思い出して

深谷庄一(Shoichi Fukaya)

  1. 防衛の経済学
    (1999-10-14)
  2. 正常にダウンロードしても解凍できないとき
    (1999-10-19)
  3. 2000年を迎えて
    (1999-12-25)
  4. BackOrifice.Trojan
    (2000-01-07)
  5. MO の行方
    (2000-05-06)
  6. いつも後ろ手
    (2000-06-11)
  7. CATVでインターネット
    (2000-09-25)
  8. 実行ファイルの圧縮
    (2000-10-05)
  9. Closed World
    (2000-11-21)
  10. Kylix Open Edition
    (2001-10-02)
  11. RichEditフォームのバグ
    (2002-10-01)
  12. Kylix は情報不足
    (2003-09-11)
  13. FTTH の感想
    (2003-09-11)
  14. 物真似経済学(Mimic Economics)からの脱却は可能か?
    (2003-10-31)

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1.防衛の経済学

 二三日前から急にこのページへのアクセスが増えたと思ったら、どうも「経済セミナー」の11月号に、このページの紹介記事が載ったからのようですね。まだ紙のメディアは健在ということでしょうか。まあすぐに静かになるでしょうが。

 やっとサンドラー・ハートレー著『防衛の経済学』(日本評論社)がでました。出たらホームページで知らせてくれという人もいらしたので、お知らせしておきます。学部上級生向けのやや高度な本なので、寝て読むというわけにはいきませんが、欧米の防衛論議の一端を伺うには丁度いい本です。4900円と値が張りますが、類書がほとんど見あたりませんので、貴重だと思います。

 私は別に英語が得意なわけではないのですが、なんと2冊も訳書を出している。不得手だからむしろ日本語に直さないと読んだ気がしないということもありますね。すべてがコンピュータ処理だから、人名のスペルチェックも完璧で、原著よりも間違いは少なくなっているはずです。これは著者にも確認済み。原著自身が387ページあって、翻訳書は全訳なのに原著とページ数がほとんど変わらないという、玄人受けする芸当がにくい!

 経済情報も以前とは較べものにならないほど豊富になっていますが、軍事情報もあふれかえっていますね。Internet をさまよっていて実感しました。これらをうまく利用すれば、防衛経済学も進歩するかも知れません。まあ努力次第ですが。このアイデアで新しい本を書こうと構想中です。

1999-10-14

2.正常にダウンロードしても解凍できないとき

 突然、思い出したので書いておきます。ファイルを Web からダウンロードしたとき、正常にゲットできても解凍できないとか、実行時にエラーが出て動かないということがまれですがあります。メジャーなサイトではないでしょうが、マイナーなサイトでは結構起こります。Asahi-net はしっかりしているから違いますが。

 これは、unix の www サーバーが、 .lzh などをテキストファイルと誤解して、MS-DOS の行末記号に変換してしまうからのようです。といっても分からない人も多いかも知れませんが、 unix テキストファイルの行末記号は LF(0x0A) のみであるのに対して、DOS の行末記号は CR+LF(0x0D0A) です。そこで、バイナリファイルを送り出すときに、LF の前に CR を機械的に付け加えてしまうのです。それが、LHA とか OS にはファイルが壊れており正常でないと受け取られるのです。

 実はこの行末記号を変換するソフトというのはいろいろ出回っています。テキスト・ファイルであることが分かっていれば、一行ずつ読み込んで、行末の CR+LF から CR をとって LF に変換すればいいのですから、ごく簡単な操作です。問題は lzh などのバイナリー・ファイルの場合です。

 通常は Web のサイトに報告すれば設定を変えてちゃんとダウンロードできるようになおしてくれますが、時間もかかります。そこで私は以前から、0D0A を 0A に変換するソフトを作ってそれに対処してきました。このごろはあまり使うこともなかったのですが、最近もまだこの症状に出会ったので、依然存在意義があるかなと思い始めました。

