昨年は欧米を周って、ベルリンのポテンシャルを強く感じました。東西統一後10年余、ベルリンがドイツのみならず欧州の経済の拠点として大きく変貌しようとしています。ベルリンはこの数年で世界で最も変化する街であることは確かだと思います。では、アジアはどうかということで、今年は公私共に「アジア」をテーマに海外を見ようと思っています。
そこで、先ずは中国ということで北京を訪れたわけです。無論この政治の中心地のみを見て全中国を語ることはできません。しかし、ベルリンで感じたような、確かなポテンシャルは感じました。
北京の中心部、王府井(ワンフーチン)に、東方新天地というホテルとデパートそして専門店からなる商業施設が誕生しました。この中には吉野家、ケンタッキーフライドチキン、スタバなどお馴染みの店が出店していました。ちなみに、この施設は香港資本が開発したそうです。そういえばasktakaの泊まった王府飯店(The Place Hotel)も香港のペニンシュラホテル系ですね。このホテルには、ルイ・ヴィトン、シャネル、ゼニアなどの有名ブランドがテナントとして入っています。早速ゼニアで春物のタイを買いましたが、レートを換算すると日本で購入するよりも高くついたことに気付きました。ヴィトンの値段も、ものによりますが概して日本で購入するよりも割高な印象を受けました。
しかし、ゼニアやシャネルなどは現地の人達に大変な人気で、いずれの店も数人がスーツなどを注文していました。何年か前にゼニア・ジャパンの人から、中国のエグゼクティブの間でゼニア人気が高まっていると聞いていましたが、これほどまでとは思いませんでした。日本のゼニアショップでは見られない光景ですからね。もっともシャネルの店では、男性が女性にスーツなどを買ってあげるというパターンで、思わず中国の○金(○の漢字は想像してください)か、と大きな独り言が出てしまいワイフから顰蹙を買いました。
中国では、北京や上海などで勤める20代後半から30代前半のヤングエグゼで月給にして約3千元から4千元だそうです。日本円で5〜6万円というところです。これも大都市のエリートの賃金で、地方の一般労働者はせいぜいこの10分の1、日給にして10元以下から5分の1だそうですからね。このような給与体系の中で、20万円以上はするスーツを買える人たちを大勢見かける光景は何とも不思議ですね。
それから、天安門や故宮博物館、万里の長城などの観光地は中国各地からの観光客で満ち満ちていました。欧米人や日本人観光客も見かけましたが、8割以上は中国人のようですね。中国人も資本主義的な消費行動を着実に身に付けているといっては失礼でしょうか。
これも経済成長の恩恵と、物価の安さが大きく貢献しているように思います。経済成長率は90年代の前半は2ケタ成長だったし、最近でも7,8%の成長率を維持しています。ちょうど日本のS30年代後半の高度成長期後期あたりのイメージでしょうか。
故宮博物館内のお土産屋(清韻堂The Hall of Rhythem Serene)では、ラストエンペラーの愛新覚羅溥儀の甥っ子がボランティアで書を書いていました。本人が目の前で書く以上偽物ではないので(甥っ子ということ自体が偽であれば別ですが)、安心して(?)買いました。ただ、逆向きで書いたり、二刀流ならぬニ筆流で書いたものですから、お遊びではあります。別に最初から書いてもらうつもりはなかったのですが、何となくそんな気にさせられた感じです。それと、値付けの仕方を見ると商売は上手いですね。当方は、どこまで値段を下げるかどうか、交渉の過程をエンジョイしました。
第一日目の夕食後、オプションで京劇を観賞しました。孫悟空ものともう一つの出し物でしたが、約一時間ちょっとの上演時間は瞬く間に過ぎました。飛んだり跳ねたり、騒々しくはありますが、中国茶と茶菓をつまみながらの観劇は、酔いも覚めて気分は爽快でした。それと上演前に、観客に役者の化粧姿を見せるという演出も、なかなかのものだと思います。こうしたプロセスを見せて、何でも商品にしてしまう逞しさは、最近の日本人は忘れているかもしれませんね。
物価の安さといえば、街のレストランで昼食を食べると5〜6元かせいぜい10元です。1元約15円ですから、日本の6分の1程度でしょうか。中国の都会では収入も物価も日本の約6分の1とすれば、一般の生活レベルは実質では日本とさほど変わらないような気がします。
WTOへの加入が本決まりになり、2008年には北京でオリンピックが開催されます。そしてショッピングセンター「東方新天地」の館内には、2010年の上海EXPOのポスターが至るところに張ってありました。こうした街の景色を見ると、21世紀の最初の十年は、中国が一層の国際化の道を歩むディケードであることを実感します。
それにしても商魂のたくましさや値付けなどのビジネスの強かさは眼を見張るものがあります。ただ、筆などの書道の道具をはじめ正札から交渉次第で半額程度になりますから、先進諸国の感覚ではないですね。これが、MBA流のマネジメントで理論武装したあかつきにはどうなるか。背筋が寒くなる思いをするのはasktakaばかりではないでしょう。今度は、上海、大連、天津などを周遊して、当面はビジネスを抜きにして中国をもっと肌で感じてみたいと思います。では、北京便り・ビジネス編はこのへんで。
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