BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIAL 1999-2000

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第9話:散歩するにはいい天気・・・本当か?

バスに乗って帰れば簡単だ。1日乗車券もあるし。しかし、ここはロンドン、食後の散歩に歩いて帰ってみよう。すでに夜の8時を過ぎている。空気はしんしんと冷え込む。ほら、散歩にはいい天気でしょう?

West Endをジグザグに南へ。"Half price"の看板があちこちにある。Independentのチケット・エージェンシーだ。どれかはOfficialなはずだが。

遊園地も出現していた。そしてクリスマス・イルミネーション。トラファルガー広場からは、The Mallをまっすぐ歩いていく。しかし、この道はあまりにずーっとまっすぐなので味気ない。途中で右に抜けたらHotel Ritzに出てしまった。

Ritzへと向かう道この角を左に曲がった右がHotel Ritzの玄関。

私は、現在位置と方角がわかれば絶対に目的地にたどり着けると思っている。街路を検索できる地図と磁石さえあれば、大丈夫だ。根拠はともかく、かなり強力な自信をもっている・・・いた。

しかし、どうもこれは道をかなりずれているのではないか? まあ、せっかくだから、戻らずに大きく回るか。

左手にGreen Parkを見ながら、襟をたてる。バス停があった。38番がビクトリアまで行く。10分間隔か。しばらく待ってみて、あまりに寒いのでやっぱり歩き出した。夜中にひとりでバス待ちなんて。30秒後、38番のバスが2台、轟音をたてて通り過ぎていった。

私は、あまりの間の悪さに声を立てて笑い出してしまった。このドジさ加減は全然変わっていない。これがオレだ。それから、鼻唄を歌いながら、道を楽しんで帰った。

"....,oh, baby, you are wonder---ful, tonight".

そして、ほら、ちゃんと帰ってこれたじゃないか。2時間かかったけれど。

(第9話:散歩するにはいい天気・・・本当か? 了)

text by Takashi Kaneyama 1999

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