わんだふる ネパールヒマラヤ2 (7)

  1.プロローグ 
  2.ネパールへ向けて出発 : 03月16日(日) 
  3.ポカラ経由 チャンドラコットへ : 03月17日(月) 
  4.モディ・コーラを渡ってガンドルンへ : 03月18日(火) 
  5.アンナプルナ山群の展望、その後タダバニへ : 03月19日(水) 
  6.シャクナゲ林を通ってゴラパニへ : 03月20日(木) 
  7.ダウラギリ山群、アンナプルナ山群展望、その後ヒレへ : 03月21日(金) 
  8.ナヤプル、ポカラ経由カトマンズへ : 03月22日(土) 
  9.マウンテン・フライト、カトマンズと帰路 : 03月23日(日)、24日(月) 
    9.1 マウンテン・フライト
    9.2 カトマンズ市街
    9.3 帰路
  *トレッキング留意事項(感想)* 

                                                    => Prev.Page
                                                    => Top Page



9.マウンテン・フライト、カトマンズと帰路 : 3月23日(日)、24日(月)

9.1 マウンテン・フライト

 5時にモーニング・コールがあり、直ちに起きた。すぐに窓に目をやると、まだ暗いため晴れているかどうかは分からなかったが、すくなくとも悪天候ではない様子であった。昨夜に準備をしていたので、洗顔等をして、階下に降り、早朝のブレック・ファストをとった。マウンテン・フライトに参加するメンバーは9名であり、皆元気そうに集まってきた。
 食後に外へ出てみると、空は快晴のようだが、例によって盆地の上に霞がかかったような空である。何とかフライトは決行されそうな感じがした。6時に迎えのマイクロバスがやってきて、それに乗車し、カトマンズ飛行場に向けて出発した。まだ、早朝ということもあって道路は比較的すいており、6時20分には飛行場に到着した。

 前回の時は、冬であったこともあって、暗くて寒い飛行場に長時間待たされて、最後に視界不良で飛行中止となってしまったが、今回は寒くもないし、また空も大丈夫なように感じた。7時近くになると、飛行機の離着陸も始まったので、これで大丈夫といった確信をもつことができた。7時にほぼ予定通りに飛行機に搭乗でき、ほっとした。その後機内で大分待たされ、少々いらいらしたが、空は明るく、雲もない快晴となってきたので(それでもすっきりと晴れ渡ることはない)、後は飛ぶのを待つだけである。
マウンテン・フライト双発飛行機
 飛行機の座席は3列(2列、1列)で、ツアー参加者はおよそ30名弱かと思われるが、当然のことながら全員右または左の窓側の席に座ることになる(真ん中の席では山が見えません)。7時22分、ようやく飛行機はプロペラを全力で回転させながら飛行場を飛び立った。空から見るカトマンズの市街は、いつものように土ぼこりで煙ったようにぼやけて見える。でも、空は雲ひとつない青空が広がっていた。これは幸運である。すばらしい。

 飛行機はどんどん高度を上げながら、ヒマラヤ山脈に向けて北上する。しばらくして、飛行機は右へカーブし、ヒマラヤ山脈を左に見ながら東に向かい、エベレスト付近で機首を北に向け、Uターンするような形で山脈を右に見ながら西へ進み、最後は南下してカトマンズに戻るというコースをたどる。私は機首に向かって右側後方の席だったので、往路はときどき左側の席に寄せてもらって写真を撮るだけだったが、復路は山脈側の席になったので、たくさんの写真を撮りまくった。


