わが家のリクガメ達

ヒョウモンリクガメ ホシガメケヅメリクガメ
パンケーキリクガメ ギリシャリクガメホルスフィールドリクガメ



{ヒョウモンリクガメについて}

1995年5月からわが家の一員となった、ヒョウモンリクガメのクリボーです。

西アフリカ地方原産の、最大甲長70cmを越える大型のリクガメです。普通飼育下でも、甲長35−45cm、体重は平均で15kgを越える大きさになります。

G.paradalis paradalis(西ヒョウモン)と、G.paradalis babcocki の2亜種に分類されます。ちなみにうちのクリボーは、アメリカでブリーディングされた babcocki種だと思われます。大型で甲羅の高さもあり、また甲羅の模様も大変きれいなのでとても人気のある種類です。

日本の飼育書にはよく、完全に乾燥した環境で飼わなければいけないと書いてありますが、小さな個体では、乾燥させ過ぎによる脱水死などの例があるようです。蒸れてしまうような環境もいけませんが、ある程度の湿度(40%くらい)は必要なようです。また環境温度も、冬期でも最低20度は保っておいた方がトラブルを防げると思います。

{いままで飼育してきて起こったトラブル}

1年9ヶ月の飼育期間中、1度だけ調子を崩したことがありました。夏に昼間だけ屋外飼育を行っているのですが、外へ出して1ヶ月目くらいに(8月頃)急に食欲が無くなりました。直ちに屋内飼育に切り替えて、様子を見たところ、重度の消化不良の便を排出し(粘液の混じった黄緑色の便),その中に大量の鞭毛虫類の寄生虫が見つかりました。

完全に首を甲羅の中に引っ込めてしまうタイプのカメなので投薬には大変苦労しましたが、なんとか駆虫薬であるフラジールを飲ませました。その後1ヶ月くらい食欲は廃絶していましたが、1日おきの体腔内補液,強制給餌などの治療によって現在は元気になりました。



{ホシガメについて}

ホシガメの幼体ホシガメの亜成体 ホシガメの腹甲。お面みたいです。

インド、パキスタン、スリランカ原産の、甲羅の模様が大変美しいリクガメです。甲長は最大で35cmくらい、メスの方がオスより一回り大きいようで、成長もメスの方が早いようです。日本でも人気があるので時期によっては大量に輸入されてきているようですが、ピンポン玉サイズの子ガメは大変にデリケートで弱く、飼育するにはかなりの努力が必要となります。

また、原産地ではペット取引による乱獲のため、個体数がかなり減少していると聞いています。飼育される方は(私ももちろんですが)そういったことを心して飼育にあたり、何とか繁殖させて、野生からの採集をしない方向にもっていきたいものです。実際、飼育下でブリーディングされたものの方が、採集された子ガメよりもはるかに健康的に成長していくようなので、多少値段が高くてもブリーディング個体を探した方が良いと思います。

飼育は高温を保つことがポイントになりそうな気がします。特に子ガメのうちは環境温度が25度以下になると、てきめんに食欲が低下することが多く、28度以上にしておいた方が安全です(もちろん成長した個体ではもう少し温度を下げても大丈夫です)。ある程度湿度も高くして、水入れも常設しておいた方がよく、自分から水に浸かる姿もしばしば見受けられます。もちろん、空気の流れに十分注意して、蒸らさないように気をつけて下さい。

また特に、カルシュウム、紫外線量の不足により、くる病や栄養性の上皮正体機能亢進症などに罹患しやすいカメですから、食餌中に炭酸カルシュウムなどのカルシュウム剤の添加をすることや、十分な日光浴などを欠かさないようにしたほうがよいでしょう。

{いままで飼育してきて起こったトラブル}

実は現在のホシガメ達の前に、ワンペアのホシガメを飼っていたのですが、残念なことに伝染性の呼吸器疾患から口内炎を併発し、あっという間に相次いで死亡させてしまいました。この時は広いケージに6頭くらい、異なった種類のカメを同居させており、他に2頭のカメを失ってしまいました。この苦い経験から、現在ではなるべく1頭ずつ別のケージで飼うようにしています。

いま家にいるホシガメも子供が多いので、ちょっと油断するとすぐに鼻水を垂らします。この様なときは早めに環境温度を上げて、バイトリルなどの抗生物質の注射をするとすぐに回復するようです。また野生採集個体は驚くほどたくさんの線虫類(蟯虫や蛔虫など)を持っていることが多いので、なるべくはやめに検便と駆虫を行った方が良いと思います。



