BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIAL 1999-2000

CONTENTS

第85話:ミレニアム、メープルシロップ、天使、魂の光。

朝食のテーブルに着く前に、ジョエル(ホスト)からTシャツが渡された。Millennium in Aran。メリー・クリスマス! それがプレゼントの始まりだった。

ニールとターニャ(パタゴニア夫婦)は、カナダから持ってきたメープルシロップを全員に配った。メリー・クリスマス!

イーナ(オランダの老婦人)からは天使のクリスマスカードが、それぞれにメッセージを添えて。

モニク(ミズ大柄)からは、友人の作ったオリジナルのカードが。それは、先史時代の石に不思議なライティングを施した写真だった。魂の光が、ミレニアムを照らす。

エスターとリーズベス(オランダからの留学生)は、ディナーのときのために、(なぜか)ドイツのお菓子やクッキーを用意していた。

思い掛けないプレゼントの嵐。こういう展開はまったく予想していなかった。しかしさて、どう返礼したものか? 礼節の国から来た身としては、なにかひねり出さねばなるまい。たしかに準備はしたのだが、6枚しかない。8枚いるというのに。

ううううううむ。唸っても名案は出てこない。なにしろ、私は折り鶴も折れないし、なんのカードも持っていない。明日のボクシング・デイも贈り物の日だ。チャンスは、明日まで。

(第85話:ミレニアム、メープルシロップ、天使、魂の光。 了)

text by Takashi Kaneyama 1999

CONTENTS4に戻る