飛行機の中(全員窓側の席)
 マウンテン・フライト・ビューはとてもすばらしくて、言葉では言い表せない。主な山を左から列挙するので、いかに世界の高峰がこのカトマンズ北方のヒマラヤ山群(ランタン(Langtang)、ジュガール(Jugal)、ロールワリン(Rolwaling)およびクーンブ(Khumbu)・ヒマール(Himal)山群)に集中しているか理解してほしい。特に、クーンブ・ヒマール山群には、エベレストを始めとする8000m峰が4座がそびえている(世界の8000m峰は世界で14座あり、そのうちネパール・ヒマラヤには8座ある)。
  1.ランタン・リルン(Langtang Lirung:7,234m)、  
  2.シシャパンマ(Shisha Pangma:8,013m)
  3.ドルジェ・ラクパ(Dorje-Lakpa:6,966m)、    
  4.フルビ・ギャチュー(Phurbi-Ghyachu:6,637m)
  5.チョバ・バマレ(Chhoba-Bhamare:5,970m)、  
  6.ガウリ・シャンカール(Gauri Shankar:7,134m)
  7.メルンツェ(Melungtse:7,181m)、         
  8.チュギマゴ(Chugimago:6,297m)
  9.ピグフェラゴ(Pigferago:6,620m)、       
 10.ヌンブール(Numbur:6,957m)
 11.カリョルング(Karyolung:6,511m)、       
 12.
チョー・オユー(Cho-Oyu:8,201m)
 13.ギャチュンカング(Gyachungkang:7,952m)、 
 14.プモリ(Pumori:7,161m)
 15.ヌプツェ(Nuptse:7,855m)、
 16.
サガルマータ(Sagarmatha) or エベレスト(Everest):8,848m)
 17.
ローツェ(Lhotse:8,516m)、         
 18.アマダブラム(Amadablam:6,812m)
 19.チャムラング(Chamlang:7,319m)、      
  20.
マカルー(Makalu:8,463m) 
The First Picture of Mountains (7:28)

 以下に、すばらしい?写真を掲載する(写真は飛行機内から窓越しに撮ったためか、やや赤みを帯びている)。とくとご覧ください。説明は野暮であろう。
Gaurishankar & Melungtse (7:37) Chugingo & Numbur (7:47) Cho-Oyu & Gyachungkang (7:39)
                     *下はクーンブ・ヒマール(Khumbu Himal)山群の連続写真 (7:46)




Cho-Oyu(8,201m) / Gyachungkang  Pumori Nuptse / Everest(8,848m) / Lotse(8,511m) Makalu(8,643m)

Cho-Oyu / Gyachungkang拡大 (7:49) Everest(8,848m) / Lotse(8,511m)拡大 (7:45) Makalu(8,463m)拡大 7:44
 機内では、一人ひとりをコックピットに案内し、機首からヒマラヤを展望するといったサービスがあった。1、2分くらいと思われるが、なかなかすばらしい景色と体験であった。

 フライトはおよそ50分(正味30分くらい)で、8時10分にカトマンズ飛行場に戻った。マウンテン・フライトはあっという間に終わったような気持ちであったが、それでも強烈なヒマラヤ山脈の景色が目に焼きつき、しばらく興奮してしまった。うーん、わんだふる!!高まる気持ちも収まらないままマイクロバスに乗り、ホテルへ戻った。

Gauri Shankar(7,134m)拡大 (7:50) Melungtse(7,181m)拡大 (7:50)

9.2 カトマンズ市街

 9時前にホテルに戻ったが、すぐにカトマンズ市街をトレッキング?するためにホテルを直ちに出た。前回は市郊外の名所観光(マウンティン・フライト中止による代替のオプショナル・ツアー)とホテル付近の散策であったが、市街そのものはそんなに大きくはないので、市街の地図および方向はだいたいイメージがついていた。それで、家内と二人で簡単な観光マップを頼りに市の中心街一周を試みた。

 日曜日のせいか、道はどこも人であふれて、混雑していた。治安は悪くはないようだが、カメラを持った眼鏡をかけた日本人は金持ちに見える?ということなので、狭い商店街では少し緊張して歩いた。商店街では、日本語が通じない小さな洋装店で値引交渉をしながら家内の安いシャツを買った(本当に安かったのかは疑問だが?)。紅茶の店にも寄っておみやげ用紅茶を買ったが、ここはあまり安くなかったどころか、あやうくつり銭がないといってごまかされそうになってしまった。何とかつたない英語でクレームを言ってつり銭を取り戻した。

 長い商店街をつき抜け、仏塔などがある広場を迷いながら歩いて、ようやく前回行ったことがある旧王宮街にたどりつくことができた。ここも大変な人ごみだったが、偶然この広場で我々のパーティの仲間でタクシーで観光していた4人とばったり出くわした。狭い街だなと実感してしまった。ちょっと写真を撮ってから、ビジネス街?を通り、それから前回も歩いた大通りに沿って歩いた。前回泊まったホテルが途中にあり、そのホテルの前の前回も買い物をしたスーパーマーケットにも立ち寄ってみた。12時を過ぎたので、ランチを食べようと大通り沿いの軽食店に入った。しかし何を注文してよいのかわからず、適当にメニューからサンドイッチやドリンク選んで注文してみたが、結構おいしかった。何とかなるものだなと感心?してしまった。
 ランチの後は王宮(最近民主革命で博物館になったようだが?)に向かって歩き、王宮の壁に沿ってホテルに戻った。一周5、6kmくらいと思うが、約6時間くらい歩いたので、結構足がくたびれてしまった。でも、なかなか楽しい市街トレッキングであった。