 実は自分で書いたプログラムソースを見直してみたのですが、何をどう考えたのか忘れています。中身は結構面倒です。バイナリーファイルの 0A を探し出してその前の 0D を取ればいいのですが、一度読み込んだ部分の前をまた読み込むことは面倒です。逆に 0D を見つけてその後に 0A があれば 0D を取るという方がいいみたいですが、オリジナルに存在していた 0D なのか、0A の前に付け加えた 0D なのかを識別しなければなりません。0D0D0A とかの場合をどうするか。

 ちょっとしたパズルですね。

 どおりでバイナリーファイルの0D0Aを0Aに変換するソフトは余り見かけません。ありますか? もともとが設定ミスを前提にしているので、需要もないのでしょうが。

 ということでそのソフトをここに置いておきますので、必要がでて、思い出したら使ってみてください。何回ダウンロードしてもエラーがないのに、正常に解凍できないときには、上記の原因を疑っていいと思います。

1999-10-19

3. 2000年を迎えて

 2000年を迎えて、2000年問題に直面している人もおられると思います:-)

 ここに発表してきたプログラムも少数ながらも熱心な支持を得て、足かけ5年目になります。当初はこういうホームページが珍しかったせいか、海外におられる日本人の(手元に参考書がない)方からの問い合わせが多かった記憶がありますが、最近は、統計分析を言いつかった、日本企業の方が手始めにいじってみるというのが多いようです。違いますか? データが少ないからよく分かりません。

 『パソコン統計学』第2刷には期限なしの CAS が CD-ROM に入っているか、出版社に直接問い合わせる方もいらっしゃるようです。勿論入っていますが、もうバージョンが古くなっています。Windows版に合わせて本も書き直そうかと思いますが、今年中には間に合いそうにありません。

 そこで、Version 1.00 に上げた記念に、期限付きでないプログラムをプレゼントしますので、興味のある方は、「CAS希望」という件名(subject)で、メールしてください。返事は一週間ごとに行いますが、2000年1月一杯対応したいと思います。使い道などもメールしてくれるとうれしいです。

1999-12-25

P.S.

 一応一月いっぱいで、無期限版配布は終了しました。ただし、出版社の意向もあり、今年中には CAS の Windows 版を出版したいとも考えています。

 今までの要望の内、一番多いのはカテゴリーデータを扱えないかというものです。これはエクセルなどとの協調関係を考えると当然起こる要望でしょうが、データベース的仕様になると、各列の型チェックを厳密に行なわないといけなくなり、各列をクリックするだけで瞬時に基本統計量を表示するという操作にも支障をきたし、カテゴリーデータがあるだけで回帰分析もできなくなるという仕様もどうかなと思うと、ご希望に答えられないような気がします。いい対処法を考えついたら考慮します。

 サンプル数1200というのも実用的ではないかも知れません。実務に使うとは必ずしも考えていなかっただけで、原則的に、これらの制限はいくらでも広げられます。ただし、物理メモリをどれだけ積んでいるかという各人の環境に依存するという問題がでてきます。サンプル数を1万以上にすると、メモリ不足でプログラム自体が立ち上がらない場合がでてきます。さらにセルの初期化に手間取って、新規データの読込に結構時間がかかるようになります。標準的な環境は 64MB くらいでしょうから、論理的にはいくらでも拡大できるのですがなかなか適当な値を見つけられません。参考になるご意見があればお聞かせください。CD-ROM にはいくつかの組合せのバージョンを複数焼き付けたいと考えています。忘れなければ。

2000-02-01

4. BackOrifice.Trojan

 シマンテック社の Norton AntiVirus の試用版をダウンロードして、ウイルスの検査をしてみたら、BackOrifice.Trojan が見つかりました。boserve.exe と speaky.dll を、ソフトでは検疫できなかったので、手動で削除したんですが、それで良いのかな? Trojan って Virus とは違うようですが、何かさっぱりしました。一応ソフトを配ったりしているのでたまにはウイルスの検査もしておかないと責任が果たせません。今まで放っておいたことの方が反省させられます。試用版だから30日しか持たないみたいですが。

 

(2000-01-07)

5. MO の行方

 一時 241,000円までいった光通信の株価が、10,000円を割る寸前(11,800円)で踏みとどまって、現在 16,800円。この連休明けにどうなるか。光通信の株を持っているわけではありませんが(持っていたら気が気でない)、気になります。IT 関連企業も選別が進んで、一部のバブルがはじけただけですから、日本株全体については安心感が広がっていますが、これだけの激しい動きは久しぶりです(というか、いまだかつてない)。

