BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIAL 1999-2000

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第56話:朦朧、昏睡、注意力散漫、そして倒れ込んだ。

"Fitzsimon's"で、ギネスを2杯飲んで、しばらく目を閉じていたら目の前のグラスが消えていた。どうも、パブのカウンターにいると安心してしまう習性が私にはあるようだ。

外に出て、HMVでCDを4枚買った。

JAZZトリオが生演奏しているカフェがあった。

マークス&スペンサーの地下でサンドウィッチ、牛乳、サラダ、チョコレートムースを買った。レジでは、自分で品物をカゴから出してベルトコンベア(もどき)に載せないといけないのだが、ぼーっとしていたらしく、ちょっと睨まれた。

グラフトン通りで人込みに流されていたら、男の子に呼び止められた。彼も路上で歌っているバスカーだったのだが、私はその大事なお金の入った缶を倒してしまったらしい。慌てて謝る。

ホテルに帰る途中では、駐車中の車のドアミラーにしたたかに腕をぶつけた。

いかん。完全に赤信号だ。朦朧、昏睡、注意力散漫。

ホテルに戻って、シャワーも浴びずに横になったかならないかのうちに動けなくなった。寝ているわけでも覚醒しているわけでもない。体の中でアドレナリンを合成しているのかもしれない。緊張の反動がいまごろ来たのかもしれない。体が「休め」という指令を出している感じだ。

5時間足らずで復活した。買って来たもので食事をし、シャワーで温まって業務再開。写真の整理、QTVRをWEBに載せるための準備、そしてパノラマ制作。3話〜6話を書き下ろす。ふっふっふ、このくらいのことでめげたりはしないのだ。

(第56話:朦朧、昏睡、注意力散漫、そして倒れ込んだ。 了)

text by Takashi Kaneyama 1999

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