これまでの話題(99年10月後半)

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1999年10月30日(土)〜31日(日)

「ダイエーの優勝効果」

とうとうダイエーが日本一になりました。王監督のうれしそうな顔が印象的でした。が、考えてみると、本当に喜んでいる人が他にいました。ダイエーの中内会長です。

ダイエーがリーグ初優勝を果たした9月26日から4日間のセール期間中、ダイエー本体だけで通常の3倍近い520億円を売り上げたそうです。ほぼ全商品を1〜2割引で販売しましたが、なんといっても目玉は100円、300円といった超安値の衣料品です。この目玉商品は、1日に1000人分用意したとのことですが、開店30分前後で売りきれたそうです。

この他、地元福岡に与えた経済効果の試算によると、県内の需要創出額は146億円、広義の波及効果は246億円だそうで、県内総生産を0.14%押し上げるとのことです。

消費が低迷している中で、こうした“イベント”の販促効果が大きいことは、デパートの閉店セールの活況ぶりをみても分かります。今年1月の日本橋東急の閉店セールでは、前年の7倍強の165億円を売り上げ、6〜7月の三越新宿店南館の閉館セールでも売上は前年に比べ倍増しました。

閉店や優勝はめったにないイベントですから、日頃財布の紐をしめている消費者の鬱憤をはらすよい機会となっているようです。ある人は、このような現象を、“イベント型消費”とか“お祭り消費”と呼んでいます。

ただ、ダイエーが優勝効果を満喫したとしても、これは一時的でこれからの再建の道は依然として厳しいものがあります。タガが緩んだ社内を立て直し、商品や人を改革するのは当然ですが、イベント型消費を創造するソフトの力が重要ではないでしょうか。

景気の先行きに明るさがみえてきましたが、企業にとって、消費の大半を占めるファミリーの購買意欲をかきたてる工夫がまだまだ足りない、と思う今日この頃です。


1999年10月29日(金)

「アジア経済の回復で日本も復活?」

アジアから先行きの明るさが見えてきました。BW誌によれば、アジア経済の回復によって、現地の日系企業の売れ行きが伸びているそうです。

タイのトヨタでは、この8月までにタイで前年比売上40%増、その他の東南アジアで29%増となったそうです。また、日本から東南アジアの工場向け原材料や部品輸出が対前年比11%増を示しているという。こうした環境の好転を受けて、東南アジアの日本企業の75%は黒字化する見込みとのことです。

こうしたアジアの日本企業の業績回復は、アジア危機以来、コスト削減とグローバル市場での展開を図り、一層強く効率的な体質に変身したからです。

それから、日本製品の人気が高いこともアジアでの回復を一層促進する結果となっています。台湾の若者の日本製品オタクぶりはよく知られていますが、韓国でも日本製品の輸入が解禁されて以来急速に需要が伸びているようです。例えば、ソニーの韓国での売上は80%増を示しているとのことです。

こうしてアジア経済は確かに回復基調に向かっています。日本でも先日の経企庁の発表のように4〜6月が景気の底の可能性があるとか、成長率見通しを0.9%に見直すなど、回復基調の話が多くなっています。

しかし、実感として景気回復感がないのは、雇用不安などによる消費意欲面のダメージによってGDPの6割を占める消費が盛り上がらない点にあると思います。またいろいろな業種の経営トップの話を聞くと、まだ銀行の貸し渋りが続いているようで、優良企業でも融資決定までに以前の倍以上の時間がかかり、あげくのはてに融資できないなんてこともあるようです(もっとも投資意欲のある企業の話ですが)。

アメリカ経済の先行きに陰りが見える今、日本経済がアジア経済や世界経済の足を引っ張ることがないように祈るばかりです。明るい話のつもりがなんだか最後は暗くなりました。ともかく、世界経済のために、お金のある人はどんどん消費しましょうね。


1999年10月28日(木)

「外国人商業デザイナーの台頭」

最近外国人商業設計者の活躍が目に付きます。すでに開発されたヴィーナスフォートの内装デザインはテリー・ドゴール氏の手によります。汐留の電通本社ビル、六本木開発は日本でもお馴染みのジャーディ氏が担当するなど、軒並み外国勢デザイナーの手にゆだねられることになりそうです。

