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見えないハードル

 

オウムの事件があったころ、さかんに使われていた言葉に「マインドコントロール」って言葉がありましたよね。
最近ではあまり耳にしなくなりましたが、この「マインドコントロール」っていうのは特別なものじゃなくて、世の中にある「評価」「価値」「善悪」すべてのものの判断の基準がマインドコントロールでつくられていると考えれば、その通りでなんです。
親が「父さんも母さんも勉強ができなかったから、お前が成績が悪いのも仕方がない」と言えば、その言葉が子供に対してマインドコントロールをかけているんです。
それを言った時点で子供に目に見えないハードルを作ってしまってると思いますね。
本人の実力で飛び越えられるものを「お前は飛べない」と吹き込まれることによってホントに飛べなくしてしまう。

昔「鉄拳チンミ」っていうマンガで見ましたが、ふだん1メートル以上ジャンプするノミでも、50センチくらいの箱の中にしばらく入れておくと、ふたを開けて、箱から出しても、今まで天井のあった50センチの高さまでしかジャンプしなくなるんですってね。
ふたで押さえ付けられていたことによって、本当はもっと飛べるのに飛べなくなってしまった。
パンも小さな容器に入れて焼けば、その大きさにしかふくらまない。
同じように、まわりの人間がふたをつくってしまったり、閉じ込める環境をつくってしまうことによって、本来その人が持っている能力を引き出せなくしてしまう。
ようするに、自分を甘やかす理由付を発生させてしまうわけです。
ちょっとやって分からなかったらすぐ、「俺はバカだから」で片付けてしまうようになるんじゃないかな。
「父さんも母さんも、めちゃめちゃキレ者だから、お前もやろうと思えば何でもできるはずだぞ」って言ってあげれば、才能なんてホントは持ってなくても、木にのぼって、のぼって、のぼりつめちゃったりして。