BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIALスペイン蹴球紀行
CONTENTS
3月26日-27日/マラガ→マドリード→フランクフルト→東京
サマータイムの罠

3月26日(日)

アラームよりも早く起きて、PB2400で作業する。しかし、なぜか通信できない。ふっとメニューバーを見ると「7:32AM」である。あれ? 腕時計では6:32AMである。おかしいなあ。不吉な予感にかられてテレビをつけたが、なぜかどの局も時刻を出していない。

夏時間?

とにかく、作業を打ち切り、荷造りをし、チェックをしてフロントへ急ぐ。どっちにしろ、もともと7時にはチェックアウトする予定だったのだ。

フロントで聞く。「7時です。いや、違う、8時です!」

飛行機は8時45分に飛ぶ。フロントも、乗ったタクシーの運転手も大丈夫だ、というのだが。

0825、空港に着く。チェックインカウンターを探す。長蛇の列だが、もちろん、うしろにおとなしくつくわけにはいかない。カウンターで、航空券をかざして「どこにチェックインすればいいんだ?」と聞く。結局、「キャンセル待ち」カウンターで直前チェックインを受け付けているらしい。そんなこと、どこにも表示してないぞ。

まあとにかく、3WAYボストンを預けて、搭乗ゲートへ。セキュリティチェックのX線だって、並ぶわけにはいかない。「飛ぶ」時刻まであと15分なのだ。誰も先導してくれるわけでもないので、自分で勝手に割り込むしかない。なにやらわめきつつ、くぐる。ヘンな眼で見られている気もするが、かまわず走る。まもなくゲートだ。すでにボーディング・タイムと点滅している。もうタラップが上がっていたりして。

しかし、ここはやっぱりスペインなのであった。搭乗ゲートはあいていたものの、まだ列は長くつづいていた。ぜいぜい。

そしてマドリードへ。着いた。バラハス空港だ。国際線の出るターミナル1までは遠い。しかし、時間はたっぷりある。3WAYボストンをピックアップしてキャリアーを転がし、途中のインフォメーションカウンターではにっこり挨拶する余裕まであるのだ。

で、ルフトハンザにチェックインしようとすると、「Spanairにチェックインしてくれ」という。要するに共同運航らしいのだが。ま、カウンターを移ってチェックインする。クレームタッグが「FRA/NRT」とちゃんと成田まで乗り継ぐことになっているのを、身を乗り出して視認。よしよし。だがボーディングパスに肝心の出発時刻が印字されていない。聞けば1355という。あれ? 1410じゃないの? 搭乗じゃなくって出発時刻だよ? しかも便名が違う。まあこれは共同運航なのでSpanairの便名なのだろうが。数々の疑問はあったが、まあ早めにゲートに行ってみればいいだけだ。

とりあえずセキュリティチェックを抜け、ショップのチェック。今回は重いものは買わない。まずは新聞と雑誌。そして結局サフランを買う。これくらい軽くて高価なものはないだろー。自分用にはシェリー・ブランデーのオズボーン。ダリがデザインしたとかいうボトルのやつ。

ひたすら待って乗ったら・・・リアジェットのいちばんうしろの最悪の席。騒音ものすごく、しかも窓がない。もちろんリクライニングもきかない。設計上、座席を作る予定のないところだったに違いない。しかもオーバーヘッドのスペースには乗務員用のものがいっぱいで荷物を入れられない。これはひどい。あんなに早くチェックインしてこんな席をあてがうってのは信じられない。私は荷物を前の席の下に入れたが、隣の日本人は結局スチュワーデスに頼んでどっかに入れてもらったらしい。

もう二度とSpanairには乗らない、と心に誓って、降りるころ。件の日本人が荷物を出してくれ、と言ったら、今は出せない、グラウンドスタッフに言ってくれ、と言われたらしい。いったいどこにしまったんだ? というわけで、乗客がバスに乗り終わっても彼は地上のスタッフと押し問答をしていた。そりゃあ、スタッフだってよくわからんだろー。あほなスチュワーデスである。やっぱりSpanairには二度と乗らない。

フランクフルトにてコネクションを確認する。画面で見ると1時間遅れである。とにかく搭乗ゲートに急ぐ。その前にパスポートコントロール。なんてことはなく、ゲートで搭乗券をもぎってもらってラウンジへ。さすがに日本人だらけである。

ここは、まず窓側、ついで真ん中、最後に通路側の人が乗ることになっている。今回は最後尾ではなく、ちゃんとリクライニングも効く。

3月27日(月)

さて、時計を進ませて日付けが変わる。というわけで月曜日である。日本時間に合わせて眠る。映画は無視。トイレに立ったついでにストレッチング。

成田に着いて、どうせ荷物が出るまで時間があるのでゆっくり機内から出る。パスポートコントロール。コンベヤーからはもう荷物が出ている。何しろチェックインしたのがスペインで、しかも乗り換えがあるので、本当に出るのか心配だが。みんな大きな荷物である。もうひとりでは持ち上げられないので、手助けしてあげる。

驚くべきことにちゃんと私の荷物が出て来た。さらに驚くべきことに、税関でノーチェックだった。少しは私の高潔な人格が顔に表れるようになったのだろうか。

日本はさすがに寒い。京成の特急に乗り、JRに乗り換え、家に着く。

ひと風呂のあと、<戎>に行く。チューハイとカシラ、中落ち。帰って来た。

text by Takashi Kaneyama 2000

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