BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
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11月17日・インヴァネス→グラスゴー「マッキントッシュの街。」

ドジ。

旅はすでに折り返し地点を過ぎた。気持ちはとてもリラックスしている。スコットランドも、アイルランドと同じようなホスピタリティと誇りを持っている。インヴァネス、いいところではないか。

・・・しかし、リラックスし過ぎた。駅でグラスゴーまでの切符を買ったとき、財布を窓口に忘れた。すぐに気づいて戻ったのだが、そのときには名前をアナウンスされていた。ああ、恥ずかしい。というか、恥ずかしいだけですんだからよかったようなものの。緊張感がなさ過ぎ。

イングランドでの混乱が嘘のように、列車は定時に発車し、定時にわずか13分遅れでグラスゴー・クィーンストリート駅に着いた。12時58分。素晴らしい。なにが素晴らしいって、これでGlasgow School of Artを今日のうちに見られるからだ。このマッキントッシュの傑作は、いまも美学校として現役なので、平日に2回、土曜日に1回のガイド・ツアーでしか見学できない。今日の2時を逃すと、明日土曜日の午前にしかチャンスはなく、土曜日といえばフットボールの試合日なのだ。

マッキントッシュの美学校。

というわけで、首尾良くツーリスト・インフォメーションでホテルを3泊おさえ、延々15分歩く。チェックインしてすぐに飛び出し、ちょっと迷いつつも坂を上ってGSOAに着いた。しかもツアー開始10分前というタイミング。

内部は撮影が許されていないのだが、ハイライトというかメインディッシュというか、あの有名な図書室はツアーの最後に待っている。入ったとたとたんに「おおおおおおっっっっ」という声があがる、なんともamazingな空間だ。写真は・・・だから撮っちゃいけないのだ、故にない、残念ながら。

鉄道に絶望する。

明日のセルティックスの試合のチケットを求めて、スタジアムへのバス停を探す。だが、寒い上に行き先も経路もわからないので、セントラル駅へ。だが、バスに関するものはなかったのであっさりあきらめ、20日のロンドン行きでも予約しようかと窓口へ。

今週初めに出たヴァージン鉄道の新聞広告によれば、20日から新しいオペレーションで幹線は運行する。なんということはない、タイムテーブルを臨時にするだけなのだが。とにかく、普通の運行状況ではないので、早めに調べておこう、と思ったのだ。

しかし。おじさんによれば、出発は定時だが、到着は遅れる。午前9時38分発で、ロンドン着はおおよそ午後5時。その前は7時20分しかない。これは、単に現在運行している状況の「半分は運休、走っては遅れる」というそのままではないか? 「20日からのnew operationは?」と聞いても埒があかない。どうもこのおじさん、広告のことを知らないみたいだ(ちょっと信じられないが)。とにかく、片道料金を教えてくれ、と言ったら端末を操作している。何をしているかと思ったら「月曜の便は予約できないなあ。コンピューターに入らない」。あのねえ、まだどの便かも指定していないし、予約お願いって言ってないでしょうが。料金なの、知りたいのは。

さて、その料金は? 「76ポンド」。ええええっっっ! 飛行機だってeasyjetなら39ポンドからあるのに。それを、7〜8時間もかかるのに76ポンドだって?(ちなみに、英国鉄道に特急料金は通常ない。寝台車などは別料金がかかるが)。

怒る以前に唖然として去る。「こんなアブノーマルな運行をしておいて、料金はノーマルかい?」とイヤミのひとつも言おうかと思ったがやめておく。Scotrailに比べてVirginRailおよびイングランドの鉄道各社のレベルの低さとやる気のなさには、かなり愕然としてきた。

ペニー・レーンの床屋さんについて。


街は晩秋からクリスマスヘ。

しょうがないので、ブキャナン・バス・ステーションへ。迷った末に着いて、ロンドン行きのブロシャーをゲット。バスなら26ポンドだ。午前8時45分に出て、午後5時20分着。いまや、かかる時間は列車とほぼ同じ。というか、信頼性はこっちの方が高い。料金は3分の1。夜行の便もある。列車の夜行は運休の危険が高い(その上、駅員の言うことも信用できない)し、日中の時間を有効に使えるので一考の価値がある。

あとは、飛行機だな。どこで調べようか・・・と思いつつ、おなかが空いたのでとりあえずホテルへ帰る道すがらでどこか入ろう。

・・・おおっ。と入ったのは書店であった。で、そのつもりはなかったのに1時間以上も長居してしまった。さらにどういうわけか、ビートルズの詩集のペーパーバックを買ってしまった。リヴァプールで「ペニーレーンはあの歌詞のまま、残っている」とあったので、どんな歌詞だったか確かめたくなったのだ。でも、リヴァプールではペニー・レーンに行けなかったのだった。あるのかなあ、床屋さん。

本を買って出たら、すでにほとんどのショップは閉店し、代わりにパブとレストランが賑わっていた。

インド料理店で野菜のパコラとラム・ティッカ、デザートにアイスクリームを食す。pre-theatre menuなのでビールを入れても10ポンド以下。それはいいが、今回の旅行でティッカを食べるのはすでに3回目だ。インド料理店で、なぜかカレーを頼まない習慣になってしまった。

photography and text by Takashi Kaneyama 2000

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