BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
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11月6日・ロンドン→バース「三日月の館」

早朝からお仕事。

当然ながら、朝早く目が覚めた。実は午前1時には起きていたのだが、まるで時差ボケみたいなので自重して午前3時半から作業開始。

5日の日記も作ってアップする。接続したら、史奈ファンの方々からメールが届いていた。感謝。

明日からは通信できないかもしれない。というか、もう、高いところには泊まれないので。

バースで宿を確保したが。

バースへ行く列車はパディントン駅から出る。地下鉄が込む時間帯なので、オクスフォードサーカスを避けてキングズクロスで乗り換えようとしたら、2回も通過で乗り換えられず、仕方なく大回りしてピカデリーサーカスで乗り換えてようやく着いた。おかげで9時45分発を逃して10時15分発になってしまい、ついでに列車は20分ほど遅れ、駅から電話したホテルはその1:「1泊しかない」その2:「シングルはなくてダブルしかない」とふられつづけ、結局バース駅構内の<Guide Friday>にて1泊40ポンドで3泊とってもらう。

なにがよいって、駅から至近、バースの中心Roman Bathにも至近。8日には深夜(たぶん午前1時頃)にロンドンから帰って来ることになっているので好都合。ただし、唯一最大の問題は電話がないことなのであった。ロビーのpay phoneにもデータポートはないし、電話線は壁に直付けだし(ドライバーではずす余地もなく壁の中>って、ドライバーを持ってきている私)。

部屋からは道路をへだてて公園が見渡せる。

気持ちよくシャワーを浴びてから、もらった地図を見ながら昼寝。

雲は重く、風は冷たいが歩けば爽快。

午後2時半、いいかげんお腹も空いたので外に出る。川沿いに散歩すると、なんと濁流というか泥色の流れ。ヨークでは街が冠水しているというニュースをやっていたが。

まあ、最初はここだろうということでRoman Bathへ。不思議な力があるお湯が沸く池の回りに、先史時代から人々が集まって来た経緯が興味深い。ケルト以前から始まって、ケルト、ローマ人、アングロサクソン、ノルマン人、そして19世紀の社交界の舞台へとバースだけでもなかなか華麗な歴史絵巻である。

それはともかく、かすかに湯気が立つ温泉に手をつけてみると、紛れもなく「温泉」以外の何者でもなかった。当たり前か。ちなみに現在は入浴ではなくて飲用する。

小雨だったが、構わず散歩をつづけて<Circle>、<Royal Crescent>という邸宅というか高級集合住宅を見に行く。


三日月だからCrescent。

ジョージアン・スタイルは、装飾的でなくてプロポーションのバランスなので、押しつけがましくなくてよい。いかにもローマ復古的ではあるにしても。

普通の暮らし、普通の幸せについて思い巡らす。

芝生で子どもたちがボールゲームをしていた。街が次第に暮色に沈んでいくさまを見下ろすような丘の上。ふと、日常がいかに愛おしいか、普通の幸せとは何か、について倫理的に考察してみたところ、実は素晴らしい結論を発見したのだが、もう忘れたので書けない。

傾斜した公園を街へと降りながら、バースはいいところだなあ、と思う。標識が完備し、歩道は歩きやすく、街並みは整っていて公衆トイレも多いので旅行者は地図なしで歩き回れる。ツーリズムの教科書のような(実際にカレッジで教えているツーリズム実習の場になっている)街なのであった。

何かを忘れていると思ったら、朝食以来まだ何も食べていなかった。雨が強くなってきたのでショッピングセンターに避難して品揃えを検分。思わずパテやミルクや果物を買いそうになるが、今晩こそはきちんと温かい食事をするのだ。

というわけで、中華レストランで春巻、チンジャオロースー、卵炒飯、青島ビールという定番。

雨もやんだ街をホテルへと帰る。

ここバースでゆっくり休んで仕事を(そう、仕事があるのですよ)するつもりなのだが、睡魔に勝てず。...zzz...zzz...

photography and text by Takashi Kaneyama 2000

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