BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIALスペイン蹴球紀行
CONTENTS
3月18日-20日/バルセロナ→パルマ、マヨルカ島
ナニがなくても料理はできる

3月18日(土)

マヨルカ島へ飛ぶ、という朝。PowerBookを床に落とした。ああ、通信に1回も成功していないというのに。しかし、なんと無事であった。ホッ。

そしてやっぱりバッグに荷物が入らない。マフラーとTシャツのせいだ。仕方がないので行動用デイパックを動員する。これで荷物は計みっつ。マヨルカ島から郵便で送るか。

サンツ駅のコインロッカーに荷物を預け、懐かしのカタルーニャ美術館へ。ここで早くも疲れたのでミロ美術館をパスして空港へ。チェックインするとボーディングパスにseatはxxx、と印字してある(自由席なのだ)。プロペラ機である。これが噂の格安AIR EUROPA。いざ、マヨルカへ。

ホテルも決まっていることだし、今日からはブルジョアだから、とマヨルカ島の空港からタクシーでホテルへ。これは正解だった。なぜなら、このホテルは市街地図からはずれた高台で、バルセロナの旅行代理店の彼女がくれた地図は間違っていたからだ。

そして、今回、最高のニュース。部屋の中にキッチンがある!

歩いて偵察に出かけ、スーパーを発見。閉店5分前に潜入して食材をゲット。何しろ塩も油もないけど、鍋とフライパンと皿はある。というわけでディナーを作る。


仔牛のソテー、コーン添え
パンチェッタとレタスのホットサラダ
フロマージュ・ブラン、クランベリーソース(写真にはない)
ワインはリオハ

バルサがデポルティーボに勝つ。ううむ。さすが首位争い。

3月19日(日)

やっとインターネットにつながる。わ〜い。

テラスでメールの返事を書こうかと思ったが、まだ寒かった。Tシャツでは。


実は奥に海が見える。

ミロ美術館(ミロのアトリエがある)へ。フロントのお兄さんはタクシーを勧めたのに、それを断って歩くこと1時間。道を聞くこと3回。"Hola!"と挨拶すると、厳しい顔が一瞬で笑顔で返ってくるのが嬉しい。

美術館からは逆に降りてバス停を見つけた。バスで行くと見慣れた通りを行き過ぎた。ああ、どうも逆の道で美術館へ行ってしまったらしい。

バスを降りたところから散歩がてら、Plaza Espanaへ。なにしろ地図がない。バス路線図では、どうもわからん。フロントにはこれしかなかったのだ。島内の各所へ行くバスターミナルなるものはは影も形もない。市場もない。日曜日だからな。エル・コルテ・イングレスは発見。郵便局も見つからない。

でも、狭い路地は楽しい。

マヨルカ対ラシン・サンタンデールへ。とにかく8番のバスに乗る。バスに続々と乗り込むファンで、おりるべきところはすぐわかる。スタジアムのチケット売り場で"Lateral, alta(バックスタンド、高いほう)"と叫んだら、はじっこのすっごい上の席だった。隣はサンタンデールの熱狂的ファンで、フラッグまで持って来ている。

そして試合は1-2で負ける。スタンコヴィッチはまあまあではあった。

歩いて帰る。流れについてきたつもりがだんだん人が少なくなる。遊園地を過ぎる。暗くなる。満月。まだ着かない。見たことのあるショッピングセンター。つまりは2時間25分歩いて最後は結局タクシーに乗る。人のいい運転手は「このへんはよく知ってるよ」とわずか3分の上り坂を行ってくれる。あまりにも短距離過ぎるが、たしかに暗いとわからない。昨日はよく帰ってこれたもんだ。

やっぱり地図がないと辛い。

3月20日(月)

フロントで郵便局を聞く。やっぱり昨日の場所なのだ。

3番のバスに乗り、さらに20分歩いてようやく3日目にしてインフォメーションへ。地図をもらい、ドラック洞窟へ行くバスを聞く。しかし、ターミナルは見つからない。あるのは延々とつづくバス停で、どうやらこれのうちどれからしい。どっちにしろ10時のは出てしまっているので、洞窟かショパンのバルデモサのどちらかをあきらめなければいけない。天気がいいので涼しい鍾乳洞にして、ショパンの雨だれはまた今度にする(今度ってのは本当にあるのか?)。

郵便局を発見した。工事中で、その幕の一部に通路がある。これでは日曜日にはわからない。しかし、ここは受け取りだけらしい。別の窓口のおじさんに聞くと、送るところはやっぱり別で、地図を書いてくれた。行ってみれば小包の箱も売っているし、朝は0830から、夜は2030までやっている。よし、夕方に箱を買って明朝に空港へ行く途中で出そう。

カテドラルへ行く時間はない。ただ、海を見に行った。


海の写真を撮っていたら、突然カップルがひしと抱き合い・・・
別に頼んだわけでも狙ったわけでもありません。

バス停。目星をつけたバスに乗り込もうとする人に聞いたが、わからない、と言う。しかし、うしろのバスの運転手に聞いたらそのバスだ、と言う。う〜む。なにしろ、プレートにはPALMAとしか出ていない。パルマに着いてからプレートをひっくり返していないのだ。ただ30という番号だけ。とにかくPORTO CRISTOへは行く、と言う運転手から切符を買って乗る。

1時間以上は乗っているので、しばらく眠る。あやうくずいぶん手前で降りかけたが、結局、Coves del Dracの前まで行って、終点なのであった。

すごい人数のドイツ人観光客と一緒に洞窟の中へ。生暖かい。イスラムの天井とガウディの柱って感じ。ここの目玉は地底湖でのコンサート。ボートに楽団が乗って演奏する、その楽団というのは通奏低音のオルガンと三人の弦楽器の構成であった。最初、ファーストがわずかにフラット。なにしろ真っ暗ななかでの演奏である。それはともかく、うしろのスペイン人のおばさんふたりに閉口する。大きな体と大きな荷物を持て余してこちらの背中をどつくのである(わざとではないにせよ)。しかもおしゃべりが止まらない。何がおかしいって、「あの子ども、静かにならないのかしら」なんてことを演奏中にしゃべくってるのである。極め付けは、なにやらビニール袋をガサコソいわせている(たぶん、豆かヒマワリの種)。たった15分ガマンできないのだろーか?

カフェでぼーっとしてから帰りのバスを待つ。ほんの少しの遅れ(発車時刻からわずか5分遅い)で到着。蝟集しているドイツ人のみなさんはこれには乗らないらしい。結局、乗ったのは私ひとりだけ。危なかった。

バスの中でまた寝た。着いた、と思ったので降りた。降りてから「もしかして手前で降りたのか?」と不安にかられたが、ちゃんと始発のスポットだった。やれやれ。

エル・コルテ・イングレスで荷造りテープと、食料1,071ptsを仕入れる。郵便局で箱と用紙をゲット。親切に値段まで計算してくれた。片言の英語(先方の局員)と片言のスペイン語(私)で、なんとかなるのである。

タクシーでホテルまで帰る。箱がでかいのだ。バスに乗れなくはないが、両手がふさがっているし。なんとわずか605pts。10分もかかっていない。そうか、こんなもんだったのか。

そしてホテルで、今日こそは、とPowerBook2400に向かう。そばでは夕食が煮えつつある。

text by Takashi Kaneyama 2000

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