先ず、外国人デザイナーは、発想や構想力が優れている、プレゼンテーションがうまい、海外有力テナントの誘致を含めて依頼できる、などのメリットがあると思います。

この中で最初の二つは、日本のデザイナーも互角に戦えるかもしれません。しかしながら、海外の有力テナントを誘致するとなると、日本のデザイナーやデザイン会社では手におえません。

特に、商業系開発の場合、開発コンセプトとこれに基づくデザインも重要ですが、海外の有力テナントを誘致することが不可欠になっています。小売やブランドの世界でも勝ち組と負け組が明確になっており、それもボーダーレスになっていますから、海外の勝ち組をもってこなければ生き残りが難しいのです。

こうして日本の商業系設計、デザイン会社は国内景気の悪さが原因で業績が低迷してるだけでなく、大きな変革の嵐の中で波に乗り切れないでいるのが現状だと思います。

そういえば、経営コンサルティング業界では70年代から外資系の戦略コンサルティング会社が参入し、現在では大企業を中心にシェアを伸ばしています。単純にいえば、今商業デザイン業界は20年前のコンサル業界と似た状況にあると思います。違いは、コンサル業界の場合は、当時日本では戦略専門のコンサル会社は1社のみでしたが、日本の商業デザイン会社は多数存在する点です。その分だけ、影響が大ですね。

今、戦略分野において、外資系コンサル会社に対して規模の点で匹敵する日本のコンサル会社は皆無です。商業デザイン業界も外資系の独壇場になるのか、それとも日本の会社が踏ん張るのか、その鍵はデザイン力以外の独自の付加価値を提供できるか否かにかかっていると思います。この世界でも新たなビジネスシステムの構築が求められているのです。


1999年10月27日(水)

「日産の改革に思う」

日産の改革が始まりました。カルロス・ゴ―ンCOOが発表した「リバイバルプラン」」は内外で反響を呼びました。国内では比較的冷静に受け取られました。海外では驚きの中にも評価する声が多かったのは、BW誌が指摘しているように、ゴーン氏が欧米流に“直接的に、容赦なく、妥協無し”の改革の青写真を示したからです。

日産の再建計画のポイントは、国内5工場閉鎖、部品・資材サプライヤー半減、株式持合い解消、人員2万1千人削減、有利子負債半減などです。特に、メーカーとして工場を閉鎖し、更に製造部門の人員削減に手をつけた点は注目されます。また、これまでの“もたれあい”体質から脱却し、サプライヤーや系列に手をつけた点も特筆されるべきです。

着任してからサバイバルプランをまとめるまでの6ヶ月間、ゴ―ン氏は全国行脚し現場で肌で問題点を把握するように努めたそうです。また、再建案についても社内の若手の意見を吸い上げ、社内の草の根的な改革ムードの盛り上げを演出(?)など、単なるコストキラーではなく、なかなかのマネジメントぶりです。

巷では、塙会長が再建計画の発表を行うべきではなかったか、と指摘する向きもあったようです。実は、私も当初はそのように思いました。だが、塙会長の沈黙が、ゴ―ン氏に全権を委譲して改革をまかせたことの意味を一層考えさせる結果となったことは幸いでした。

沈黙によってゴーン氏を全面支援したことで、塙会長は後世に日産の救世主と呼ばれるかもしれません。これから改革を進める企業にとって、日産の会長とCOOとの役割は多いに参考とすべきだと思います。つまり、改革者には良き理解者、支援者が必要なのです。

こうした日産の改革は、業界と系列・グループの枠を崩壊させ、一層の競争原理に基づく勝ち組の選別プロセスへと導きます。それは他の業界にも波及することは必至で、明日の勝ち組となるには、この改革を糧に更なる自己革新を迫られています。今後の日産効果に期待したいですね。


1999年10月26日(火)

「経営戦略リスクの認識」

先週の土曜日の日経本紙のコラム「大機小機」のテーマは“経営戦略リスク”でした。今月中旬にワシントンDCで開催された会合「21世紀における金融リスクの計画と管理」の場で、シティ・グループのリード会長がこの問題を指摘したとのことでした。

