BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
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3月14日(木) アグリジェントへ小旅行

「神殿の谷」を歩き回る。

早朝、パレルモの駅でアグリジェントへ往復切符を買った。例によってお釣りをごまかされそうになったが、コインを並べてじっくり説明すると、初めて気づいたかのようにようやく正しい釣り銭を出してきた。

2時間と少しでアグリジェントに着いた。駅構内のインフォメーションで地図をもらう。ときどき英語が混じるお姉さんの説明によれば、歩くのは無謀のようだったので、バスに乗ることにする。しかし、その前にバールでパニーニを食って腹ごしらえ。

バスは、よくわからないけど3番に乗り、よくわからないけど「ゾーナ・アルケオロジカ(考古学地区)?」と聞いて運転手が面倒くさそうにうなずいたところで降りた。わかるもわからないも、そこかしこに見たことあるような古代ギリシア遺跡が点在している。


これはコンコルディアの神殿。

入場券を買って、とにかく入る。「これは博物館も含んでいるのか?」と聞いたら、係員は両手を広げて「ゼーンブ!」と言った。これが実はトラブルの始まりだったのだが、いまはまだそんなことは知らない。


これはエルコレ(ヘラクレス)の神殿。

ひたすら歩き回る。炎天下で脱水症状が心配になるくらいである。ちなみに、ここは1998年にUNESCO世界遺産に指定されている。そういうお墨付きというかブランドというか、「誰かが認定した」云々は好きではないので、どーでもいいのだが。

遺跡のなかの日陰で昼寝もし、天気もすこぶるよい。

いい気持ちのまま、神殿の谷から歩いて考古学博物館へ。しかしここで、神殿の谷で購入したチケットが博物館入場料を含んでいる、いないでトラブルになる。私が買った窓口の係員は「ゼーンブ入っている」と自信満々に言い切ったのだ(あとから思うに、こういうところの人々は何にも聞いてないのだ、たぶん。よくある質問によくある答えを繰り返しているにすぎない)。

結局、共通券の値段は異なるものだったので、私が買った窓口のオヤジが言ったことが間違いであったことが判明。英語のわかるスタッフが連れて来られ、館長らしき人まで出てくる騒ぎになってしまった。

「この件は、きちんと報告して今後こういうことのないように対処する。私たち(博物館)の過ちではないことはわかってほしい」ということなのであった。そんなオオゴトにする気はなく、ただどちらが正しいのか、知りたかっただけなのだが。


たぶん、カリアテイド(人のかたちの彫刻柱)だったらしい巨大石像。

博物館を出て歩いて駅へ。けっこうな登り坂だ。ひいはあ。1405発の列車にギリギリで間に合う。しかし、私が乗った車両はパレルモに行かない、ということなので途中で乗り換える。車掌もとなりの少女もものすごく親切である。ぜーんぶイタリア語だけど。

うとうとしたらしい。目が覚めたら、窓の外は海だった。パレルモだ。

シチリア地方美術ギャラリー(という訳でいいんだろうか?)へ行くことにする。駅からいったん海の方向へ向かう。海沿いは公園というか遊歩道になっている。もうすぐ夕焼けだ。

大きなフレスコ画【死の行進】。この主題もまた「Memento Mori」であるが、聖職者たちが死の騎士になぎ倒されているのが注目される。

photography and text by Takashi Kaneyama 2002

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