96条関係
Q二重効の意味がよくわかりません。(97年度)
A一つの事実状態が複数の法律上の制度に当てはまる場合に、どちらを使うかを訴えを提起しようとする者に決めさせるかどうか、ということです。それをさせる場合を二重効 を認めるといいます。

Q強迫が違法性を有する場合と有しない場合の区別がよく分からない。(97年度)
Aどのようなことを目指して威かすのか(目的)、その目的のためにどのような手段が用いられたのか、という点で判断します。目的も手段も適法なら、その強迫は違法性を有しないということになります。具体的に何が適法で何が適法でないかは、法学部にいる 間に考えてください。

Q民事に介入した警察官は何か処罰を受けるのか? (97年度)
Aよく分かりませんが、警察内部の懲戒の対象にはなると思います。民事の問題では、 不法行為責任を負うことになるかもしれません。

Q要件が@ーCと書いてある場合、それを全部満たさなければならないのか?(97年度)
Aそうです。

Q新興宗教の壷売りは、違法性を有するのか? (97年度)
A微妙な問題はありますが、多分違法性を有すると思います。がまの油売りが違法性を有しないというのは、がまの油の代金が社会一般の感覚では、油の代金というよりむしろ、パフォーマンスに対する対価であると評価される点にポイントがあります。

Qそもそも詐欺場合の具体的に何が違法性を帯びた行為になるのかわからない。(97年度)
A難しい問題です。図書館でいろいろな教科書や注釈書にあたってみてください。

Qなぜ錯誤無効を相手方は主張できないのか? (97年度)
A錯誤無効は、表意者の保護のための制度と考えるからです。相手方は、契約が履行 されても、もともと望んだ法律効果を得るだけですから、無効の主張を認める必要はな いと考えます。

Q瑕疵担保責任とはなんだ。 (97年度)
A極々おおざっぱに言えば、売買の目的物にぱっと見ではわからない欠陥があった場合の処理を扱う法制度ということです。きちんとしたことは契約法の講義で聞いてくださ い。ここで答えるには大きすぎる問題です。

Q詐欺と錯誤の二重効を認めたところで、たいていの人は詐欺による取消を主張するの ではないか? (97年度)
Aそのような気はしますが、たとえば、第三者との関係では、詐欺を主張した方が有利 な場合もあります。

Q詐欺強迫の証拠がない場合はどうなるのか? (97年度)
A基本的には裁判を提起しても負けます。クーリングオフはそういうことも念頭におかれ て作られた制度です。

Q沈黙が詐欺になるのはどういう場合か?(97年度)
A確かにあまりないことだとは思います。しかし、たとえば、相手が勝手に思い違いをし ていたのに対して、信義則上思い違いを訂正すべき立場にあると評価される人がそれ をしない場合、詐欺の可能性があります。

Q詐欺取消と錯誤無効の要件の関係がよくわかりません。(97年度)
A動機の錯誤が要素の錯誤にあたる場合であって、その要素の錯誤が相手方の偽もう 行為に因って生じている場合、それは原則として詐欺の要件も満たすことになります。

Q承継人と包括承継人の違いは何か?(97年度)
Aある人の権利義務を引き継ぐ人のことを一般に承継人といい、権利義務を個別にで はなく、ある人に属していた権利義務を一切合切まとめて引き継ぐ人のことを包括承継 人といいます。民法120条の承継人は包括承継人を指すというのが最近の理解です。

Q第三者との関係でなぜ詐欺と錯誤が区別されるのか?(97年度)
A政策的な判断としてはいろいろありうるし、私も区別にあまり合理的な根拠はないと 思います。しかし、意思教説を前提にして考えれば、一応説明はつきます。強迫受けた 場合には、効果意思事体がいやいや形成されたものであるのに対し、だまされた場合 には、効果意思の前提のところに問題はありますが、効果意思事体には問題がない、 ということは可能です。つまり、効果意思に問題がある、その問題のあり方に差があり、 強迫の場合の方が、より、問題が大きいというわけです。

Q復帰的物権変動の場合、なぜ、権利だけ復帰して登記は復帰しないのか? (97年度)
A所有権が復帰すれば当然登記名義の回復も可能になります。しかし、所有権の復帰 は観念的な問題であるのに対し、登記の移転は実際に登記手続をしなければならず、 そこにタイムラグが生じるわけです。

Q取消の遡及効を第三者との間でも貫徹すれば、取消の意思表示があった時点で、登 記も無効になるのではないか? (97年度)
Aそうなります。しかし、登記は手続をしなければ、自動的には元に戻らないわけです。

Q94条Aの類推適用の場合、過失の有無は問題にならないのか? (97年度)
Aなります。通常は保護されるべき第三者は善意無過失の第三者とされます。

Q背信的悪意者排除論とは何ですか? (97年度)
A詳しくは物権法で勉強してください。不動産の二重譲渡の場合、第一買主は登記がな ければ第二買主に所有権を対抗できないのが原則ですが、特に性質のわるい第二買 主(背信的悪意者)に対しては登記なくして権利を対抗できるという考え方です。