 私が最初に買った MO カートリッジ、93 年夏でしたが、128MB で一枚 4750円でした。安い物で4000円弱というところです。5枚買えば2万円という今から考えると信じられない値段です。その頃、有名メーカーの MO に混じって、安めの値段で気を吐いていたのが、光通信の Macdisk という MO でした。私は当時よく買っていましたが(当時ステップという安売り販売店があった)、あれってこの上場企業「光通信」の MO なんでしょうか(マークが同じですから、同一の会社でしょうね)。品質に問題はないのですが、何とも怪しい会社でした。すぐ見あたらなくなりましたけど。

 現在 MO は 230MB で一枚 4〜500円でしょうから、10分の1以下、20分の1です。光通信の株価同様の急落ぶりですね。こちらはいい意味でですが。

 光通信の株価が free fall への道をたどるのではないかと予想している私としては、つい MO の将来とだぶって見えてしまうのは以上のような思い出があるからです。光通信の株価を見ながら、MO の行方をつい案じてしまうのです。MO も 640MB、1.3GB と自らの改革に余念はないのですが、FD もその意味では高容量化が進んでいるとはいえ、だんだん使われなくなっていますから、MO もその道をたどると予想できなくはありません。

 MO 保存のデータを多く保有している私としては、手頃な大きさと使いやすさで、まだまだ無くなって欲しくないメディアなんですが、「光通信」と共になくなっていくのかも知れません。さすがに今、5インチディスクは使いようもない!

 いずれにしても、来週月曜日からの光通信の動きに注目です。

(2000-05-06)

 

 予想通り光通信の株価はストップ安を重ねて、ふたたび急落の様相をみせています。しかし、予想が当たったとばかり喜んでもいられません。予想に反して、日本株自体が怪しくなっているのは気がかりです。まあそれはいいとしても(個別保有株は上がっているから)、問題はアジア株が下がっていることですね。私の儲け株の筆頭でしたから。

 しかし、下がり始めると、あることないことさんざん言われますね。まあ今後どうなるか、分かりませんが。

(2000-05-10)

6.いつも後ろ手

 昨年は日本株が上がり続け、日本経済も順調に成長軌道にのったかに見えました。とくに、昨年後半から株価のいわゆる二極化が進み、ニューエコノミー株が急上昇する一方、オールドエコノミー株は低下するばかりでした。そのニューエコノミーとは、まさにIT関連企業で、ソフトバンクと光通信がその代表です。

 その中で日本経済新聞社はこの4月15日(土)、日経平均株価組み入れ銘柄を入れ替えると発表しました。突然、9年ぶりに、30銘柄も入れ替えるというアナウンスでした。新規組み入れ銘柄はいわゆる値がさ株が多く、新規組み入れ銘柄だけで、日経225銘柄の半分近くの金額を占めることになります。

 値がさ株購入のためには、据え置き銘柄さえも売らなければならず、除外銘柄も当然売り圧力にさらされました。

さらに問題は、実際の組入れは一週間後の24日(月)から実施するという点です。あわてたのは、いわゆる日経225のインデックスファンドです。律儀にも、24日の直前の取引日21日の終値の株価で新規組み入れ銘柄の株を買わなければ(インデックスの連続性を保てない)とかんがえてしまったわけです。21日には必ず新規銘柄に買いを入れ、除外銘柄は売られると前もって分かっているのですから、17日から21日までの一週間は組み入れ銘柄が急上昇しました。必ず売れるわけですからいくら高くても前もって買っておけばいいわけですね(注文が分かっている証券会社はここで大儲けしたといいます)。上がればいいのではと思うかも知れませんが、24日に組み入れ後は半分以上(70%)下落して、いわば一週間の一方的投機(one-way option)の仮需がはげてしまったのです。

