審査風景

<スタート>

 JHA 1999 NATIONAL HOMEBREW COMPETITIONの
 審査は、1999/5/3の14:00から千葉県にある私の自宅で始まりました。
 ジャッジ4名、スチュワード2名、オーガナイーザー1名の計7名全員が集合した時点で、まず今回のコンぺがAHAのSCPに準拠した自家醸造コンぺである旨再度確認し、そのあとジャッジディレクターのF氏から審査ルールについて説明がありました。
 右の写真の4名の方が今回のジャッジをお願いしたF氏、A氏、I氏、T氏です。
 
 机上にはビアスタイルガイドラインやスコアシート、ミネラルウォーター、プラスティックカップ、無塩クラッカーなどが用意されています。


<審査>

 ビールの審査は各テーブル2名ずつのジャッジによって1エントリーずつおこなわれました。
 各エントリーはスチュワードによって1本ずつジャッジのテーブルに運ばれます。
 各ビールは事前にスチュワードによって適切な温度に設定された状態でサーブされます。
 ジャッジのテーブルに瓶ごと持ってこられるので、参加者の匿名性を確保するためキャップは黒インクで塗りつぶされ、瓶にはラベル・エンボスなどがあってはいけません。
 応募要項にボトルについてのかなり厳格な規定があるのはこのためです。

 各ジャッジは各エントリーをビアスタイルガイドラインに従って、瓶の状態・アロマ・外観・フレーバー・マウスフィール・全体的な印象などの項目で評価し、それぞれスコアシートに点数・コメントなどを記入します。すべてのジャッジの評価が終わった時点で最終的にそのエントリーに対する得点の相談がなされ、最終的得点が決まります。この得点はジャッジの相談の結果決まるもので、単純な得点の平均ではありません。
 最終得点はカバーシートというフォームに記入され、各ジャッジが記入したスコアシートと一緒にまとめられて1エントリーの審査が終わりになります。
 この審査を繰り返していくわけですが各エントリーの審査には大体10分程度かけることとし、12エントリーの審査に2.5時間位かけるのがよいとされています。1回の連続の審査(セッション)では最高15エントリーまでと決まっています。
 こういった審査ルールはすべてAHAのSCPに決められており、これらのルールを守ってコンぺを実施することではじめてAHA SCP準拠のコンぺといえるわけです。


<最終選考>

 今回のコンぺの最終参加数は30エントリーでした。
 エントリー内訳は
  エール:16 ラガー:7 ハイブリッド:7 で、
 ジャッジ単位は総エントリーを4つに分類しました。
 基準は、
   1. ダークまたはストロングエール
     (ガイドラインで色の範囲がSRM20以上からの
      サブカテゴリーおよび、アルコール重量比重
      4.5%以上のサブカテゴリー)
   2. ライトエール(1以外のエール)
   3. ラガー
   4. ハイブリッド/ミックスド
 です。

 最終選考は4つのグループ毎の最優秀作を各1つ選び、
それをすべてのジャッジ(今回は4名)で再度選考し優勝作を決定いたしました。
 最終選考には3作品が残りました。
 4グループあるのに3作品しか最終選考にのこらなかったのは、
得点が30点以上(Very Good)の作品でないと賞を与えてはいけないというAHAのルールがあり、グループ4には該当作が無かったからです。
 優勝作が最終的に決まったのは19:00過ぎでしたので、全体では5時間ほどかかったことになります。


<パーティ>

 5時間に及ぶ審査を終えて総勢7名のスタッフでパーティをはじめました。
 実は審査はビールを評価する作業ですから、美味しいビールを楽しく味わうという感じではありません。
 好みのビールが出てきたからといってごくごく飲むわけにはいきませんし、逆に旨くないからとか自分の好みでないからという理由で口をつけないというわけにもいきません。結構フラストレーションのたまる面もあるわけです。
 でもパーティではそういったことを気にすることなく、愉快においしいビールを楽しむことができます。
 私たちも今日1日のコンぺを振り返りながらビール談義に花を咲かせて楽しい時間を過ごしました。
 今回ジャッジをお願いした4名の方のうちディレクターのFさん以外の3名の方は自家醸造とは全然関係のないジャッジの方々でした。
 なかには自家醸造のビールを飲まれること自体がはじめてといった方も居られました。
 プロが仕込んだビールと比較した素直なご評価をしていただけるコンぺが出来たと思っております。
   下手な地ビールよりもずっとおいしい!!
   自家醸造ビールのレベルの高さに驚いた!!
 等のコメントもいただきました。

 こうして日本の自家醸造にとって記念すべき1日は、とても和やかな雰囲気の中で暮れていきました。





Morio Murakami Presents 05/Jun/1999
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