BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
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3月20日(水) トリノ滞在

実は映画の街だった。

久しぶりにしっかりと朝食を摂る。とっつきにくそうに見えても、にっこりと"Buon Giorno!"と挨拶すれば笑顔に変わるのだ。コーヒーをサービスしてくれるおねえさんたちのことだが。

今日は昨日の反省に鑑み、バス・市電の1日乗車券を買っておく。まずはカテドラルへ。


トリノの聖骸布の拡大写真(duomo内)。

すでに学術調査で13世紀の布と判明しているのだが、信仰は衰えない。まあ、非合理であっても、いや非合理だからこそ人は信仰するのである。それが強いことはわかっているが、よいことなのかは・・どうもわからない。

ものすごくいい天気で、サングラスの人々多し。遠回りして公園を歩く。なぜかワルガキ風の少年に熱心に話しかけられる。チャーリー・ブラウンがどうのこうの、と言っているが。私をアメリカ人と思っているのかもしれない。あるいは、なにかのカモと思っているのかもしれない。謎だ。

映画博物館がある、というので行ってみた。


フェリーニが使っていた机。


イタリアでは"FURYO"(「不良」? 「俘虜」?)というタイトルで公開されたらしい。


"Star Wars/return of Jedi"で使われた絵コンテ。
ドリーの動きまで精密に指示してある。

この博物館が面白くて、結局3時間以上もいたのであった。過去の名作のおいしいところだけ見られる(「製作者」コーナーではエリア・カザン「Last Taikoon」ほか、「編集」コーナーでは「戦艦ポチョムキン」ほか、「脚本」コーナーでは「市民ケーン」「サイコ」ほか・・などなど)上に、機材や小道具やコンテや衣装がたくさんある。

その映画博物館の上は展望塔になっている。


トリノの北西にはアルプスが連なる。

中途半端な時間だったので、中華レストランで食事。risot al curryを頼んだらそれは「カレーピラフ」で、pork with bitter-sweet sauceを頼んだらそれは「酢豚」だった。

科学アカデミー内のエジプト博物館とサバウダギャラリーを見に行く。まだ3時半だ。2館とも見ようとコンビネーション・チケットを頼んだら、時間がないからどっちかにしろ、という。通常は7時半まで開館しているはずなのだが。

サバウダギャラリーに行ってみれば入り口に手書きの張り紙。なにごとか、と通りがかった若者に聞くと「ストライキだよ。今日は5時半で閉まる。いまなら入れる」ということなのだった。

で、見るのにたっぷり1時間半もかかった。チケットを売ってくれたお姉さんは正しかった。

ブックショップでは小学生が順番に入場してお買い物中。レジのおねえさんはひとりでてんてこ舞い。しかし、「ちょっとだけならいいわよ」と入れてくれた。トリノは親切な人が多い気がする。あるいは観光客ズレしていないだけか。


古本市。

トリノはフランス色が強い。カフェもあるし、女性には"Madama"と呼びかける。そういえばイタリア随一の映画産業都市でもあったのだ。そんなトリノでいまかかっている映画は、次の通り。

photography and text by Takashi Kaneyama 2002

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