{ケヅメリクガメについて}

> 右の赤ちゃんが、4年後は左のように成長します。

アフリカのサハラ砂漠周辺、エチオピア、モーリタニア、スーダン、ニジェールなどの地域に生息する大型のリクガメです。ガラパゴス、アルダブラゾウガメといった離島に生息するカメを除けば世界最大級のリクガメで、記録では甲長80cm、体重100kgを越えるものまでいるそうです。現在ではアメリカで盛んにブリーディングされており、日本に来ているものもほとんどがアメリカ生まれのようです。(わが家のスズもアメリカ産です)

何でもよく食べて丈夫で成長も早く、大変飼いやすいリクガメです。うちの子を例に取ると、甲長5cmで購入したものが4年足らずで、甲長40cm、体重9kgにまで成長しました。ただしこのカメ、末は体重40−50kgといった巨大ガメに成長するわけですから、よほどしっかりとした設備を整えて飼わないと、大変なことになります。現在、本当に可愛い子ガメが、昔から見たら驚くほどの安さで売られていますが、購入する前に最大サイズになった時のことを十分に考えてみてください。

飼育についてはあまり神経を使う必要のないカメですが、急激に成長することを考えると毎日の食餌にカルシュウム剤の添加と、十分な日光浴が必要だと思います。水はあまり飲まないタイプのようで、ケージ内に水入れは設置する必要がないと思います。温浴も他のカメに比べて少ない回数の方がいいと思います。

食餌の量が多いので、不適切な食品(特に高蛋白食)を与えるとその影響のでかたも大きく、甲羅が異常に変形してでこぼこになった個体をよく見かけます。飼育下ではなかなか野生の個体のようなスムースな甲羅になってくれませんが、間違ってもでこぼこ甲羅を「カッコイイ!」などと思わないで下さい。

またこれはあるペットショップの方から聞いた話ですが、最近輸入されてくるケヅメの幼体に、いくら食べていても、またカルシュウムを添加してあげても、甲羅がいっこうに硬くならず、何となく虚弱体質のまま死亡してしまう一群があるそうです。どうもブリーディング元の遺伝的欠陥のようですが、注意して下さい。

大きくなったものは、とにかく、食べる、出す(糞や尿の量は本当に想像を絶するほどです)、掘る(すごい力で地面に大穴を開けます)、壊す(行動において迂回するという言葉が彼らの辞書にはないようです。とにかく突進、突進です)なので、予期せぬ事故には十分な注意が必要です。

{いままで飼育してきて起こったトラブル}

4年間の飼育期間で、これといったトラブルもなく順調に来ています。たまに鼻水を出したり、1−2日くらい食欲のないこともありますが、これといった処置をしなくてもすぐに回復しました。



{パンケーキリクガメについて}

うちの2匹は地域差なのか、甲羅の色合いがご覧のようにかなり異なります。

アフリカ東部、ケニアとタンザニアの岩だらけの山あいに住む、大変ユニークな形態をしたリクガメです。その甲羅は他のどんなカメと比べても扁平で、成体になっても特に腹部の甲羅は硬くなりません。甲長は成体で16−17cmくらいまでです。

本来岩の割れ目に身を潜める性質があるので、庭に放したりするときは注意しておかないと、ほんの狭い隙間にも潜り込みます。ちょっとした足がかりがあれば垂直に近いような壁でも登ることができますし、思いのほか足も速いので、逃走には十分気をつけた方がよいと思います。

1回に1個、最高でも年間3―4個しか卵を生まないので、商業ベースのブリーディングはほとんど行われていないようです。原産地でもかなり生息数が減少しているようで、この様な種類こそ何とか我々アマチュアの手で殖やしていかなければならないものだと思います。私の所でも以前ペアで2回産卵したのですが、孵化にはいたらず、残念なことにそのペアも、ホシガメのところで述べた「伝染性の呼吸器疾患」により失ってしまいました。現在の2頭に期待をかけているのですが、この種の場合ある程度数多くの個体を集めたコロニーで飼育した方が、繁殖の可能性が高いといわれています。

小さな個体でも何でもよく食べ、成長も割と早いです。水も割合好きで、自分から水容器の中に浸かりにいく姿をよく見ます。やや高い山にも住んでいるためか、環境温度は25−29度くらいがよく、あまり暑いのは苦手なようです。この種の場合、シェルターは絶対に必要で、それもなるべく甲羅の高さぎりぎりくらいの「狭くてきつい」シェルターを好みます。腹甲を膨らませたり、しぼませたりしながら、狭い隙間をどんどん登っていく姿は、他のカメには見られないユニークな行動です。

他の種類のカメとの同居はできる限り避けた方がよいと思います。うちも昔、ケヅメリクガメの子供やホシガメと一緒に飼っていたことがありましたが、さんざん踏んづけられてストレスになっていたようでした。

{いままで飼育してきて起こったトラブル}

現在飼育中の2匹は特にたいしたトラブルもなく順調に育っています。どちらも野生個体だったので来たときにはかなりの数の蟯虫と鞭毛虫がいましたが、4−5回駆虫をすることで今では検便しても寄生虫は見つかっていません。