ホテル前ショッピング通り タメール地区商店街 宗教施設(仏塔?) 宗教モニュメント
旧王宮街建物1 旧王宮街建物2 旧王宮街の露店広場? 車で渋滞の主要道路

9.3 帰路

  帰りの集合は夜8時ということなので、夕食はまた有志と近くの食堂で食べた(何を食べたか忘れたが、恐らく日本食だったようである)。食後はちょっとお土産を買い、8時にロビーに集合した(荷物は早朝のうちに準備して預けておいた)。直ちにマイクロバスに乗り、カトマンズ国際飛行場へ向かった。途中少し雨が降り始めたので、飛行機が飛び立てるか心配になった。
 飛行場でしばらく待った後、10時30分にOnBoard(香港ドラゴン航空)。10時55分、予定通りに飛行機は離陸した。ああこれで第2回ネパール旅行、アンナプルナ・ダウラギリ・トレッキングが終わってしまった。とても寂しい思いになってしまった。もう来ることはないのだろうな??でも、比較的好天に恵まれ、すばらしいヒマラヤ山群を堪能できたので、とりあえず大満足、大満足である。
 翌24日(月)、予定より少し早く5時10分に香港に到着した。来るときと同様、ここでほぼ4時間待ち、キャセイパシフィック航空に乗り継ぎ、9時15分に香港を離陸、これもほぼ予定通りの14時10分に成田に到着した。


*トレッキング留意事項(感想)*

 最後に、前回と同様、今回のアンナプルナ・ダウラギリ・トレッキングで私が感じたこと、あるいはこれから行ってみようかと思う人への留意事項などを、思いつくままに列挙してみたいと思います。ただし、一般的なお話ではありません。あくまでも、今回の私の体験から感じたことですので、ご理解ください。参考にしていただければ幸いに思います。

 00.まず、前回のエベレスト街道トレッキングと比べると、前回は年末・年始の厳冬期であったのに比べ、今回は春先の気候であったという点が大きく違う。そのため、防寒などの服装が不要であり、その意味では気軽なトレッキングであった。また、高度も前回は厳冬期の4,000m近くのロッジに宿泊したが、今回は2,900mのゴラパニ宿泊が最高であり、高度障害はほとんどなかった。ロッジの設備等も、車が通る国道にやや近いこともあってか(エベレスト街道の場合は、車の最終地点からナムチェ・バザールまでは歩くと1週間以上かかるとのことであった)、比較的よかった(でも、面白さとしては、エベレスト街道のほうがよかったと考えている)。 したがって、装備や健康等については、前回の留意事項(感想)に記述した内容に比べれば、おおいに穏やかなものと言える。

 01.気候: 夜はやや冷えたが、日本の3月から4月くらいの気候で、日中は暑いくらいであった。モンスーンが近かったので、雨の心配があり、雨具の用意は当然必要ではあるが、極寒用の防寒具は必要がない(夜の冷え込み対策のトレーナーやダウン・ジャケット類は必要であろう)。

 02.登山道(街道): とても整備されており、きつい登りもなく、とても歩きやすかった。日本のように急な坂道や不整備な道もなかった(反対周りのコースの場合、ナヤプルからヒレまでの石畳の村道はかなりの急な登りとなる)。本には、モンスーン期(夏)は、木からヒルが落ちてくると書いてあったが、まだ春先のせいかどうか分からないが、ヒルは私たちにキスをすることはなかった。

 03.宿泊施設(建物): すべてロッジ泊で、比較的施設はよく、エベレスト街道に比べればずっと良好であったと思う。我々の宿泊したロッジは、エベレスト街道と同様、”場所貸し”というイメージで、食料、炊事用具、寝具(シュラフ)等はすべて持ち込みというシステムであった。しかし、ロッジの看板には”レストラン”と書いてあるところも多くあり、そこでは食事のサービス等もあるとのことであった。

 04.宿泊施設(部屋、暖房): エベレスト街道とほぼ同じであり、食事用のダイニング・ルームがあり、部屋は、1部屋2人で区切られており(といってもとなりの声は筒抜けであるが)、簡易的なベッドが2つ揃っていた。寝具はシュラフであり、インナーシーツがついていた。もちろん暖房器具はないが、寒いことはなかった。

