第144話:風邪を確信した場合。 |
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英国に入ったあたりから、ずっとひどい咳がつづいていた。そして痰。とりあえず、うがいと水分を十分に摂るくらいで、熱もなかったのでそのままにしてきた。 やがて鼻水がひどくなって、ティッシュの消費量が多くなってきた。そして昨日からは、鼻の奥から目にかけてジーンと熱を持っているようだ。いまはくしゃみが激しい。ものすごい風速で繰り出されるため、なんとか横を向いて人さまに迷惑をかけないのがやっとである。 風邪をひいたな。 おそらく、体の疲れがピークに来ているのだろう。マンチェスターでもオクスフォードでも、ホテルに着いてからシャワーを浴びて3時間ほど仮眠をしているのだが、これがまた、いわゆる「泥のような眠り」であって、いかんいかん疲れているぞ、とは思っていたのだ。 どっちにしろ、オクスフォードは休息のために寄った街であり、しゃかりきに歩き回る必要はない。苦しくなったらホテルに帰って休めばいいのである。 さて、と。 帰ってゆっくりした方がいいのはわかっていた。しかし、なぜか足はクライスト・チャーチに向かっていた。 (第144話:風邪を確信した場合。 了) text by Takashi Kaneyama 1999 |
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