リード会長の発言の要旨は次のようです。「銀行のリスクは信用リスク、マーケットリスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクなどに分類されるが、これらについては高度なリスク予測手法並びに管理手法を開発済みで、むしろ経営戦略リスクを意識している」

経営戦略リスクとは、戦略実行の結果、所期の目的を達しない場合いかに撤収するかが重要で、この判断を誤ると膨大な損失をこうむるというものです。つまり、事業の取捨選択を行い、事業領域を強い分野に絞込みことによってリスクを避けることになります。

リード会長はもちろん銀行業界を念頭において発言していますから、日本の銀行も「大機小機」が指摘しているように、多いに参考にすべきだと思います。だが、私は銀行のみならず、メーカーを始め流通、サービスもこの戦略リスクを認識すべきだと考えるのです。

ご承知のように、インターネットを含む情報技術の発達により企業環境は大変革しています。こうした時期にこそ明日の事業ポートフォリオを描き、戦略リスクをヘッジすべきなのです。その方法は明らかなので、要は決断あるのみですね。


1999年10月25日(月)

「来年の大卒内定者にみる業種業態の盛衰」

来春の大卒内定者調査の結果が日経本紙や日経産業に発表されました。これまで大量に新卒を採用していた、家電、パソコン、自動車、生損保などが採用を控える中で、物販・飲食企業の人材募集意欲の旺盛さが目に付きます。

例えば、内定者の増加率が高い上位20社中11社が小売・サービスです。具体的には、メガネストップやホームセンターのセキチュー、スーパーのサミット、焼肉レストランの安楽亭、サカイ引越センター、深夜営業ディスカウンターのドン・キホーテ、学習塾の昴、埼玉地盤の食品スーパーのマミーマート、イタリアンレストランのサイゼリア、ドラックストアのセイジョー、牛丼チェーンのゼンショー、この11社です。 その他は、製造業の中で唯一採用増の医薬品業界が2社、住宅建材が2社、金融が2社ランキング入りしています。

こうしてみると、確かに伸び盛りの小売業が雇用の拡大に貢献しているように思えます。しかしながら、内定者数でみると、日立製作所がトップで、以下富士通、東京海上火災保、松下電器、NECなどの常連組が続いています。ただ、内定者数トップ20の中には、NOVA、サイゼリア、エイッチ・アイ・エス、日本マグドナルドなど従来の製造、金融などの大量採用業種以外の企業が顔を出している点が注目されます。

第3次産業就業者が増加する趨勢は変わらないものの、まだ日本における第2次産業、製造業の雇用吸収力は無視するわけにはいきません。そこで、ちょっとしたグラフを書いてみると、このへんのことが良く理解できると思います。

つまり、横軸に内定者数(あるいは内定者構成比)を、縦軸に対前年伸び率(あるいは何年か前を基準に伸びをみる)をとって、主要業種か内定者数上位100社をプロットするのです。そうすると、伸びと雇用吸収力が同時に見えるわけで、業種(企業)の雇用に対する影響力が一目瞭然です。

日本経済全体で見ると、伸びは停滞していますが雇用吸収力のある(採用者数が多い)業種(企業)群とまだ雇用吸収力は少ないが伸びが高い業種(企業)群をバランス良くもつことが、将来を考える上で重要です。

こうした視点から、雇用問題をみると、まだ小売・サービス業に多くを期待することはできません。米国での経験のように、将来日本も、物販や飲食チェーン、サービス企業群が雇用の受け皿になることは確かです。しかし、当面はもっと従来型の大量採用型業種・企業に頑張っていただくしかないと思います。製造業や金融業のサバイバルに期待します。


1999年10月23日(土)〜24日(日)

「経営コンサルタントとデータそして・・・」

日頃、コンサルティングをしていても、為替や株、債券などのディラーやエコノミストと違って、日々の相場の動きや経済指標の動きに神経を尖らすことは少ない。私達、経営コンサルタントは、日々の変化率よりもむしろ変化の方向に注目します。それから、社会や消費の構造的変化、企業の価値観の変化、戦略の変化などに目をくばります。

