BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
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11月23日・ロンドン→オクスフォード「郊外の宿で。」

オクスフォードへ行く前に。

さすがに3日分の日記と写真のレタッチは時間がかかる。朝食は9時までなのに、8時45分になっても終わらず。仕方なく、途中で朝食を摂りに降り、戻って再開。ふう。

昨日買った小包用の箱に本やら資料を詰め込む。ロセッティのポスターを筒に入れようととしたら・・・入らない。なんとサイズがわずかに小さい。ううむ。何のために買ったんだろうか?

郵便局へ行って小包をエアーで出し、アラブ人のインターネットカフェで通信。ホテルに戻ってチェックアウト。そのままパディントン駅へ歩いて鉄道でオクスフォードへ。

オクスフォードへはバスもあり、安いし便数も多いのだが、ここから荷物をかついでヴィクトリアまで行く気がしない。5分歩けば、そこからオクスフォード行きが出るのだ。

遠い遠いB&B。

ということで、10時48分発に乗り込み、「わずか」13分遅れでオクスフォード駅に着いた。この1月にも来ているので、土地勘がある・・・はずだ。とりあえずツーリスト・インフォメーションに到達し、苦戦の末(まあ、苦労したのは何度も電話したスタッフだが)、1泊45ポンドでダブルのシングルユースを確保。ただし、遠い。バスで行くしかなく、しかもチェックインは2時以降にしてくれ、ということなのだった。まだ12時半である。

こういう時はどこかで荷物を預けて観光するのがツーリストの常道なのだろうが、なんと私は荷物を担いだまま散歩し、さすがに疲れてテキトーなハンバーガーショップに入ってハンバーガーと熱いコーヒーで和んだ。いやはや。

さて、バスで行こうとして乗ったら「違う」と言われた。「?」。なんと、東のHeadingtonへ向かうバスは西向きのバス停から出るのであった。バスはそのままぐるっと回って東へと行く。そういうことか。

途中、きれいな森のそばを走る。おおおっ、と思って降りてしまう。そのまま1マイルほど散歩。しかし、いまだに荷物を背負ったままなので汗をかいた。アホだ。

通りの北側に「Oxford United」の看板があった。オクスフォードにもfootball clubがあるのだ、もちろん。そこはクラブハウスとスタジアムだった。ちょうど明後日の土曜日にゲームがある。面白いかも。2部か3部かは知らないが。

空港行きのバス停もある。オクスフォードから東へ1時間ほど車で走るとヒースローなのだ。よしよし、好都合だ。

なんやかんやでB&Bに着く。なぜかGuest Houseという名前だが、アジア地域とは違ってen suite(室内にバス/シャワーとトイレ付き)、フル・イングリッシュ・ブレックファスト付きのきれいな部屋だ。ダブルは最上階の庭側で広い。いやあ、気持ちいいぞ。

というわけで、シャワーを浴びて4時過ぎまでゆっくり休む。オクスフォードで何かしなければいけないことは何もない。

何をしようか?

しかし、部屋でぼーっとしているのもアホみたいなので、外に出る。ヘディントンには郵便局もレストランもスーパーもある、しかしインターネットカフェはなかった。city centreに出ることにしてバスに乗る。10分でHigh St.に着いた(たぶん)。

ぐるぐる探索して、インターネットカフェを2軒発見したが、接続サービスは望み薄。というより、ここまでラップトップかついでまた帰る、というのは気が重い。8時半からJazz-Rockのライブがあるというので場所をチェック。

ついつい本屋に入る。なにしろ寒かったので。ジャック・ヒギンズの新作ペーパーバックやらエンヤとU2の新作アルバムをチェック。Oxfordにも「A to Z(通りの名前で引ける地図)」があったので買う。

Museum of Modern Artへ。木曜日は6時〜9時が入場無料なのである。ちなみに小売店でも木曜日だけ9時まで開店、というところ多し。で、Matt Mullican展。コンセプチュアル・アート? よくわからん。というか、響いてくるものがなかった。

ライブまでまだ時間があるのでケバブ屋へ。しかし、店名は「Kebab Kid」なのに、チキンとフィッシュ&チップしかなかった。そこでSpicy Fillet Burgerを食べて外の街を眺める。世界中どこもそうなのかもしれないが、人々のマナーがどんどん悪くなっているような気がする。みんな、自分さえよければ他人はどうでもいいのだろうか?

リヴァプールよりも面白いオヤジ。

ライブをやるパブへ行った。8時近いのに、階上ではまだリハーサルをやっていた。ので、とにかく地上階パブで飲んでいたらテレビで「オリンピアコス対リヴァプール」をやっていた。UEFAカップはBBCでやるらしい。リヴァプールが先制、しかし追いつかれ、後半1点取って突き放すも終了間際に失点して2−2の引き分けで終了。アウェイで2点取っての引き分けだから、まあいいようなものだが。

何が面白かったって、ふたつ隣に座ったオヤジで、静かにテレビを見ているのだが、惜しいシュートのときだけ鋭く「Yes!」と叫ぶのである。で、これがセーブされたり、はずれたりすると何とも言えない顔をして悔しがる。一度、独走からGKと1対1、シュートはGKの手をすり抜けてゴールへ・・・入らずにポストに当たって跳ね返ったのだが、かなり長い「Ye----s!」のあと(誰もがゴールだと思った)、あまりのことに立ち上がって壁を1回だけこぶしで叩いた(そこだけコルクボードだった)。こういう、抑制しつつも、つい出てしまう激情を、私は大変好ましく思う。それにしてもバーを叩いて真下に跳ね返ったシュートといい、リヴァプールにはツキがなかったかもしれない。

とってもファンキー。

それはともかく、結局試合を最後まで見てしまったのでもう9時だ。ライブ会場へ行くとまだ始まっていなかった。しかし、席はもうなくて立っているしかない。

で、なんとも言えない古いJazz/Coutryのようなトリオ(エレアコギター、ベース、ドラム)にゲストのアルゼンチンから来たギタリスト、という構成。なかなかファンキーではあるが、なんかピンと来ないなあ、と思っていたら。最後にゲストがフェンダーに持ち替えたら、まったくノリが違う。なにしろそれまでは、チョーキングも使わずチャック・ベリー以前のスタイルで演奏していたのに、急にイングヴィ・マルムスティーンのような演奏を繰り広げるのだ。あれま。

10時に第1部が終わり、2部までいたら帰りのバスがなくなるので帰ることにする。立ちっ放しで足もしんどいし。夜に郊外へ帰るバスは鬼門なのだが(なにしろ何のアナウンスもなく、外は暗闇)、今回は見事にドンピシャで下車。素晴らしい。私でもやればできるのだ。たぶん、酔っぱらってないからだと思うが。

text by Takashi Kaneyama 2000

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