 さらに、日本のIT関連株も2月下旬頃(2月28日、CSKがセガを救うために時価発行増資で1,000億調達すると発表した日)からそのメッキが剥げ始め、加えて丁度4月14日、NYダウの急落(617.78ドル5.7%)とナスダック(355.49ポイント)の下げを受けて、さらに下げを強めています。光通信はその代表ですね。

 これって、典型的な高値掴み。日経225のインデックスファンドを買っていた人はとんだとばっちり。日経新聞社にも言い分はあるのでしょうが、率直に言って、IT銘柄の上昇に乗り遅れまいとして大失敗したとしかいいようがありません。

 さらに、専門家の間では、日本の株価インデックスとしてこの日経平均が、ニュースでの頻繁な言及にも拘わらず、見向きもされていないとささやかれ続けているのも皮肉です。もう化石だからと軽い気持ちでいじくって失敗したのでしょうか。

 このことで、日経平均の役目は終わりを告げたとしかいいようもありません。まさに化石となり、伝説になってしまったのです。

 同様の意味で政策当局の後ろ手を感じさせるのは、マイクロソフトに対する米司法省の分割命令でしょう。それこそOSを介した独占力のまさにその力が急速に低下しているその時に、さらにこれから長年かけて判断が下されるのでしょうが、なんとも拍子抜けです。6年前の和解の時にはまだ産業の揺籃期で産業保護が必要だったが、今は成熟期だから分割するという説明もありますが、あっちこっちにアンチマイクロソフトのサイトが立ち上がり、まさにその反発が盛り上がったその時に何にもしないで、という気持ちが残ります。マイクロソフトの独占力が Outlook などの欠陥メーラーをはびこらせ、現在、マクロウィルス(ワーム)などに悩まされているともいえなくもありません。学問的にも分割の効果が不明確である(分割でかえってマイクロソフトが強化されるという議論もある)わけで、マイクロソフト分割問題への興味はますます失われていくのではないでしょうか。マイクロソフトがコンピュータ世界の代表としての役割を終えつつあるのですから。

 市場を outrun することは、きわめて困難であるということです。

(2000-06-11)

 経済白書の「日経平均」批判(?)に反論して、日本経済新聞社は15日の6面全面を使っての反論を載せていますね。私自身はまだ日経225インデックスファンドから乗り換えていませんが、それは損切りするのがいやだからで、値が上がってきたところでいずれ乗り換えるつもりです。

(2000-07-15)

7.CATVでインターネット

 この夏、私の住んでいる地区の CATV 会社と契約して、我が家のインターネット環境を 128kb の常時接続に変更しました。混んでいるらしく、申し込んでから一ヶ月半かかりました。上流は ODN の 6Mb で、確かに速い。今までは28.8kbのダイヤルアップでしたから、なおさらその感を深くするのでしょうが、慣れればこれが当たり前になるのでしょうね。一ヶ月5800円。多少高いけど、テレホーダイを解約して1800円を節約すればまあ許せる範囲内でしょう。

 ということで、この asahi-net からは徐々に退却するつもりです。メールアドレスの関係で、急には解約できませんが、すでにほとんど接続していません。このホームページもほとんど更新していないし。

 asahi-net は、パソコン通信(telnet で繋げれば電話代はかかりません)の方で、朝日新聞の記事を一括ダウンロード出来ることにまだメリットを見出しているので、解約するつもりはないのですが、新聞記事の検索も野村のホームトレードなどでほぼ無料で出来ますから、だんだんそのメリットも薄れてきつつあります。しかし、テキストファイルを対象に、ローカルな検索の方が自由が利いて便利ですから、なかなか捨てられません。

 ついでに、最近パソコンを更新したので、その経験を書いておきます。

 Celeron 533Mhz 、HDD 15GB のパソコンを49800円(税抜き)で買いました。DVD-ROM ドライブ付。OS はついていないと言いながら、付属するリカバリCD-ROM を起動させたら、なんと英語版Windows 98 が正常にインストールされました。販売店への名誉のために言っておきますが、もちろん product key を入力しなければ動きませんから、普通の人にとっては OS がついていないという表現も間違いではありません。しかし、 product key なんてね (^_~