ところが、エコノミストや金融関係者をみていると、データ入手の迅速性、速報性、変化率を気にしています。もちろん時々の変化率を見ながら、 超短期、短期、中期の予測をしていることでしょう。しかし、コンマ以下の数字にこだわらざるをえない宿命にあります。何せ商売に直結していますからね。

一方、コンサルタントは、極端な話をすれば、データを見る上で1ケタかせいぜい2ケタの数字に注目します。つまり、パソコンの世帯普及率は約30%(99年3月時点)、A社のシェアは2割強、ROEは8%、実質経済成長率見通しが1%台か2%台(更にいえば1%台の前半か後半か)か、この程度で十分なのです。

というのは、私達は数字をはじくことが目的ではなく、ある数字を前提にして戦略づくり、システムデザインをすることが目的だからです。細かい数字にこだわると、確かにデータ集めやデータ加工の手法に目が向いて時間もかかります。判断したり、仮設づくりができる数字があれば、あとは考える方にウエートをかけるわけです。

しかしながら、コンサルタントが細かい数字に無頓着だというのではなく、エコノミストの方が分析や予測した結果を評価して、活用するのです。 毎年の成長率予測などは、通常は強気と弱気を並べてみて中間値あたりがいい線をいっています。今年は全員(全機関)予測ははずれましたが、OECDなど欧米の機関のように迅速に見直しをしてほしいですね。

今、私が注目しているデータは、消費支出の伸び、消費性向、鉱工業生産指数、経常収支、日銀短観などで、いずれも月1回のチェックですみます(「asktakaのお薦めリンク集」を使ってアクセスできます)。

こうした感覚ですから、毎日の相場の動きや経済指標の速報、速水日銀総裁やグリーンスパンFRB議長などの言動、これらに一喜一憂する世界とは余り縁がないのです。

コンサルタントとしては、むしろ業界再編の動き、企業の戦略・提携などの動き(特に、クライアントの競合各社の動き)、人事・組織情報、新製品・新技術動向(IT技術を含む)、欧米のマネジメント動向等々に気を配っています。

ところで、クライアントあるいは仕事上のお付き合いのある方の中には、コンサルタント出身の方もいます。だが、最初にお目にかかった時点で、なんとなく分かるのですね。他の業界の方からみても、コンサルタントの一群はすぐ見分けがつくそうです。そういえば、エコノミストやアナリスト、その他金融関係者もグループになると、雰囲気で分かりますよね。

ということは、コンサルタントと彼らの集団とは見分けがつくわけで、その判別要因の背景には、データや情報に対する感覚の差とこれに起因するカルチャーの差があると思うのです。やや強引かもしれませんが、そんな気がする今日この頃です。・・・ウイークエンドの無駄話でした。


1999年10月22日(金)

「BW誌の特集は“日本の変化は本物?”」

先日の本ページで、外圧でしか動かないのが日本の弱さだと述べました。この点を心配してか、ビジネスウィーク誌アジア版の最新号(10月25日号)の特集では、「日本は本当に変化する用意があるのか?」をテーマにしています。今日はこの記事のエッセンスを紹介しましょう。

内閣改造による金融再生委の柳沢前委員長の退任によって、改革が後戻りするのではないか、との懸念から記事は始まっています。そして、海外の株式ブローカーの急速な日本進出、マツダのエンジン工場で女性の高賃金での夜間勤務開始、インターネットモールの楽天市場の活況、などのエピソードを紹介しています。

要約すると、日本の変化は、海外からの投資の増大、金融の規制緩和、インターネット利用者が急増、女性の勤務形態の自由度向上、大卒の外資系企業志向等の面で進んでいる、とBW誌はみています。

一方、変化にとっての障害として、銀行の不良資産処理の遅さ、NTTの電話料金が高いことによるネット普及への悪影響、工場閉鎖やレイオフなどの抜本的対策の遅れ、MOFや自民党の改革への本心が不明等の点を指摘しています。

そして、官も民も学者も日本の島国性が終焉を迎えることを実感しており、その実感が大変換を生む、と締めくくっています。

また、最後のロバート・ネフ氏の解説では、日本人の適応力を楽天的 にみており、日本の欧米流の経済への移行は比較的スムーズに進むとコメントしているのが印象的でした(ネフ氏は日本滞在20年を超える知日家で、永年BW誌の日本でのチーフを務めていました)。

今日はBW誌の特集に、あえてコメントするのは止めようと思います。ここは素直にBW誌の期待通りに変革をするしかない!みなさんもそう思いませんか?


