第146話:さらに風邪がひどくなった場合。 |
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Queen Laneを抜けると、また現実の世界に戻ったような感じになる。壮麗な建築群は、私にたいした感動を呼び起こさなかった。Blackwellの店舗群を回り、アートとポスターの店でさらに買い物をした。 本を見ていたら、さらにくしゃみがひどくなり、頭部全体が熱っぽくなってきた。顎の付け根あたりを押すと、右側が痛い。 限界だな。帰ろう。くしゃみをまき散らしては迷惑だし。 しかし、外の冷たい風にさからって歩いているうちに、意識が朦朧としてきた。帽子をかぶり、ダウンジャケットのジッパーを顎まであげて、とにかく前へ進む。信号をどうやって渡ったのかも覚えていない。それでも何枚か写真は撮っていた(あとで見たら)。 着いた。まず、熱い湯が出ることを確認してシャワーを浴びる。体を温めて血行をよくし、新陳代謝をよくする。すばやく体を拭き、部分的にマッサージする。持って来た薬から、アスピリン、鼻炎薬、葛根湯を飲む。ティッシュ、水、濡らしてしぼったバンダナを枕元に用意して、ベッドに潜り込む。 発熱は、体がウィルスと戦っている証拠だ。暖かくして水分を摂りじっとしていることだ。 寝つけないのでテレビでSKYNEWSをつけた。冷たいバンダナを目の上に載せると心地よい。テレビでは、サンタナがグラミー賞にノミネートされたと伝えている。マンチェスター・ユナイテッドは明日ブラジルで試合だ。う〜む、こんなところで寝込んでいる場合ではないのだが。 (第146話:さらに風邪がひどくなった場合。 了) text by Takashi Kaneyama 1999 |
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