 ついでに言うと、DVD 再生ソフトもついていないといえばついていないのですが、Power DVD の trial version をインターネットからダウンロードしてきて、英語版 Windows 98 にリカバーされた Power DVD を上書きコピーすると、ちゃんと正規版ソフトに生まれ変わります。これは著作権法違反ですから、破棄しなければなりませんが。

 DVD プレーヤーが 5 万円で手に入り、インターネットやワープロはその付録という世界を経験した次第です。ハードディスクの半分に linux をインストールして、開発環境を整えているのですが、inprise はなかなか linux 版を出してくれない。

(2000-09-25)

 ADSL との競争の結果でしょうか? 我が家の契約している CATV、12月から 512kb、つまり速度が4倍に上がるようです。これで他のCATV運営会社と並んだという感じです。やはり競争は重要だ。しかし今後、DSLとか無線とか、インターネット接続はどうなるのでしょうか。ISDN の失敗はもう明らかでしょうが。

(2000-11-21)

 競争の加速で、CATV経由のインターネット接続、2001年4月10日から下り2Mbpsになりました。実測はそれほどでないけど、時間帯によっては超高速になりました。しかし、4月から asahi-net では朝日新聞の記事を廃止してしまったのが痛い。Web で記事を見ることが出来るとはいえ、テキストファイルの形で記事のデータベースを蓄積してきた私としてはがっかりです。

(2001-04-11)

8.実行ファイルの圧縮

 ファイルの圧縮技術も進んでいるのですね。かつて、ハードディスクの容量が少ないときとか、16ビットFATでクラスタサイズが大きいとき、ファイルを圧縮することが必須でもありました。実行ファイル自身を圧縮するということが可能であるということを示したのは、1989年暮れ頃、当時弱冠17歳の Fabrice Bellard が発表した LZEXE でした。その後、日本人の Teddy Matumoto による DIET が私自身の定番ソフトになりました。 しかし、Windows が広まるにつれて、オーバーレイがサポートされないこれら「実行ファイル圧縮ソフト」は次第に忘れ去られるようになったと思います。少なくとも私の中では。

 たまたま本日、Web をさまよっていたら、upx というソフトを見つけました。MS Windows の実行ファイルや dll だけでなく、linux の aout や elf までサポートされています。すごい。

 ためしに、ここに up してある cas.exe(1384KB) を圧縮したら、371KB になりました! 約3分の1です。

 これで実行ファイルの大きさを気にすることなく開発できることになりました。今まではフロッピー1枚におさめようと、ルーチンを削ったりいろいろ無駄な努力をしてきましたが、そんなことを考える必要がなくなったわけです。

 あまりにうれしいので、ここに記録しておきます。

(2000-10-05)

9.Closed World

 最近、The Closed World: Computers and the Politics of Discourse in Cold War America (Cambridge, MA: MIT Press, 1996) by Paul N. Edwards という本を翻訳しています。内容は、現在のようなコンピュータの発展は戦後アメリカの冷戦イデオロギーに原因があるという、科学社会学・科学思想史的研究です。コンピュータの発展史を、今までの人工知能・認知心理学的視点や工学・経済史的視点からではなく、政治学・思想史的にたどった500ページ近い書物です。

 最近は翻訳ばかり。しかも連続はきついのですが、まあぼちぼちやっていく他はないでしょうね。ちなみに、サブタイトルのDiscourseというのは、ミシェル・フーコー(なつかしい名前!)の用語で、これもなんと訳したらいいのか。「言説」とか訳している人もいましたが。表題のクローズド・ワールドはシェイクスピア学者の言葉らしい。このことが暗示するようにとにかく分野が多岐にわたっています。読むのはいいけど、訳すのは大変です。とんでもないポカが怖い。

 しかし学者らしく知的廉直(integrity)は感じますね。たとえば、cyborg の語源など、辞書やインターネットで調べてもなかなか正確な出典が見つからないものでも、ちゃんと正確な記述を見つけることが出来ます。その意味で信頼性は高い。

 興味のある人は訳者陣に加わりませんか。ただいま募集中です。

(2000-11-21)

 上記の翻訳はやっと五合目といったところでしょうか。Edwards氏からは、速くやれと催促されていますが。

(2001-10-02)

