世界最大のビールの祭典 October Fest

 皆さんはドイツのオクトーバーフェスト(October Fest)というお祭りをご存じですか?

このお祭りは毎年ミュンヘンで開催されているお祭りで、2週間の会期中に訪れる観光客の数が約600万人、飲まれるビールの量が500万リットルといわれています。

 規模・内容・歴史のどの点を取っても世界最大のビールの祭典といわれるにふさわしいすごいお祭りです。

 私は数年前に、この世界最大のビールの祭典のことを知り一度はいってみたいという気持ちを抱いていました。しばらくの間はかなわぬ夢状態でしたが、1993年の9月にまとまった休暇が取れることになり念願かなってオクトーバーフェスト(October Fest)を訪ねることが出来ました。
 折角ミュンヘンまで行きましたので有名なビアホール等にもいきましたので、その際のビール旅行記をご紹介したいと思います。


1.オクトーバーフェスト(October Fest)は、いつどこで開かれる?

 開催される時期は、正確には10月の第一日曜日を最終日とする15日間です。
 その年のカレンダーの都合によっては開催期間の大半が9月になってしまうこともありますので、具体的にいってみようという方は事前の確認をお勧めします。
 ドイツ観光局に照会するとその年の国民のお祭りの日程を記した資料をくれますので、これを見ておくと安心です。
 開催場所はミュンヘン市内のテレジアンヴィーゼという大きな広場です(日頃は牧場のような雰囲気です)。
 ここはミュンヘンの中央駅(ハウプトバーンホフ)から1Km位しか離れていませんので、徒歩でも充分に行けますし、市内を縦横に走っている市電(Tram)の最寄り駅からなら1〜2分程度の距離です。

 開催期間の初日と2日目にはビール会社などが中心になってパレードをやります。パレードにはビール樽を山ほど積んだ馬車や楽団などがたくさん参加します。左の写真のようなきれいに飾りをした花馬車が何台も繰り出します。これを見ただけで私は大いに興奮してしまいました。
 

  馬車や楽団のスポンサーは大手ビールメーカーやビアホール等が多いようです。
  右の馬車のスポンサーはミュンヘンでもっとも有名なビアホールのホーフブロイハウスです。

  ホーフブロイハウスにも行ってビールを飲みました。
  その話は後でまたします。

2.オクトーバーフェスト(October Fest)の簡単な歴史

  もともとは、1810年のバイエルン王国の皇太子ルードヴィッヒとザクセンのお姫様テレジアとの結婚を祝ったお祭りが起源です。

  ルードヴィッヒといっても、ヴィスコンティの’ルードヴィッヒ神々の黄昏’という映画で有名なルードヴィッヒ2世ではなく、そのお爺さんにあたる人です。
  その後もこのお祭りは秋の収穫祭として続き、今日では世界最大のビールの祭典として200年近くの歴史を誇っています。



3.オクトーバーフェスト(October Fest)には入場券はいるの?

  オクトーバーフェスト自体は入場料金というものはいりません。
 ですからわざわざ日本から行ったのに満員で入れないと
 いったことはありませんし、のぞくだけならタダです。
  (そんな日本人はいないとは思いますが・・)
  何度出たり入ったりしても気兼ねはいりませんので、
 滞在期間に余裕があれば何回でもいきましょう。
  かく言う私も1週間ほど南ドイツに滞在していた間に
 合計で3日間オクトーバーフェストに行きました。

  左の写真の楽団の人たちの向こう側にゲートが写っています。
 こんなところから会場へ入っていきます。



4.オクトーバーフェスト(October Fest)の楽しみ(その1)

  オクトーバーフェストの楽しみはなんと言っても、バイエルンの美味しいビールを心ゆくまで堪能できることでしょう。

  もともとバイエルン地方はビールの美味しいところである上に、オクトーバーフェストには何社ものビール会社が各々2,000〜3,000人も収容できる大きなホールを作って、自慢のビールを即売しているわけですからビール好きの人間にはこたえられないくらい幸せな場所です。

  まずビールですが、ピルス(Pils)ヘレス(Helles)という、日本のビールに似た感じの淡色系のビールや、ダンケル(Dunkels)と呼ばれるコクがあって色の濃い濃色系のビール。さらに小麦を材料に使った白く濁った色のバイスビア(Weisse Bier)等があります。

  また、是非飲んでみたいのがこのお祭りシーズンに合わせて仕込まれるオクトーバーフェストビアです。
 ヘレスよりも少し度数が高めでコクも強めです。日本人のビールの感覚で見ると色はかなり茶色味が強いと感じると思います。

  ビールは基本的には1Lのジョッキ(マス:Mass)につがれてきます。
  日本のビアガーデンなどのビールは炭酸だけが強くて中身がうすく、あまり美味しくないので1Lのジョッキなどで出てくると少し考えてしまいますが、ドイツのビールはとても美味しいので1L位すぐ飲んでしまいます。
  私はオクトーバーフェストに出かけたときには、いつも1Lのジョッキを2〜3杯は飲んでいたくらいです。

  左の写真でマスを飲んでいるのは私の家内です。彼女は別に大酒のみというわけではありませんが、難なく1Lを飲み干しておりました。



5.オクトーバーフェスト(October Fest)の楽しみ(その2)

  次は食べ物です。

  ドイツの食べ物は、一般的な評価としてはフランス料理などに比べあまり高い評価を受けていません。

  私も全体としてはドイツ料理はそれほど美味しいとは思いません。料理というよりどちらかというと肉の加工品を中心とする食材を、ただ煮たり焼いたりして出すといった感じの料理ではあります。
  ただ、その肉の加工食品の美味しさは格別といって良いと思います。腸詰めやハムを作らせたらドイツ人は世界一だと思います。
  そんなわけですから、ことビールを飲む際の食事としてはまさにぴったりの腸詰め(ブルスト:WURST)や美味しい肉料理が色々と楽しめ、それなりに充分満足できます。

