BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIAL EURO2000への挑戦
CONTENTS
5月31日-6月2日/パリ→ブリュッセル→アントワープ

5月31日(水)

幸せを運ぶショコラ

早起きしてメールを送受信しようとするが・・・つながらない。たぶん、ホテルの交換機の問題だろうと思うが未確認。結局、パリでは通信できなかった。というより、通信にトライするのが遅すぎるというべきか。

朝食にも間に合わず、Gare du NORDに向かう。最新型TGVのTHALYSでブリュッセルまで行くのだが、発車直前に降りろと言われ、隣のホームの到着したばかりの車両に移らされる。しかし、口頭の指示だけで、表示がなかなか変更されなかったため、難民が右往左往するような事態に。

ちなみに私は中国系の人に「これはオランダに行くのか?」と聞かれたのだが、彼が握りしめている乗車券はブリュッセル行きだった。彼はブリュッセルは"Holland"だと思っているようであった(なお、このTHALYSの終点はアムステルダムではなく、ケルン行き)。しかも、号車の表示が車両のどこにあるかもわかっていなかった。それでも何とかするたくましさが四千年の重みというものか。

さらに、車内で私の隣に座った中国系の青年も、大胆に座席番号を間違えていた。彼は号車番号(VOIT=voiture)を座席番号(Place)と勘違いしていたのであった。しかし、それでなぜ正しい車両に乗り込めたのかは謎である。

ブリュッセル南駅構内の斡旋所でホテルをとる。3500BFをさらに3000BFにしてもらう。ホテルにチェックインして規定料金を見たら、4500BFの部屋だった。最上階でロフト状のため、壁が斜めに切れたりしているが、グラン・プラスまで5秒という地の利が素晴らしい。

で、何より問題は通信がつながるかどうか、ということで・・・。この午後をまるまるつぶしてしまった。つながるのに、送れない。その連続で、どうにか解決してメール送信以外は何とか成功。ただし、ほとんどのトラブルは私のあほなミスのよるというところが情けない。観光や散歩どころではなく、ツーリスト・インフォメーションで地図をもらうことさえできなかった。う〜む。やることの順番が違うような気もするが、まあいいか。

GalerieSt.HupertGalerie St. Hupertにあるウィンドー

お腹がすいたのでブラッスリー"ROUE d'OR"で食事。白アスパラガスのフランダース風、牛肉ヒレのグリルにボージョレーのハーフボトル、デザートには3色のショコラのテリーヌ。いやあ、これがよかった。とくにショコラ。幸せな気持ちで散歩する。夜も9時近いのに、煌々と明るい。どうも私は「食えば幸せ」という単純な性格なようだ。

6月1日(木)

ボートホテルで日が暮れる

つらつら考えた末、メールが送信できないのはローミングアクセスの制限でSMTPサーバーとPOPサーバーの組み合わせの設定が限定されているのではないか、と思って試したらやっと送れた。これがあほなのは、3月に自分で設定しておきながら、ころっと忘れていることだ。まあ、設定が保存できない、というメーラーのバグもあるのだが(後日注:これはバグではなく、私が保存方法に気がついていなかっただけ)。

このホテルの通信環境が確認できたので、6月14-18日の5泊をここで予約することにする。朝食のあと、フロントで交渉。この時期はすでにEURO2000開催期間なのだが、割り増しではなく、若干のディスカウント料金で予約はOK。これでブリュッセルに来た目的は達成。

2時までブリュッセルで遊ぶことにする。軽くグラン・プラス周辺をぶらぶらしてからマンガ博物館へ。"PEANUTS(チャーリー・ブラウン)"の特別展示があり、ライナスが私と同じ年に生まれたことにちょっと感動する。あの毛布を手放せないけど深遠な言葉をはくライナスに、私は一筋縄ではいかないシンパシーを感じてきたのだ。

いや、実は、アール・ヌーボー建築を見に来たのだったが、どうも時代の徒花でしかないような気がする。今度戻ったらオルタ博物館とかもしっかり見よう。で、実はタンタンのカレンダーなんかをセールで買ってしまった(すでに2000年は5か月すぎている)のだが、これがけっこう大きくて、バッグに入らないかもしれない。あほだ。