 一応翻訳も一段落しましたので、「訳者あとがき」の部分だけ載せておきました。

(2002-07-20)

10.Kylix Open Edition

 ついに、Kylix が登場しました。Vine Linux 2.1.5 にパッチを当てて、インストールしました。感じは Windows 版とほぼ同じ。

 その前にわたしが怖かったのは、Delphi 6 が動くのかということでした。前に報告したと思いますが、今開発中の Delphi 2 から 4 に移植しようとして、動かなかったからです。ところが、 Delphi 6 にはあっけなく移植に成功。何となく気分がすがすがしい。新しいバージョンでもやっていけそうだという、未来志向に転換しました。

 てっきり Delphi 2 専用のコンポーネントのせいかと思っていましたが、単にフォームの食い違いだったようです。Delphi 2 の dfm を text に convert し、再び dfm にコンバートし直したら正常に動くようになりました。ソースのないコンポーネントを使っている所などを切り離すのに手間取りましたが、今は Delphi 2 のソースと全く同一のまま動いています。Delphi 4 でも動いています。ファイルの大きさが膨れあがりますが、 upx があるから気になりません。これで、 Delphi 6 で開発して、そのまま Kylix に移せることになったわけです。

 しかし今までの vcl を clx にするのにはなかなか手間がかかりそうです。ユニット名の前に、Qをつければいいようですが。一応フォームだけは Windows 版と同じような外見にはなっていますが、コンパイルするのが怖い。

 しかし色々なことがおきますね。最近は。9月11日の同時多発テロに加えて、Nimda ウイルス、さらに狂牛病です。経済はますます悪化し、小泉内閣への期待も次第にしぼんできています。

 今年三月、久しぶりに卒業式にでてみたら、壇上の前面に小泉さんが陣取っていました。毎年来ているということです。それ以来応援はしてるのですが、このままでは誰かさんの二の舞になりそう。

(2001-10-02)

11. RichEditフォームのバグ

 変数の数を大きめにとって主成分分析などを行うと、行の追加エラーで止まってしまうという報告を受けて、色々調べてみましたが、Delphi のメーリングリストを検索しても明確な解決がついていないもののようです。

 唯一以下の方法があるようですが、ソースの至るところに Add が散らばっており、手間がかかるので躊躇しています。

> 現在、通信関係のソフトを開発しているのですが、RichEdit の Add メソッドで
> EOutOfResources(リソース不足)の例外が発生するようになってしまい
> ました。
>
> RichEdit の MaxLength には、20000000 の値を入れており、まだそんなに
> Add していない状態で発生します。

Lines.Add メソッドで読み込んでいるということですね。
私も同じトラブルを経験しましたが、Lines.Add の代わりに、一旦 TMemoryStream に書き出してから、LoadFromStream メソッドを使うという方法で回避しました。

 マニュアルには MaxLength プロパティに 0 を与えれば容量が無制限になると書いてありますが、実は明示的に 20000000 バイトなどと書かないと 32KB の制限を受けることはよく知られたバグです。しかし、20000000 と書いても上記のように 64KB あたりで例外が発生してしまいます。

 おかしなことにマシンによっては何バイトでも例外を発生させないで Add 出来るものもあるのです。どうもマシンの負荷がかかっていて遅いマシンだとうまくいくような気がするのですが、まさかそんなことはあるまいと、システムファイルの Riched32.dll を新しいものに代えたり、CPU の違うマシンで実行させたり、コンパイルオプションを変えたり、TRichEditの拡張コンポーネントなどを試したり、色々試みましたが、未だ原因をつかめ切れていません。

 これだけ多くの人が困っているのに解決がついていないという、Delphi では珍しい例ではないかと思います。誰かさんの検索に引っかかるように記事にすることを決心して今こうして書いているのですが、久しぶりにプログラミングにはまってしまいました。

(2002-10-01)

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12. Kylix は情報不足

 一時はプログラミングに打ちこめなくて、「開発時間と意欲がなくなったので、使用期限を取り去りました。(2001/12/31)」と書きましたが、ちょっと時間ができたので、CAS を Linux に移植しています。