  右の写真に写っているのは、バイエルン名物の白ソーセージ
    (バイスブルストWeiss Wurst)です。
 これは甘みのある茶色いマスタードをたっぷりつけて食べます。
  皮はかなりプリプリしており、結構歯ごたえがあります。

  奥の皿の料理は豚肉とレバーをこねてハム状にした
 レバーケーゼ(Leberkase)で、これもなかなか美味です。

  一番手前のお皿はドイツ料理の付け合わせの王様ザワークラウト(SauerKraut)
    (キャベツの酢漬けを温かくしたもの)です。


6.オクトーバーフェスト(October Fest)の楽しみ(その3)

  会場の雰囲気もとても楽しみです。

  ドイツ(特に南ドイツ?)を旅行して思うのは、やはりドイツの人は日本人にたいしてとても好意的だということです。
  イギリス人やフランス人が日本人をうさんくさそうな目で見るというわけではないのですが、とにかくドイツ人は日本人に親近感を持ってくれているようです。
  戦後50年を過ぎた今になってこんなことを云うのはおかしな気がするかとは思いますが、中年以上のドイツ人には日本人は第二次世界大戦を一緒に戦って負けた同盟国の人間という認識があるようです。
  私達もある日オクトーバーフェストの会場で中年のおじさんたちのグループの隣で飲んでいたときに話しかけられたことがあります。


  その時のやりとりは、

    ’あんた達はどこから来たんだ?’
    ’ビールを飲みに日本から来ました(ここだけはドイツ語で云う。あとは英語。)’

      この一言でおじさん達はいっぺんに好意あふれる表情に変わる。

    ’俺達はドイツ海軍バイエルン部隊だった。今日はその同窓会みたいなもんだョ’
      (バイエルンに海はないのですが、部隊名としてはあったようです)

    ’そうですか。私の父は日本陸軍の将校でした’
    ’本当か? それなら今日の記念にこれをやろう’

      あるおじさんは、ドイツ海軍バイエルン部隊の紋章のはいった
      バッチを私にくれました(右写真)。

      しばらくそのおじさんと話した後に別のおじさんと話をしました。
      さっきもらったバッチを胸につけているのを見て、

    ’君、このバッチどうしたんだ?’
    ’あのおじさんに記念にもらいました’
    ’そうか、あいつはえらく君のことを気に入ったのだな・・・
     このバッチは僕らグループの大事なバッチなんだョ。
     記念に大切にとっておきなさい。’

    ’そんな大切なバッチなんですか・・・
     記念に大切にします。’

  などといったことがありました。

  このバッチは私のミュンヘン旅行の大事な記念品として今も大切にしています。

  また、会場全体が大きな宴会場といった雰囲気になっており、何千人ものひとが一つになって大騒ぎをします。
  上の写真に写っているような楽隊が会場の真ん中にいます。
  色々な曲を演奏して雰囲気を盛り上げてくれます。さらに、定期的に乾杯の音頭をとってくれてそれに合わせて会場の全員がビールをかざして乾杯をします。
  オクトーバーフェスト版一気飲みといった雰囲気で、乾杯の時に歌う歌というものもあります。
  みんなで一緒にワイワイやるところも日本人とドイツ人は似ている気がします。



7.オクトーバーフェスト(October Fest)の楽しみ(その4)

  朝からオクトーバーフェストにいき、まずどこかの会場に入ってビールを飲んだとします。
  それはそれで非常に幸せな時間を過ごすことが出来ますが、そこを出た後すぐさま次の会場に行ってまた飲み始めるのは少しキツイ感じがします。
  そんな時には遊園地エリアに行きましょう。
  実はオクトーバーフェスト会場はビールを飲む会場がいくつも建ち並んでいるエリアと、遊園地エリアに分かれているのです。
  遊園地エリアには観覧車や色々な乗り物・射的等楽しいものがたくさんあります。
  子供連れでオクトーバーフェストに来ている家族などもあり、みんな楽しく遊んでいます。

  左の写真はその一角をとったものです。
  そんなわけで、ここもオクトーバーフェストの会場の一部ということになります。





8.オクトーバーフェスト(October Fest)に少し飽きたら・・・

  せっかく遠路はるばるミュンヘンまで来たわけですから、町中ものぞいてみましょう。
  ビール好きのあなたなら是非押さえておきたい場所は、やっぱり
    ホーフブロイハウス(Hofbrauhaus)  でしょう。

  ヒトラーが演説した?という話もある有名なビアホールです。

  もともとはバイエルン王家の御用醸造所があったところをビアホールにしたのでこういった名前にしているようです。
  ミュンヘンに行くパックツアーでも、必ずといってよいほどここには行くようですが、だからといって避ける必要はありません。
  やはりそれなりの歴史を感じますし、とても広いお店なので少々団体さんがいても気になりません。
  お客さんが多くて入れなかったといったレポートも読んだことがありますが、私が行ったときは丁度オクトーバーフェストの会期中だったせいか、かなり空いていました。

  ビールの味も南ドイツ風のコクのある美味しいものでした。
  私はウエイターの人にチップをあげて店の名前のはいったコースターを10枚くらいもらってきました。これはとてもよい記念になり、今でも使っています。



 


Morio Murakami Presents 01/Nov/1996 Ver 01. Rel 01. Mod 01
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