わんだふる 月山・朝日岳の花 (2)


      
1. 月山(姥沢コース) (8月1日(金))
      
2. 朝日岳(古寺鉱泉コース)1 (8月2日(土))
      3. 朝日岳(鳥原湿原) (8月3日(日))

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2.朝日岳(古寺鉱泉コース) (8月2日(土)) 

 月山ICから4,50分くらい走ったでしょうか、4時頃に古寺鉱泉に到着しました。道路の行き止まり地点がパーキング・エリアになっており、2、30台は駐車できそうでした。ここから200mほど沢沿いに先へ行くと、沢の反対側に山小屋朝陽館がありました。ここは北アルプスなどの山小屋というよりは、ひなびた湯治湯旅館といった感じで、とても感じの良い旅館でした。金曜日ということもあってか、当日は空いており、6畳の畳の部屋に通されました。旅館の主人?もとても親切そうな方で、「登山コース等でわからないことがあればいつでも聞いてください」などと、きさくに話してくれました。小屋の鉱泉も良い湯で、月山での疲れを多いに癒してくれました。夕食は山菜中心の料理で、これがまたおいしかったです。昨年の月山弥陀ヶ原の食事、今年の早池峰山の食事といい、東北の山小屋または民宿の食事はとてもおいしいと思いました(鳥海山の山頂の山小屋はちょっと??)。
 明日の行程をどうするか考えました。山小屋の主人は、「最近は大朝日岳は、ほとんどの人が早朝出発して、日帰りピストン登山です」と話してくれました。地図の行程では、登り5時間40分、下り3時間50分、計9時間30分です。小寺温泉の標高を約700mとして、山頂1870mとなると、およそ1200mの登りになります。昔ならいざしらず、現在の私の体力では???です。そのため、体力が持たない場合は、山頂直下の大朝日小屋(無人)か、かなり下った鳥原山の下の鳥原湿原にある鳥原小屋(管理人はいるが、食事はなし)に1泊することにしました。1泊の簡単な食料は準備しましたが、荷は少しでも軽くするため、シュラフは家内の分1つのみ、スケッチ用具は持たないことにしました。明日は早朝出発のため、早めに寝ました。
 2日、朝まだ暗い4時に起床し、やや空が明るくなり始めた4時30分に、朝陽館を出発しました。すぐに小寺山までの急な尾根の登りが始まります。5時頃には東の尾根の上から太陽が顔を出しました。今日は快晴に恵まれそうです。尾根には大きなブナ、ミズナラ、アカマツ、ヒメコマツが生えていました。その林縁には、かわいい花がたくさん咲いていました。

ギンリョウソウ UnKnown Unknown

 朝日岳は涌き水が豊富で、大朝日岳までに3箇所の水場があり、豊富なおいしい水を飲むことができます。したがって、ポリタンクにたくさんの水を詰め込んでかつぐ必要はありません(山小屋の主人によると、夏場でも水が涸れることはないとのことでした)。6時過ぎには、第1の水場服清水(標高1,000m位)に到着、7時過ぎには第2の水場三の沢清水(標高1,300m位)に到着、それぞれ冷たくおいしい水を補給しました。7時50分、歩き始めておよそ2時間50分で、古寺山(1,501m)に到着しました。花を見たり、写真を撮ったりしているため、標準時間に比べて大分遅れてしまいましたが、もともと急ぎの山登りではないので、マイペースというところです。小寺山から、ようやくどっしりとした大朝日岳の全貌がみえました。
 ここからは、小朝日岳を巻いて、比較的ゆるやかな尾根歩きとなるはずです。そして、ここからたくさんの高山植物がみられました。写真を掲載しますが、まだ名前がよくわからないのが多くあります。

大朝日岳(古寺山から) シナノオトギリ Unknown ミヤマクルマバナ
Unknown Unknown Unknown ヤマハハコ

 少し行くと、小朝日岳の分岐点に出ます。ここを小朝日へは登らず、右を巻いて行きます。しばらくすると、大朝日への尾根筋に出ました。ここからは、すばらしい朝日連峰を見ながらの尾根歩きとなり、まわりはお花畑の草原です。遠くにはまだ雪渓も残っていました。途中に第3の水場、銀玉水があり、とても冷たくおいしい湧水が豊富に涌き出ていました。そのまわりには、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、モミジカラマツ、ミヤマアキノキリンソウ、セリ科の花などが思いっきり咲いていました。

