、この「スタメン分析法」なのだ。これは、同一世代の馬で野球チームを作り、そのスターティングラインナップから世代の強さや個性を読み取ろうというものであるが、まず表1をご覧いただこう。

<表1>

  47年組 51年組 55年組
1 スガノホマレ スピリットスワプス ハギノトップレディ
2 ヒデハヤテ クライムカイザー サクラシンゲキ
3 タイテエム トウショウボーイ アンバーシャダイ
4 タニノチカラ テンポイント モンテプリンス
5 イシノヒカル グリーングラス ヒカリデュール
6 ストロングエイト ホクトボーイ キョウエイプロミス
7 ロングエース カシュウチカラ カズシゲ
8 ハクホオウショウ クラウンピラード ノースガスト
9 ランドプリンス テイタニヤ ドロッポロード

 これは近年かなり高い評価を受けた世代のラインナップなのだが、やはりさすがという貫禄がある。特に、4番は全て天皇賞馬、5番は全て有馬記念馬かつ年度代表馬であるというのも渋いところ。

 こうやって見ると、全体のバランスという面では47年組、クリーンナップの破壊力という点からは、51年組がリードしていると言えるだろう。51年組の3,4,5番は全部年度代表馬というのも凄い。55年組は下位打線の弱さのために一枚落ちるかもしれない。これはなんと言ってもベンチ入りすらできなかった皐月賞馬/ダービー馬のせいだと思われる。

 こういうことを書いていると、51年組の4番はボーイだとか、55年組にトウショウゴッドが入っていないのは許せんとか、言う方もあるかと思うが、そういう場合は自分で勝手にオーダーを組み直してもらおう。

 悲惨な年もあります。例えば49年組。

1 イットー
2 カーネルシンボリ
3 アイフル
4 キタノカチドキ
5 フジノパーシア
6 コーネルランサー
7 インターグッド
8 キクノオー
9 スルガスンプジョウ  協力:大西

 なんと8大競走の勝馬がわずか4頭。しかも古馬混合のG1馬はたったの2頭。4番のキタノカチドキが1歳上のイチフジイサミにひねられ、5番のフジノパーシアが決してレベルの高いと言えない世代のイシノアラシに負けているようでは、しょぼいという印象も致し方ないところか。代打、代走陣もスリーヨーク、ニホンピロセダン(こんなの知らねえ)、ニシキエース(こいつも知らねえ)、サクライワイと他の世代ならファームみたいですもの。

 最近の傑作は、58年組。

1 ニホンピロウィナー
2 ウィンザーノット
3 カツラギエース
4 ミスターシービー
5 ギャロップダイナ
6 リードホーユー
7 スズカコバン
8 テュデナムキング
9 メジロモンスニー

 ウィナー、ウィンザーノットの1,2番コンビというのは、柴田、高田という感じですか。G1の数でいっても、スタメンで13個取っているというのが凄い。スズカコバンもまさに不動の7番というイメージだもんね。この世代は代打の牝馬もレベルが高く、ダイナカール、ダスゲニー、ロンググレイス、シャダイソフィア、グローバルダイナ、メジロハイネと揃っている。サンオーイ、シンブラウン、ドウカンヤシマがあぶれてしまったのは、ちょっとかわいそう。

 以外に寂しいのは59年組。

1 ロングハヤブサ
2 サクラトウコウ
3 ビゼンニシキ
4 シンボリルドルフ
5 スズパレード
6 ニシノライデン
7 メジロトーマス
8 ロッキータイガー
9 スズマッハ

 これはひどい。まるで落合がいた頃のロッテみたいだ。特に9番のスズマッハが情けない。G1だってルドルフの7冠を除くと、僅かに2個。もっともそれだけ58年組の壁が厚かったということだろうか。

 筆者が個人的に好きなのは、60年組である。

1 ニッポーテイオー
2 ダイナアクトレス
3 ラグビーボール
4 ダイナガリバー
5 メジロデュレン
6 メジロラモーヌ
7 アサヒエンペラー
8 ランニングフリー
9 フレッシュボイス

 1番を打つニッポーは、長打力のある快速バッターで、アクトレスとの1,2番コンビは、あのウィナー、ウィンザーノットと互角と言える。クリーンナップの破壊力は1枚落ちる感もあるが、この世代は、代打陣にダイナコスモス、ウィンドストース、レジェンドテイオー、ダイシンフブキと骨っぽいメンツが揃っていて頼もしい。しかもスタメンで、2番と7番以外は(3番は不明)、雨に滅法強いので、ドーム球場を造る必要もなく安上がりである。なんのこっちゃ。

 ちなみに、気は早いけれど、63年組のスタメンを組んでみると・・・。

1 トウショウマリオ
2 カツトクシン
3 サッカーボーイ
4 オグリキャップ
5 スーパークリーク
6 サクラチヨノオー
7 ヤエノムテキ
8 メジロアルダン
9 コスモドリーム

 いかがですか。なんとも頼もしいメンバー、これがこの1年でどう変動するか考えると胸が高鳴っちゃうねえ。

 最後に無謀にもBRAのスタメン発表です。

1 マツスイフト
2 ホクトビーナス
3 クラシックブリッジ
4 サクラホクトオー
5 ウィナーズサークル
6 エンドレスアロー
7 アサヒトウコン
8 ブラックブレット
9 サニーマーケット

 こんなところですか。こうしてみると、そう悪くもないんでないかい。誰だ、ホクトオーは敬遠で、ウィナーズサークル勝負なんて言ってる奴は。

 では、また来月。


編集後記

 広瀬氏所有のタクノゲンジ号は、1月末をもちまして地方競馬へ移籍、それにともない自動的にBRA登録を抹消されました。同馬の成績は以下の通り。

(一部省略)

 なおリッチマンプアマンでは、皆様の寄稿をお待ちしております。