BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIAL 1999-2000

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第1話:集合時刻に25分遅刻したら、どんなことが起きるのか?

6時50分に家を出る予定だった。JRの成田エキスプレスを使えば、ドアtoドアで2時間はかからないが、例によって京成の特急を使うのだ。

しかし、7時を過ぎてなおまだ作業は終わらなかった。旅行の準備以前の、お仕事が全然進まないのであった。新しいプロバイダにはまだつないでいない。海外からの設定もまだ。とにかくPowerBook2400と通信関係その他もろもろをケースに放り込み、ダダダダダッッッ、とパッキングして飛び出したのは7時20分だった。

集合時間は9時20分。いまさら成田エキスプレスの時刻表を確かめる気もなく、いつものイオカードで上野へ向かう。今回はさすがに荷物がふたつになった。寒い時期に寒いところへ、PowerBookをかついで行くのだ。

上野の改札でひっかかった。なんと、イオカードが10円足りなかった。しのばず口から京成へ渡る信号は長い。ようやく京成上野駅に着いたのは8時9分。8時10分発のスカイライナーはちょうど発売を締め切ったところだった。

次のスカイライナーは40分後。私がいつも使う特急は15分後。今回はスカイライナーでもよかったのだが、結局いつもの特急の方が早く着く。

9時42分。成田空港駅で改札を抜け、検問でパスポートを提示し、エレベーターで出発カウンターへ。団体カウンターは、とにかくはじっこだろう。あった。ふう。

というわけで、25分遅れでチェックイン。え? みんなを待たせて反省しないのかって? 私を待つ人は誰もいないのだよ、明智君。

要するに個人手配の格安航空券はこうしてまるでツアーのように発券されるが、実はまったくバラバラに配られるのだな。だから、20分や30分の遅れは関係ないのだよ、小林君。

ただ、私の「海外旅行・無遅刻・無欠勤」の記録は崩れてしまった。残念だったね、怪人三十面相君。

全日空のロンドンオフィスのアドレスを確認し、今日の空席状況を聞く。優に100席以上の空き、つまりガラガラだ。席も窓側に変えてもらう。

18,000円を英国ポンドに両替し、一応旅行保険にも入る。セキュリティチェックをクリアし、念のためPowerBookを海外製品持ち出しとして申告する。個人旅行だと、帰路に成田空港の税関でチェックされる可能性が高いのだ。

かくして、遅刻なんかまったく関係なく、ボーイング747-400機はロンドンに向けて飛び立ったのであった。しかし、この時すでに私の胸にはどす黒く沸き上がる疑惑があったのだ。もしかしたら・・・

(第1話:集合時刻に25分遅刻したら、どんなことが起きるのか?  了)

text by Takashi Kaneyama 1999

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