BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIAL 1999-2000

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第11話:これ以上安全なホテルはない、っていう根拠。

私がロンドンで泊まったロチェスター・ホテルは、ビクトリア駅から南東のWestminster区域にある。静かなのはいいが、散歩していたら暗がりに引きずり込まれた、なんてのはいやだ。えてして、ターミナル駅の付近は治安に問題が多いのだ。

しかし、このホテルに関しては、そういう心配はいらなかった。なにしろ、隣が警察だったのである。いや、建物には何も書いてないけど、パトカーばっかり十数台も駐車してるんだもん。さらに20m歩くと「Royal Palace Police」(たしか、こんな名前だった)というのがあって、警備が立っていた。こういうところにチンピラは近づくまい。

朝のロチェスター・ホテルロチェスター・ホテル。道路をはさんで右奥が警察。

しかし、安眠が保証されているわけではない。いつなんどきでも、緊急事態にパトカーは出動する。めっちゃめちゃやかましいサイレンを鳴らして。

かくして、深夜にロンドンの緊急事態の数を数えながら、私は眠りにつくのであった。

(第11話:これ以上安全なホテルはない、っていう根拠。 了)

text and photography by Takashi Kaneyama 1999

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