1999年10月21日(木)

「都市の成長力」

最新の「地域経済総覧2000」(東洋経済)をみると、全国672都市の成長力・市場力ランキングが出ています。このランキングは消費購買力、工業力、商業力の3つの切り口から11のデータを選び、5年前のデータと比較して指数化したものです。

今年の成長力ランキングのトップ10は次の都市です。つまり、�‐�郡(福岡)��江刺(岩手)��松任(石川)�っ淹臾�(福岡)�ヂ臑次閉杭蝓豊ζ邱顱聞眞痢豊Ю仄�(北海道)��北広島(広島)��泉南(大阪)��守山(滋賀)、この10都市です。

福岡の小郡が初めてトップになって、筑紫野も4位に上昇、福岡県の90年代後半の元気の良さを裏付けているようです。この両市では、九州最大規模の宅地開発が進んでおり、人口増に伴う指数が寄与しています。また小郡は、九州縦断自動車道と九州横断自動車道とが交差する鳥栖インターに隣接し産業立地として恵まれ、工業出荷額や卸売販売額の伸びも高い点が寄与しています。

2位の江刺は、江刺中核工業団地の企業誘致が進んでいることが高成長の要因です。岩手県の南部は北上(16位)も含め産業都市へ変身途上にあります。3位の松任は、金沢のベッドタウンとしての人口増と石川リサーチパークなどの工業集積が寄与したものです。

4位以下も、ニュータウン開発か工業団地開発により企業誘致を行っている都市の成長力が高くなっています。

一方、90年代の成長都市といえば兵庫県の三田で、91年から94年までトップを続け、その後もトップ10や20に入っています。やはり、ニュータウン開発による人口急増とその後の小売販売額の増加、工業集積の進展が成長の要因です。

ところで、過去の成長力ランキングをみると、85から94年までと95年以降では大きな違いがみられます。以前はトップ20都市の中に、首都圏の都市が半数以上は顔を出していました。ところが95年以降はほぼ半減し、98年はゼロ、99年は2都市(16位茨城県牛久と18位埼玉県吉川)となっています。このように、90年代後半は地方都市の成長力が目立った時代といえます。

こうした都市の成長をみると、昔、経済学者の宇沢弘文氏か青木昌彦氏に薦められて読んだ、都市経済学者ジェーン・ジェコブスの書物の一節が思い浮かびます。つまり、“始めに人の集落ありきで、その後農村として発展した(大昔は農業都市しかなかった)”というもので、従来の都市生成の通説を覆したものでした。

いずれにせよ、都市の成長は人口の成長なくして考えられません。それには自治体のトップの都市づくり・街づくりのビジョンとリーダーシップが不可欠だと、私はつくづく思うのです。(おや、企業のトップにも同じようなことをいいませんでしたか?と、陰の声。その声に静かに頷くasktaka でした)


1999年10月20日(水)

「真の新事業支援は?」

通産省は「新事業支援センター(仮称)」を全国300ヵ所に設ける計画だそうです。商工会議所を拠点にして、ビジネス・ノウハウなどソフト面から起業家をサポートする体制を整備するとのことです。

この計画を新聞で読んで、私は中小企業連合中央会の活動や活路開拓を思い起こしました。これらは、伝統産業や地場産業を振興するために通産省・中小企業庁が予算をつけたものです。確かに中央会の方々や活路開拓の受け皿となっている協同組合の方々は、使命感をもって地道な努力を続けていることは認めます(私の知っている方々は皆さん立派な人達です)。しかしながら、私にはこの予算が余り有効に使われているとは思えません。