タンタンのブロンズ像タンタンの像が出迎えてくれる。

それから、ノートルダム・ドゥ・サブロン教会でステンドグラスを見るが、私の好みからすれば明るすぎ、新しすぎる。前に来たときの記憶が、だんだん甦ってきた。

ICでアントワープへ。

アントワープでは10年前、夜遅くなのに駅前のインフォメーションの出張所で格上ホテルを大幅なディスカウント価格でとってくれたのだった。今回もインフォメーションをめざすが、駅前にはなく、プレメトロという地下鉄のなかをトラムが走るという交通機関で中心部へ。なぜかホテルが満杯で難航するが、なんとか3泊を確保してもらう。その住所はボナパルト埠頭。いわゆるボートホテル、かつての客船を係留しているのだ。

埠頭へ行く途中、ウィンドーの中のマネキンが動いた。セクシーな下着姿の女性が窓の中でポーズを取っている。さすが港町、飾り窓はアントワープにもあったのだ。

というわけで、ホテル着。丸い船窓から喫水線も近い、たぶんかつての二等個室。しつらえがコンパクトで、すべてのドアが固定できるところがいかにも船。2000BFにしてはなかなかきれいだ。しかし、外線発信が9か0か、朝食は何時から何時まで、とかの情報が室内にないので、食事に出るついでにフロントに外線だけ聞く。ダイヤル9だと言う。

アントワープ港の夕暮れアントワープ港の夕暮れ

6月2日(金)

アントワープで返り討ちにあう

昨日は食事から帰ってすぐ寝てしまったので、本日早朝から通信にトライ。電話の元の方のアダプタが珍しい形状なので、合わない。電話機側のRJ11を抜いて接続するが、モデムセーバーでは点灯しない。ということで、奥の手の音響カプラーでやってみるが。なんと、ダイヤル9ではフロントにつながってしまった。改めて聞くと外線発信は0だと言う。ええい、昨日のフロントの子が間違えたのか。

ともかく、ようやくつながったのだが、通信速度が2400bpsと極端に遅くて苦労する。ぜいぜい。それでも友人からメールをもらえると嬉しい。一部はおみやげのリクエストだったりするが。

トラムとバスの1日乗車券を買っておいてから、家具の金曜市へ。アンティークというより、リサイクル。市はともかく、タマネギたっぷりのハンバーガーがうまかった。カテドラルでルーベンスの2作≪昇架≫と≪降架≫。前に来たときには修復中だったりしたのだ。そう、今回のアントワープは、前回の仇討ちなのだ。

つづいて王立美術館。ここにいたっては、前の旅行ではオールド・マスターズの作品は改装中でまったく見られなかった。やっと見られる・・・と思ったが、いまとなっては何をあんなに見たかったのか、忘れた。たぶんファン・アイクだと思うのだが、2作中1作品は修復中だった。どうも敵を見つけたのに返り討ちにあったような気分だ。人生、こんなもんさ。

ファン・アイク【聖バルバラ】ファン・アイク≪聖バルバラ≫

目に付いた中華レストランで昼食。Chinese Ravioli with Shrimpsは、海老の小籠包であった。

ミデルヘイム野外美術館に行くことにするが、どのバスかわからず、それ以前にバス停がどこかわからない。とにかくバスで15分、そこから歩いて15分。森の中に彫刻が点在する。入場無料なので、みんな美術鑑賞というよりは、日光浴に来ている。あくせくするのがあほらしくなり、ここで夕方まで過ごす。

ミデルヘイム野外美術館少女が森を駆けていく。

中心部に戻ってスーパーGBで買い出し。スモークサーモン、ラビオリのボロネーゼソース(缶詰)、アベイ・ビール2種、バカルディ・ラムのライムサワー、ミルク、ショコラ・レ(チョコレート飲料)、ブラック・チョコ、クリームチーズ、洋梨2個で395BF(約1000円)。

photo & text by Takashi Kaneyama 2000

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