 05.宿泊施設(電気、水道): 電気はすべて通じていたようで、食事をするホールには照明があった。部屋にも就寝前までは照明があったので、真夜中に外へトイレに行くとき以外は懐中電灯(できたらヘッドランプ)をあまり使うことはなかった。水道は原則ないと思ったほうがよい。夕方と朝に洗面器に入ったお湯がサービスされるだけである。これで顔を洗ったり、体を拭いたりすることになる。もちろん、シャワーはない(ガンドルのロッジでシャワーサービスがあるとの話があったが、給湯が十分でなかったので実質使えなかった)。飲み水は、お湯をテルモス(水筒)に入れてもらって、それを飲むようにする。

 06.宿泊施設(トイレ): 水道・下水道が整備されていないので、トイレは水洗ではない。一般的には、ロッジの外の片隅にあるトイレ小屋を使う。使ったトイレットペーパーは、専用の入れ物(空き缶)に入れるようにする。一部のロッジでは、建物内にトイレがあった。この場合は、缶に水が入っているので、使用後ヒシャクで水を汲んで、水を流すようにする。夜、外へトイレに行くのに、懐中電灯(ヘッドランプ)は必携である。忘れるところでした。トイレット・ペーパー1巻を必ず日本から持って行きましょう(一部のロッジでは売っていましたが)。

 07.宿泊施設(食事): 今回のツアーも、食事はとてもよかった。コックがカトマンズで日本料理を勉強したというだけあって、味付けも含めて日本人好みの料理であった。起床時、朝、昼、晩の食事時、それに到着時に出るティー(ミルク紅茶)もおいしかった。日本の山小屋の食事とは天と地の差である(日本の山小屋の食事は何とかならないものだろうか?)。強いて難を挙げるとすれば、もう少しネパール風、あるいはシェルパ風料理があってもよいのではと思うが、贅沢だろうか?なお、日本から梅干しやふりかけなどを持っていってもよいが、無いから困るということはない。

 08.高山病: 今回のトレッキングでは高山病の心配はなかったし、実際ほぼ影響はなかったと思っている。

 09.服装: 基本的には、日本の春先の山歩きの服装で問題はないと思われる。ただし、夜の防寒対策として、トレーナーやダウンジャケットは持っていったほうがよいと思われる(個人差があるが)。雨用のヤッケ(上下セパレーツがベター)も、雨具およびウィンドヤッケ兼用として持っていくべきである。折りたたみかさも多少の雨の場合は便利である(急な坂や歩きにくい道がほとんどない)。日差しが強いので、帽子やサングラスもあったほうがよい。服装ではないが、紫外線が強いので、日焼け対策も人によっては考える必要がある。

 10.荷物、装備: 背負うザックは25Lから30Lの大きさでよい。入れる物は、雨具(着る機会は少ないと思うが)、カサ、テルモス(または水筒)と個人的なカメラなどの小間物やおやつくらいである。テルモスは水分補給のために必携である。朝ロッジでお湯を入れてもらえば、道中水分補給ができる。道中に必要のない物はすべてダッフルバッグに詰め込んで、シェルパの人に運んでもらうことになる。

 11.その他: お金は、おみやげを買う以外は、休憩時に紅茶を飲む時に使うくらいで、ほとんど使うことはない。頭痛薬、風邪薬などの薬は一応用意して行くべきである。ストックは私は邪魔なので使わないが、人によっては持っていくのがよいのかもしれない。道中のトイレは、どこでも困るものであるが、途中のロッジで借用するのも大変で、結局道端の林の中等で用を足すこともあった。これは生理現象なので、よくないとはわかっていても、やむを得ないことと思う。

 12.カトマンズにて: 市内は埃っぽく、においが強いとよく言われるが、確かに埃っぽかったが、私は臭いが気になることもなく、マスクを着用する必要はまったくなかった。ただ、街は緑が少なく、道路脇にはむき出しの土が多く見られ、一般的に不要であるとは断定出来ない(個人差があるかと思う)。
 治安はとてもよかった。最初、市場などの人込みの中に入るときはやや緊張したが、すぐに慣れてしまい、まったく不安を感じることはなかった。時々歩いていると、おみやげを勧める男が近づいてきたが、”No"と断れば、付きまとわれるということはなかった。道路脇に物乞いをする人は見受けられたが、いわゆるストリート・チルドレンのような物乞いはいなかった。


                                        2008年6月18日 完

                                                      => わんだふる山中湖(戻り)