つまり、以下の点が問題だと思います。

1.機会均等で順送りに予算(補助金)をつける

2.事業規模に関わらず均一の予算(補助金)をつける

3.年度主義で細切れにしか予算(補助金)がつかない

上記の結果、事業のポテンシャルに関わらず予算がつく(これが政治・行政だという声もあるかもしれませんが)、小規模事業も大規模事業と同じ金額の予算しかつかない、(予算が少ないため)年度内にスピーディに完成できない、こういうことになります。バラマキ行政とはよくいったもので、せっかくの国民の税金が、中途半端に使われているとは思いませんか?

このようなやり方で新事業を支援するとしたらどうなるでしょう。予算枠の中で玉石混交の新事業に金(人)が出る。事業には閾値(しきいち、スレスホールド)があって、必要最低限以上の投資(人、物、金)をしなければ成功しないが中途半端な支援しかできない。毎年同一予算なので、お馴染みのツーリットル・ツーレート(小出しで手遅れ)となる。

まさか旧来のやりかたで、新事業を支援することはないと思いますが、バラマキ行政の匂いがするのは気のせいでしょうか。全国に300拠点なんてことを考えず、ちゃんと新事業を評価できる民間にすべて任せたほうが税金の無駄遣いにはならないと思いますがねぇ。


1999年10月19日(火)

「平均的消費者とマーケティング」

米国の所得分布を見ると、金持ち層とそうでない層とが二極化していることはよく知られています。この場合所得分布上中間層が少ないので、平均をとってもあまり意味がなく分布が2つあるといってもよいでしょう。

米国に比べて日本では、賃上げが抑制されているといっても平均値が活きており、いわゆる中流意識を持つ消費者層が大半を占めています。日本の工場労働者の平均年収は800万円台、米国では400万円台というデータを見ても、日本の中間層の厚さを想像できます。

米国の二極化社会と日本のような平均社会とでは、マーケティングのやり方が異なるように思います。ターゲットを絞って、そこを徹底的に攻め、囲い込むという手法は、市場が細分化されている米国では有効だと思います。しかし、日本では生産財はともかく、消費財では有効なのでしょうか。何分、顔の見えない、選択しない平均的な消費者ですから。

日本の消費者集団を動かすには、個別に攻めるよりも、グループやコミュニティ全体から個人へといったアプローチが有効なように思われます。つまり、“隣の人が持っているから私も欲しい”、こう思わせるマーケティングが不可欠です。

一方、この対極として、消費者ニーズの多様化に対応したマス・カスタマイゼーションという考え方もあります。個々の好みに合わせてスペックを変えた製品を提供しようとするものです。

このようにマーケティングの考え方に幅があるのも、企業が考える消費者行動仮説に差があるからです。勝ち組と負け組が明確なってる今、特に2番手以下の企業は、戦略の差異と共にマーケティングが盛衰の鍵を握ると思います。もう一度消費者、顧客志向という原点にもどるべきだと思いますが、いかがでしょうか。


1999年10月 18 日(月)

「金融再編にみる日本の弱さ」

三井海上、日本火災、興亜火災の損保3社が、16日(土)に2001年までに共同持ち株会社を作ることで合意しました。住銀とさくら銀行の経営統合に続くビッグニュースです。銀行も保険会社もドラスティックに変わって、金融ビッグバンを肌で感じるどころか、もう骨で感じるくらいですね。

そういえば、今年の春に損保関係者から面白い話を聞きました。金融の自由化に伴い、外国の生保や損保が大量に参入してくるというのです。日本では生保・損保を合わせて、せいぜい数十社に過ぎません。しかし、米国では合わせて数千社が存在し、各社が差別化した商品を持っているそうです。

特に重要なのは保険料の差です。米国の生損保は、同じ補償額を前提にすると、日本の会社に比べて半分程度の保険料ですむとのことです。これだけの差があれば、日本の生損保にとって脅威であるはずです。現に、昨年7月の保険料設定の自由化や、すでに参入ずみの外資の割安保険料の導入によって、自動車保険など保険料の割引競争が始まっています。

