BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIAL

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11月13日・マンチェスター→エジンバラ「遅れてもいい、走ってくれれば。」

言い訳。

VIRGIN TRAINS WILL OPERATE SPECIAL TIMETABLE FOR THIS WEEK AND NEXT WEEK. THE TIMETABLES ARE ISSUED ON A DAILY BASIS, AND DEPEND ON THE EXTENT OF FLOODING AND TRACK ....

冗談じゃない。何が「SPECIAL TIMETABLE」だ。「DAILY BASIS」だ。要するに行き当たりばったりで運行しているだけだろー。

マンチェスターからエジンバラまで、朝の9時から夕方の4時までかかってしまったではないか。予定では1時半には着くはずだったんだぞ。

忍耐。

切符を買ってウィンダミア行きに乗り、プレストンで乗り換えのために降りるところまでは順調だった。18分遅れではあったが、その程度の遅れはもうon timeのうちだ(そういう感覚に慣らされるところが恐ろしいが)。問題はここからエジンバラまでだ。出発予定時刻の20分前になっても出発ホームがスクリーンに出ない。

「また運休か?」

不吉な予感が頭をかすめる。もはや私は「遅れてもいい、運行さえしてくれれば」と思っていた。やがて、「1048 EDINBURGH 3 expected time1108」が出た。とにかく、20分遅れながらも走るらしい。さらに10分遅れ、また7分遅れてようやくホームに列車がやって来た。しかし、苦難はこれからだった。

諦念。

多少の遅れ(といってもすでに1時間遅れ)はもはやいいとして、スコットランドに入って少しして謎の停車。ここで降りて次の列車に乗り換えろ、というアナウンス。しかもそれは「40分後に到着」という。この時点ですでにエジンバラの予定到着時刻を1時間過ぎている。

結局、後発のマンチェスター空港発エジンバラ行きに乗り換えたのは停車してから55分後。エジンバラ到着は4時。私はまだ座れたからいいが。この遅延は、冒頭のおことわりにあるような、洪水とかトラック運転手の抗議行動によって運行に支障をきたしたのではない。こいつは単に車両故障による交換である(賭けてもいい)。洪水云々はいい理由ができたに過ぎない。

1日が始まらないうちに終わった。

まったく、もう。予定では今日のうちに美術館をひとつゆっくり見て、パブでビール飲んで、バッグパイプとかフィドルを聴いているはずだったのだ。

何はともあれ、ツーリスト・インフォメーションでホテルを取ってもらう。中心部に近いところ、というリクエストで、近いどころか中心そのもので取れた。それも本来は65ポンドのダブルを50ポンドで。よしよし。チェックインしてみたら、部屋の中に誰かのスーツケースがあった。????

フロントに電話する。部屋の割り当てを間違えて宿泊中の部屋を寄越したに違いない。フロントに戻って正しい部屋のキーをもらう。で、バスタブもモデム用のジャックもある。買ったばかりの情報誌"The LIST"で今晩のイベントを調べるが、月曜日なのでろくなものがない。もう5時。しばらくテレビを見て休んでから食事にでも行くか。

レストランが見つからない。

7時ちょっと前に出かける。フロントでおすすめを聞く。3軒ほど近所を教えてくれた。自分であたりをつけて1軒と合わせて4軒ほど当てがあれば、何とかなるだろう。

しかし。

なぜか1軒も見つからない。通りの端まで行ってもない。本屋がまだ開いていたので入ってみたりし、ついでにRose St.のパブ通りをぶらついているうちに寒くて凍えて来た。このへんで自分の嗅覚で試してみてもいいのだが、あるはずの店が見つからない、というのはどうも気にくわない。

もはや意地だ。東西の通りを、西の端まで行って実地検分してやろう。

というわけで、やっと<BROWN'S>を見つけて、スコットランドらしくスターターにサーモン、メインにステーキ(アンガス牛)。ボジョレー・ヴィラージュのハーフボトルにデボンシャーのアイスクリーム、カプチーノでしめ。ああ、今日もまた贅沢をしてしまった。

photography and text by Takashi Kaneyama 2000

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