BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIAL 1999-2000

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第40話:「もう、10時にバスは出てしまったよ」

ダブリンのツーリスト・インフォメーションは古い教会のようだった。使われなくなったものを改装したような感じだ。

まずは、ニューグレンジ、モナスターボイス、タラの丘を回る1日ツアーがあるかどうか。次に、街路名で検索できる地図。今後のためのホテル、B&Bのリスト。

バスツアーのパンフはたくさんあるのだが、なぜかニューグレンジのものがない。ニューグレンジの古代遺跡ももちろんだが、ケルト十字架の代表作がモナスターボイスにはある。ひとりで行くとなると、列車かバスとタクシーを乗り継がなければならない。ツアーデスクで聞いてみた。

「ああ、それならもう10時に出てしまったよ」

ちょうど10時だった。しかも、それは今年最後のツアーバスらしかった。昨日、港からのバスを降りたバス・ステーションからの出発らしい。

はっはっは。やっぱり、そうか。もう少し早く出かけていれば間に合ったのかもしれない。でもまあ、今回はきっとこういう巡り合わせなのだろう。そのぶん、ゆっくりトリニティ・カレッジや博物館を見て回ろう。

地図とアコモデーション・リストをもらって帰ろうとして、よく見たら有料だった。もう少しで万引きするところだった。それではいけない。有料なら、いい地図を買っておこう。合わせて5ポンド弱。

次は長距離バスと列車だ。

(第40話:「もう、10時にバスは出てしまったよ」 了)

text by Takashi Kaneyama 1999

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