 といってまだ完全に移植し終えたわけではありません。コンパイルには成功したのですが、肝心のメインのフォームで実行時にメモリーエラーが出ます。個々のプログラムは何とか動いているので、移植は時間の問題だと思っています。

 これは新しい世界です。DOS の世界から Windows の世界に飛び込んだときにも、新鮮な世界に興奮したものですが、今回も実に楽しい。10歳は若返った気がします。これだからやめられない。Unix でも簡単にプログラムが作れるというのも楽しい。そんなことで最近は実に爽快です。

 しかし、いくらデバッガで見てもバグが見つからない。これは、Delphi2 から Delphi4 に移植したときにも経験しましたが、フォームとソースが合っていないという症状です。ただ、今回はそうでもなさそうですし、困ってはいます(しかしこれがないと移植の醍醐味もないのですが)。フォームを作り直せばいいのでしょうが、それだけの時間を作る必要が出てきます。さて結局どうなるのか、わたし自身にも分かりません。

 しかし、Delphi2 が出たときはみんな熱病のように感染し、数々のコンポーネントが流通しましたが、Kylix に関しては Mailing List を含めて静かですね。情報が足りません。というわけで、完全な移植は無理そうなので、Unix についてはソースファイルの形で公開しようと考えています。

 しかし需要もないのかも知れません。Unix でのアプリケーションに対する需要はまだまだ少ないのでしょうか。Linux をいじれる人が初歩的な統計ソフトを動かすこともないのかも知れませんが。単なる自己満足でしょうか。今後 Linux が広まることを見越して今から用意しておくということで、先行投資という位置づけです。

(2003-09-11)

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12. FTTH の感想

 実は我が家のインターネット環境をこの8月から光ファイバーに切り替えました。今までの CATV でもそれほど不満はなかったのですが、どうせ切り替えるとしたら、無料サービスが繁茂している今しかないという決断です。料金は1000円ほど差が出ますが無料期間の3ヵ月分を差し引くと1年半分くらいは元通りの価格という計算になります。

 通信速度ですが、ルーターを介して、平均 30Mbps といったところです。実は始めて知ったのですが、この遅さは OS のせいだということです。私の環境は未だに Windows98SE なので、これが限界だというお告げです。知らなかった! だからといって今ウイルスで話題の xp に変える気にもなりませんが。

 サイトによっては 毎秒5〜6Mバイトでファイルをゲットできます。インターネットの方が、ローカルなハードディスク間の転送より速いくらいです。この経験は世界を変えますね。

(2003-09-11)

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12. 物真似経済学(Mimic Economics)からの脱却は可能か?

 相変わらず日本の学界は海外の物真似が多い、と感じさせてくれたのが、政府紙幣の発行という政策でした。スティグリッツが日本に来て、日銀紙幣ではなく政府紙幣を発行すればそれがそのまま政府の収入になるといえば、それにすぐさま追随する人が出てきたからです。それが榊原英資、何故?

 そういえばインフレターゲット政策もそうでした。日銀に株・不動産・外貨を買わせようとするインフレターゲティング理論の提唱者は、クルーグマンではなかったでしょうか("Japan's Trap" は1998年5月)。しかし、伊藤隆敏『インフレ・ターゲティング』(日経新聞社)を読むとそうとは書いてなくて、むしろ p.71, p.100 などでは違いを暗示して(独自性をアピールして?)いるようですが、いったい何故? インフレターゲット論は学界の正統的政策だと標榜したい伊藤氏には変節的クルーグマンに同調できなかったからでしょうか?(小塩隆士『新・日銀ウオッチング』日経2000年p.169 によれば、長期的に貯蓄率低下、それ故の成長率低下を見込むクルーグマンに対して、日本のインフレターゲット論者は短期的な景気対策としての調整インフレ論だからだと解説しています。)

 クルーグマンは、日本の失敗が世界(たとえば中国)に蔓延する前に、過去二十年間支配してきたサプライサイド経済学ではなく需要不足の経済学を復活させなければならないと書いています(The Return of Depression Economics、2000年ですからもう古くなっていますが、)。またまた物真似議論が出てきそうな気がします。だとしたら日本の経済学も救いようがないですね。

(2003-10-31)

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