第85話:ミレニアム、メープルシロップ、天使、魂の光。 |
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朝食のテーブルに着く前に、ジョエル(ホスト)からTシャツが渡された。Millennium in Aran。メリー・クリスマス! それがプレゼントの始まりだった。 ニールとターニャ(パタゴニア夫婦)は、カナダから持ってきたメープルシロップを全員に配った。メリー・クリスマス! イーナ(オランダの老婦人)からは天使のクリスマスカードが、それぞれにメッセージを添えて。 モニク(ミズ大柄)からは、友人の作ったオリジナルのカードが。それは、先史時代の石に不思議なライティングを施した写真だった。魂の光が、ミレニアムを照らす。 エスターとリーズベス(オランダからの留学生)は、ディナーのときのために、(なぜか)ドイツのお菓子やクッキーを用意していた。 思い掛けないプレゼントの嵐。こういう展開はまったく予想していなかった。しかしさて、どう返礼したものか? 礼節の国から来た身としては、なにかひねり出さねばなるまい。たしかに準備はしたのだが、6枚しかない。8枚いるというのに。 ううううううむ。唸っても名案は出てこない。なにしろ、私は折り鶴も折れないし、なんのカードも持っていない。明日のボクシング・デイも贈り物の日だ。チャンスは、明日まで。 (第85話:ミレニアム、メープルシロップ、天使、魂の光。 了) text by Takashi Kaneyama 1999 |
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