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更新日: 2005年06月08日
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タイトル 発行日・発行所著者 内  容

ユダヤ国家の
パレスチナ人
晶文社

D・グロスマン著
千本健一郎訳

3300円
 これは、イスラエル・アラブ人のルポですので、入門書ではありません。マイナーな分野ですが、とても大事な視点だと思います。イスラエルをさらにくわしく知りたい人や、研究者におすすめです。
 拙訳の「もうひとりの息子」の主人公ハミッドが、まさにこのアラブ系イスラエル人です。二流市民としての本音を、声にしたルポルタージュ。



イスラエル兵役拒否者
からの手紙
NHK出版 

ペレツ・
キドロン編著
田中好子訳
 
1400円
 イスラエル人の中で、パレスチナ人に対する抑圧的な戦争に参加しないと決心した人々の独白。たとえ投獄されても、彼等の意思は固く、現在1000人以上の人々が兵役を拒否しています。わたしの知人でも、拒否して投獄された勇気ある男性がいます。
 兵役拒否をすることは、自分はおろか、もしかしたら孫子の代まで、世間から後ろ指を指されて生きなくてはいけない覚悟をしたという結果でしょう。


戦争とプロパガンダ
みすず書房

エドワード・
サイード著
中野真紀子訳

1500円

 やはり、パレスチナ問題を考えるときには、サイードの著書はぜひぜひ読んでほしいです。数年前に白血病で亡くなりましたが、彼は在米のパレスチナ人として、テロや暴力をことごとく否定して、ほんとうの和平を考えていた大事な論客です。
 〈9・11〉を、どう位置づければいいのか。アラブ人として、またニューヨーカーとしてのメッセージです。


君はパレスチナを
知っているか

ほるぶ出版

 
奈良本英佑著

1600円


 ほるぷ出版が児童書の版元さんなので、この本は中学生向きに実にていねいに、わかりやすく書いてあり、わたしは手離せないほど、重宝しています。パレスチナ問題の入門書として、おすすめできます。巻末には、書籍案内も載っています。
 三つの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の聖地パレスチナ。宗教なのに、いや宗教だからこそ、激しい闘いが今もなおつづくその記録です。
   

マウス
晶文社

アート・
スピーゲルマン著
 小野耕世訳

2000円
 これは、劇画です。アウシュビッツを生きのびた父親の回想を、ねずみに代えて語らせ、なかなか真に迫るものがあります。子どもでもじゅうぶんに理解できる内容です。

 「ユダヤ人は疑いなく、ひとつの人種である。
            だが彼らは人間ではない」 アドルフ・ヒットラー


イスラエル花景色
ミルトス社

横山匡著

2000円

 
 イスラエルの野性の花を写した、小さな写真集です。長いあいだ、戦場になっている中東の片隅に、こんなに可憐で美しい花が咲いているとは、こころがなごみます。
 イスラエルでは、日本の花屋さんで売っている花の原種を、野性のままで見ることができます。チューリップ、アネモネ、シクラメン、ルピナス、グラジオラスなど。
      

ネルソンさん、あなたは
人を殺しましたか?
講談社

アラン・
ネルソン著

1300円
 これは、児童書で、〈子どもたちの未来のために〉というシリーズのひとつです。ベトナム戦争帰還兵、アラン・ネルソンさんによる告白を、子どもにわかる言葉で編集してあります。子どもはもちろんですが、世界中の政治家、武器売買にかかわる人すべてに読んでほしいと思いました。わたしは、本文の途中から涙が止まりませんでした。


難民少年
講談社

ベンジャミン・
ゼファニア著
金原端人訳

1600円
 ぼくの名前はアレム・ケロ、十四歳。アフリカ出身、父はエチオピア人、母はエリトリア人。ある日とつぜん、ふたつの国が争いはじめ、ぼくは一度にふたつの祖国をうしないました。家がない、お金がない、学校に行けない、家族と暮らせない、命をうばわれるかもしれない。祖国にもどれるのは、いつだろう。


心の国境を越えて
さ・え・ら書房

ガルラロンフェ
デル・アミット作

母袋夏生訳

1500円
 わたしの師匠である母袋さんのヘブライ語からの訳。アラブ系イスラエル人の少女ナディアが、民族の壁を越え、よそ者意識と闘いながら、一歩一歩自分の夢に近づいていく物語。ユダヤ人の子どもたちに、絶大な反響をえたという作品。



ノリー・ライアンの歌
さ・え・ら書房

パトリシア・
ライリー・ギフ作
もりうちすみこ訳

  1500円
 
 これは直接パレスチナには関係ありませんが、ユダヤ人の移民に共通する環境と勇気が描かれているので、たいへん感銘をうけました。19世紀の中ごろのアイルランドのじゃがいも飢饉を背景とした少女ノリーの物語。わたしはこの物語にいつもはげまされています。



ユダヤ学のすべて
新書館

沼野充義編

2000円
 ユダヤ人の宗教、民族の歴史、生活風俗、言語、思想、精神分析、科学、音楽、美術、映画演劇、文学、の視点から、あらゆるユダヤ人の足跡が、各分野の専門家によって書かれています。この一冊で、ユダヤ人のことがかなりわかり、入門書と同時に大事な参考書でもあります。



パレスチナの声・
イスラエルの声
岩波書店

土井敏邦著

2400円
 今現在パレスチナで起きていることを、20年にわたり現地取材をつづけてきたジャーナリスト土井が、正直にルポしたインタビュー本。 パレスチナ、イスラエル双方のずるさ、混迷度、被害を文字に落とし込み、その中に真の和平の可能性をさぐります。「かわいそう」だとか、「ゆるせない」だとかの感情のむこうに、双方の政府や広報機関がなにをしているのかを、わたしたち日本人も知る必要があると思います。


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