BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
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3月6日(水) チューリヒ→ミラノ

チューリヒは意外によかったが、すぐ去る。

ミラノ行きを買う。

午前2時過ぎに目が覚める。時差ボケである。日本時間なら午前8時だ。無理をせず、今後の計画を検討する。

で、スイスは物価が高いので早めにイタリアへと抜けることにする。

メールの送受信。好調なので、ずっとこのホテルにいたい気がするが、それは本末転倒というものだろう。

朝食後、すぐにチューリヒ中央駅へ。今日のミラノ行きを予約しようとするが(予約がないと乗れない列車なのだ)、なかなか順番が回って来ない。ここは日本の銀行のように番号札を引いて待つ方式なので、ソファに座って待てるからいいようなものの。

30分後、やっと窓口へ。当初の希望である11時7分発は「予約できない」。始発駅を出発してしまったか、発売時間締め切りを過ぎたらしい。もとはドイツから出るのである(あとで見れば、シュトゥットガルトを8時2分に出発していた)。予約可能な次の便は13時7分発だったので、それをお願いする。切符を往復にするか迷ったが、「ダイスをころがせ!」でもあるし片道にする。

チューリヒ散策

まだ時刻は9時前なので、午前中はチューリヒで遊べる。ホテルのチェックアウトは11時だったから、この際、いますぐ戻ってチェックアウトしておき、荷物は預かってもらって身軽に歩くことにしよう。

KioskでGazetta dello Sportを見つけたのでもちろん買う。イタリアのスポーツ紙がチューリヒで買えるのか?という疑問があるかもしれないが、この新聞はマンチェスターでもパリでもブリュッセルでも私は買ったことがある。さて、今週末のセリエAの日程はどうなっているのだろうか?

とにかくホテルへ戻って素早く撤収し、チェックアウト。荷物は専用のdeposit roomで預かる方式。外へ出ればいい天気だ。

しかし、天気はいいけど寒い。川沿いにチューリヒ湖へ。


白鳥やら鴨やらアヒルやらが戯れている。

湖を見晴らすベンチにいたら襟元が冷たくなってきた。マフラーかスカーフは必携のようだ。

昨日、Tourist Serviceでもらったパンフを見て、ロマネスク様式のありそうな教会とチューリヒ美術館に行くことにし、ブラブラ歩く。


教会の塔には必ず時計がある(しかも正確)。


橋から川を望む。

Grussmunsterkircheに着いた。すでに扉口からロマネスクだったが、回廊がまた素晴らしかった。

チューリヒ美術館に向かう道Kirchegasseは、古書、骨董、美術品などを扱う店が集まっていた。で、美術館では「ターナー展」をやっていた。ターナーはけっこうスイス風景を描いてるのだ。

常設展示ではセガンティーニとベックリンが圧巻。そんなこんなですでに12時を回っている。ゆっくりと路地をめぐってホテルへ帰り、deposit roomから荷物を請け出す。

中央駅構内ではファーマーズ・マーケット。

ついつい、荷物をかついだままサモサ2個とグァバジュースを購う。疲れたのでビール1杯で席を確保してゆっくり味わう。

ミラノへ。

ホームへ出てミラノ行きを待つ。Gleis 10、Sektor B。ドイツ語圏なのだが、英語が普通に通じるのが思えば不思議。

ミラノへは山と湖を抜ける風光明媚なルートを通って行く。私の席は車両の最前列だが進行方向に対して後ろ向き。向かいには幼児連れの若い女性。

この女性があつかましく、私のシートの脇に巨大なスーツケースを置き(私は座るためにスーツケースをいったんどかした)、隣の席に子どもを寝かせ(その席に座るはずのビジネスマンは遠慮して別の席に移動した)、もちろんテーブルは全面占領した上に、テーブル下に別の荷物を置いている(そのために私は足を伸ばせない)。

しかしまあ、にこやかに挨拶して寛容に接し、心の中で唖然とする。

なにはともあれ、窓の外を湖や湖畔の街や岩壁や森や川が通り過ぎていく。山々の頂には霧にも似た雲がまとわりついていた。

ところが、私は無性に眠くてたまらなかったのだ。だって、日本時間では夜なのだし。昨日のフライトではほとんど寝ていないし。だいたい、出発前に徹夜しているし。

スイスのイタリア語地域を抜け、ルガーノとコモのあいだで国境を越えた。一応パスポートチェックがある。予定よりわずか15分遅れでミラノ中央駅に着いた。

ホテル探し。

まだ5時なので、インフォメーションを探す。しかし、探しに探したが見つからない。キャッシュマシンも見つからない。やっと見つけたVISAが通用するはずのマシンでは跳ね返される。

悩んだ末に、いかがわしげなショップの奥にやっとインフォメーションを見つけるが、そこではホテル予約代行はしていなかった。


この奥にツーリストインフォメーションがあるとは(よく見ると「APT」の表示がある)。

いくつかのホテルにつながる無料電話はあったが先客がいた。ここで腹を決めて、歩いてホテル探しに出発。荷物を背負い、「中央駅の南東方面に安ホテル街」との情報を頼りに歩き始める。

さっそくホテルの看板がいくつも目に入る。今回はひとつ星を狙う。しかし、1番目は満室、ダブルならあるがシャワー共同でE55(55ユーロはこう表記)。ううむ。途中でキャッシュマシンを発見。PLUSネットワークだったのでE200おろしておく。

2番目は完全に満室。3番目はやや高そうだったが、ここもシングル満室、ダブルはシャワートイレ電話テレビ付きでE85。

いつもならこんな高いところで妥協するつもりはなかったのだが、どうやらミラノは見本市の時期でレートも高くなっているらしい。フロントの女性が快活なのが気に入り、ここに決めてしまう。

Hotel Due Giardini、ここになんと4泊もするのだ。Gazette dello Sportによれば、インテル対ユヴェントゥスは9日土曜日のナイター、ラツィオ対ローマのダービーは10日のナイター。つまり、連チャン可能なのだ。

フロントの彼女にインテルポイントの場所を聞く。すると、すぐそばに「TOTIP」という店がある、という。部屋に荷物を置くやいなや、外出してその店を探した。

あった。しかし、それはトトカルチョの店だった。もちろん試合のチケットがあるわけがない。オヤジが笑っていた。

photography and text by Takashi Kaneyama 2002

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