【コラム・2】 テンカラ釣りのススメ


 テンカラというのは、日本古来から伝わる毛鉤釣りのことで、各地にさまざまな形で伝承されています。
 若者を中心に人気となっているフライフィッシングと異なり、道具立ても簡素で、ラインを飛ばすテクニックも要らず、比較的アプローチし易い釣りといえるかもしれません。
 もちろん、テンカラ師の方々からは、その奥の深さを知らずして・・・とお叱りを受けるかもしれませんが、テンカラ初心者の私は、それほど深く考えず、ただただ手軽に楽しめる釣法の一つとして捉えています。

 テンカラの良いところは、なにしろ道具立てが簡素なことで、「竿+ライン+ハリス+毛鉤」とこれだけがあればどこででも竿が出せることです。
 エサなどを用意する必要もなく、気が向いたときに、わずかな空き時間でも、気軽に竿を出せるわけですから、釣りキチにはこれほど有り難いものはありません。
 私の場合は、幸いなことに家の近くに程よい大きさの川がありますので、遠出できない時や、休日に所用があるようなときでも、少しの空き時間を利用して竿を振ることができます。

 私にとっての「テンカラ釣り」は、小腹が空いたとき、ちょっとの時間で食べれるような「立ち食いそば」や「牛丼」のようなもので、無くてはならないモノであります。

 みなさんも「テンカラ釣り」を初めてみてはいかがでしょうか?
 以下に、テンカラに必要な道具を紹介しておきます。



【 竿 】
 テンカラ専用の竿もありますが、テンカラ師を目指すのでなければ、渓流竿を流用するのも良いですし、無ければ廉価品の渓流竿を購入すれば良いでしょう。
 ただし、頻繁に振り込みを行う釣り方なので、軽くてグリップの握りが良いものを選ぶことが必要です。
 マイナーな釣りだけに専用品はあまり種類が多くなく、有名釣り具メーカーでも2〜3種類をラインナップする程度で、価格帯も2万円前後からとなっています。

 長さは3m〜4mくらいが使いやすく、あまり長いと体力的に厳しいものがあります。
 先調子の竿ほどピンポイントで攻めやすく、胴調子の竿ほど軽いラインを振り込みやすいのですが、オールマイティーに使えるのは6:4調子で、これを基準に7:3調子、5:5調子を使い分けると良いでしょう。

 個人的にはテンカラ専用4.2mの竿を購入して使っています。
 メインフィールドが千歳川中流域であるため、川岸も比較的スペースがあり、川幅なども考慮すると長めの竿が良いだろうという選択です。
 専用竿を購入したのも、たまたま訪れた釣具店で手頃な価格のものが置いてあったからです。


【 ライン 】
 もともとは馬素と呼ばれる馬の尾の毛を撚ったものが使われていたそうですが、今では「テンカラばす」という名でナイロンを撚ったものが売られています。
 竿側が太く、針側が細くなるようにテーパーが付いており、ラインの重さを利用して振り込み易いようになっています。
 ただ、置いている釣具店が多くないのと、振り込みの容易さを考えると、フライフィッシングのランニングラインを切って使う方が多いということです。
 ダブルテーパーのラインならば、両サイドを切って2本取れるので、廉価品ならば専用ラインとさほど変わらない値段で入手できるうえに、扱いも断然楽です。

 長さは竿いっぱいというのが基準のようですが、中にはから竿の1.5倍もの長いラインを操るベテランもいるとか。
 初心者のうちは短めのほうが振りやすいということで、私はフローティングタイプのフライライン(DT3F)を3.2mの長さにカットしたものと、3mのテンカラばすを併用して使っています。


【 ハリス 】
 テンカラについて書かれた本や、ネットなどでの情報を見ると、1.5号を基準にしている人が多いようですが、太めのハリスが気になる方は1号を選択すると良いでしょう。
 渓流用にはもっと細いハリスが・・・と思われる向きもあるでしょうが、1号以下になると振り込みの際にループが出来やすくライントラブルの元となります。
 長さは1.5〜2mくらいが一般的ですが、ベテランになると3mもの長ハリスを使う場合もあるとか。
 個人的にはフライ用のリーダーをハリスとして使っています。


【 毛鉤 】
 テンカラ用の毛鉤ですが、フライフィッシングのフライに比べると極めてシンプルな作りであり、針に胴と蓑毛(ハックル)を巻いただけというものがほとんどです。
 いわゆる「伝承毛鉤」と言われるもので、大型の釣具店や、渓流釣りに力を入れている釣具店ならば、いくつか置いてあるのをみることができます。
 もともと種類は少なく、フライフィッシングほど毛鉤の選択にこだわることはありませんが、やはり魚の捕食に合わせたものを用意することに越したことはありません。
 もちろん、自分で巻くのも楽しみの一つでしょうが最初のうちはフライ用の鉤を流用するのが手軽で良いかもしれません。
 個人的にはメイフライダンや、カディスアダルトなどのドライ系フライを購入して使っています。
 自分で作成するほどのめり込むつもりが無いのと、作成に要する時間と労力を考えるならば、購入したほうが安上がりということもあって、既製品を購入していますが、無論、フライタイイング自体を趣味としたい向きの方には別の話です。



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