大朝日岳 Unknown セリ科 ミヤマリンドウ
シナノキンバイ ミヤマキンポウゲ モミジカラマツ コバイケイソウ
ハクサンシャジン ムカゴトラノオ Unkown ミヤマウスユキソウ

ようやく10時半ころ、山頂直下の大朝日小屋に到着しました。6時間ほどかかりました。山頂までは、約10分です。山頂はややガスがでていましたが、西朝日岳や竜門山など大きな朝日連峰が見渡せ、大感激でした。小屋はたいへんきれいで、ここで泊まろうかどうか考えましたが、まだ11時というので、ここで一休みして、鳥原湿原までいくことにしました。

 小屋のまわりはお花畑になっており、ミヤマウスユキソウ、ヒメサユリ、クルマユリ、タカネマツムシソウがたくさん咲いていました。ヒメサユリは初めて見ることができました。

タカネマツムシソウ ヒメサユリ クルマユリ 西朝日岳方面(山頂から)
 小屋に泊まりたいという気持ちを抑えて、11時45分に下山を始めました。13時に小朝日岳の直下に着き、そこから急な登りになります。疲れた体に鞭打って、およそ1時間、ようやく小朝日岳山頂(1647m)に到着しました。ここからは、一度下って、それから鳥原山(1430m)を登り、すぐに鳥原湿原に出会いました。3じ半でした。
ショウキラン ブナ林(小朝日岳) カケス

3.朝日岳(鳥原湿原) 
(8月2日(土))


 湿原の側の小高いところに、鳥原山荘が立っていました。中へ入ると、学生アルバイトの管理人が一人だけおりました。この人は、登山途中、軽装でカモシカのように走って登っていた人でした。まだ歩いて小寺鉱泉まで行けないこともなかったのですが、9時間ほど歩いており、また静かな山の中でゆっくりしてみたいと思い、ここで一泊することにしました。宿泊者は、後で来た1名を含めて3名でした。湿原を散歩しましたが、湿原自体はあまり大きくなく、乾燥化が進んでいるようで、ミヤマハンノキなどが湿原の周りを覆っていました。ホソバノキソチドリとキンコウカが咲いていました。木道で休んでいると、黒っぽいノウサギが木道の上をわれわれに向かって走ってきました。こちらが驚いていると、向こうも驚いたのか、手前で湿原に飛び降り、側を駆け抜けて行きました。こんな経験は初めてでした。

水草 ホソバノキソチドリ キンコウカ
 
夕方早めに簡単な食事をとり、疲れていたせいもあって、7時過ぎには寝ました。シュラフはなかったのですが、ヤッケを上にかけただけでもそんなに寒くはありませんでした。夜中に目が覚めたので外へ出てみると、目の悪い私にも、天の川が見えるほど、満天の星空でした。
 3日は、空が明るくなり始めた4時半に起床しました。空は快晴で、さわやかな空気に満ち溢れ、ヒバリの声が聞える朝の湿原は、気持ちを豊にしてくれました。今日は、ここから長い尾根筋をおよそ2時間、古寺鉱泉まで下るだけです。林間の尾根なので展望はほとんどありませんでしたが、途中にはすばらしいブナの樹林帯がありました。東北の山は、ブナの原生林が少なくなったと言われていますが、まだあちこちにすばらしいブナ林が残っているのですね。途中に、黄色いタマガワホトトギスが咲いていました。

 5時に出発し、およそ2時間、7時に昨日出発した古寺鉱泉に着きました。鉱泉に入れないか聞いたのですが、朝はだめと断られてしまいました(この鉱泉は沸かし湯です)。残念・・。
 この後は、大朝日岳のもう一つの登山口、朝日鉱泉に寄って見ました。20数年くらい前に来たことがあるのですが、記憶にはほとんどありません。そのときは確か大雨で断念し、帰ったことだけを思い出します。小屋も新しいようで、「ナチュラリストの家」などという名前がついていました。駐車スペースは狭く、数台がやっとのようでした(鉱泉に泊まる人は別の駐車スペースがありましたが)。

タマガワホトトギス ブナの林

 朝日鉱泉を後にして、一路東京へと思ったのですが、途中に「リンゴ温泉」という町営温泉があったので、そこに寄りました。たいへん空いており、とてもよい湯でした。そこで汗を流し、さっぱりすることができました。東北の出湯はいいですね。


                                                              2003年 8月31日  完

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