この業界はこれまで手厚く保護されていたため、横並び発想が強く非効率であったことはよく知られています。また、銀行を含む金融業は、事業会社への間接金融、いわゆる融資によって産業のピラミッドの頂点に立っていました。つまり、企業側は銀行に頭を下げる立場にあったわけです。そのせいか、経済系の優秀な大学新卒者は、興銀、三菱銀行などの有力銀行や大手生損保へ入社していました。大学のゼミも、この二行に何人入ったかで評価される時代もあったくらいです。

このような人気の背景には、銀行、生損保の給料の高さがあった点は否めません。私が以前一緒に仕事をした某大手生保の当時50歳前後の方は、7年ほど前で年収2,000万円を超えていました。T大学を出てはいるようですが、仕事の出来は今一つで、その当時私が評価すればせいぜい半分ぐらいの年収がいいところです。同時期、同世代のメーカー勤めの年収は、その6割か多くて7割程度が相場だったと思います。有力銀行もこの生保と同じような状況だったと思います。

このような歴史的背景があり、高コスト体質をもつ日本の金融業界ですが、外資と本格的に競争する時代になるまで自己変革できなかった点は、他の業界も同様です。日本政府も企業も外圧でしか動かないことは、ワシントンでも先刻ご承知ですが、この点が日本企業の最大の弱点ではないでしょうか?

今後は他社を意識した相対的な横並び行動から、自社の価値観や戦略に基づく絶対的な行動へと舵を取る企業が勝者になると思います。


1999年10月16日(土)〜17日(日)

「企業の現場でのトークショー」

Fast Companyという雑誌をご存知ですか?ハーバード・ビジネス・レビューの元編集者が発行している雑誌で、米国のヤング・エグゼクティブに人気があります(Websiteはこちらへ)。この雑誌の10月号は、"The Big Issue"ということで、通常より盛り沢山の内容になっています。この中で、"LIVE!FROM YOUR OFFICE!IT’S THE COMPANY TALK SHOW!(あなたのオフィスからのライブ!それは会社のトークショーです!)"と題したカバーストーリーのさわりを紹介しましょう。

米国企業は従来のトップダウン型のマネジメント手法から、エンパワーメント(権限委譲)や、チームを重視し、現場の知識を共有して、個の力を引き出すことにより組織全体の力を高める方向に変化しています。その方法の一つとして、社員の会話(対話)を重視した“トークショー”があるのです。会社をトークショー(以下TS)の場にする方法、トップ10を意訳すると次の通りです。

1.仕事は会話、これを一番の原則とする
2.よいTSにはルール、デザインが必要
3.新しいアイデアや企業文化が大事だと思うならトークの時間を作る
4.単なる数字の羅列や情報伝達でなく、ストーリーを伝えよ
5.社内階層、対顧客の垣根を越えたいと思うならTSを活用
6.TSは学習を、退屈なものから楽しみ、参加型スポーツへと変える
7.ギブ・アンド・テイクの対話を心がけよ
8.TSの成果を個人別に評価する仕組みを作れ
9.TSにはマルチメディアやスポットライトなどの技術的ツールが不可欠
10.全ての仕事場を会話がしやすいTSのステージにせよ

TSの具体例として、ホームデポやゼロックス、ヒュ―レッド・パッカード・ラボラトリーズなどを紹介していますが、ここでは割愛します。

日本企業の管理職は、一昔前は“ニコポン”が主な仕事の一つでした。つまり、自分では実務は行わず、専ら調整役かトップからの情報のメッセンジャーを任じていました。たまに現場へ出て、“にこっ”と笑って、“ポン”と肩をたたき、“よう元気でやっているか”と声をかけるのです。 まさか皆さんの会社に、今でもこのような管理職はいないですよね?えっ、少しはいるって。そりゃ時間の問題でしょうね(何が?会社、その管理職?もちろん両方でしょ、とasktaka)。

現場の力を引き出す方法論に関しては、トークショーのように米国では試行錯誤を終わり、実際に定着してきました。日本企業も早く手を打たなければ、ボトムアップ経営のお家芸を奪われますよ。


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