{ギリシャリクガメについて}

ギリシャの顔のアップですオスはメスを見つけると、すぐこの様に交尾をします

地中海沿岸地方(トルコ、モロッコ、ギリシャ、スペイン、シリア、イラン、イスラエルなど)原産のカメで、今のところ4亜種(ギリシャ、イベラ、グラエカ、テレストリス)に分類されています。ただしこの分類は将来変更される可能性があるようです。甲長は亜種によっても異なりますが、成体で15−25cmくらいで、メスの方が一回り以上大きくなります。四季のある地方原産で日本の気候にも割とよく順応し、飼育しやすいカメです。日本でも継続的に繁殖されている方もおられます。

この種と次にあげるホルスフィールドリクガメは、冬眠するタイプのカメで、健康な個体であれば日本でも冬眠させることができます。また冬眠させないと繁殖もうまくいかないようです。うちも一番古いもので4年前から飼育していますが、まだ勇気がなくて一度も冬眠させたことがありません。

ギリシャリクガメはイギリスをはじめヨーロッパ各国で古くから飼育について研究されており、そのスタンダードに沿って飼育していけば失敗は少ないと思います。

{いままで飼育してきて起こったトラブル}

今3頭のギリシャリクガメを飼育しているのですが、そのうち1頭のメスの個体が、かれこれ8ヶ月くらい闘病生活を送っています。この個体は成長期に高蛋白飼料(九官鳥フード)を多食したため、急激な成長をしたのですが(甲長5cmのものが1年半で甲長18cmにもなりました)、その高蛋白食の多給が腎臓にかなりの負担を与えたらしく、慢性の腎機能障害になってしまいました。高蛋白食摂取によく見られる甲羅の奇形などは全くなかったので、「まさか!」といった感じでしたが、皆様も十分気をつけて下さい。

現在この個体は強制給餌や体腔内補液などによる治療を継続しています。ヘキサミタ感染による腎障害も考慮し、また、糞便検査で鞭毛虫が見つかったこともあるので、フラジールによる駆虫も数回行いました。今後どれだけ治療に時間がかかるか分かりませんが、自分のミスで病気にしてしまったので、精一杯治療をしようと思っています。



{ホルスフィールドリクガメについて}

ロシアリクガメとかヨツユビリクガメなどといった別名で売られていることもあります。旧ソビエトのカスピ海沿岸地方、アフガニスタン、パキスタン、イラン、中国など広範囲に分布して生息しています。原産地により一応2亜種に分類されるそうです。甲長は通常15−18cmくらいまでですが、25cmもある、「これ本当にホルス!!」という個体を1度だけ見たことがあります。

おそらく日本で一番たくさん輸入販売されているリクガメだと思います。それだけに町のホームセンターや、小さな小鳥屋さんなどで、何も知らないまま売られ、また全く知識のないまま買われていくことも多いようです。私は、結構寒い季節に上野の露店で売られていたのを目撃したこともあります。

やはり四季のある地方の原産なので、比較的日本でも飼いやすく、丈夫です。うちでは梅雨明けから9月いっぱいはギリシャやケヅメリクガメと同様に、完全外飼いです。さすがに10月になると食欲が落ちてきてしまうので、その頃から天気の良い昼間は外、それ以外は屋内飼育といった状態を11月前半まで続け、その後は完全屋内での保温飼育となります。冬眠には来年くらいから挑戦してみようと思っています。(原産地では場所によっては7−8ヶ月も冬眠しているそうです)

屋外飼育の注意点としては、穴掘りが大変得意なので、囲いは十分深く(20cm以上)地面に埋めておかないと、トンネルを掘って脱走される恐れがあります。また完全に土に埋まって寝ているので、踏んづけないように注意が必要です。

値段も安く、ぞんざいに扱われがちなカメですが、まん丸い甲羅と実に愛嬌のある可愛い目をしたラブリーなリクガメで、私の大好きなカメのひとつです。リクガメの入門種としてはうってつけだと思います。

{いままで飼育してきて起こったトラブル}

本当に丈夫で手間のかからないリクガメなので、これといった健康上のトラブルは今までありません。このカメもます現地採集個体なので、購入直後は大量の寄生虫(線虫類)がいましたが、駆虫によってすぐにいなくなりました。たまに軟便になったときに検便をおこなうと、鞭毛虫類が寄生していることがありますが、うちのホルスの場合特に駆虫しなくとも自然に見られなくなります。(もちろん下痢が続くようなときは、フラジールなどで治療した方がよいでしょう)

ホルスフィールドで心配なのは、通年保温して飼育していると非常に太りやすいということです。太りすぎによる内臓障害(特に肝臓や腎臓)が、今後でてくる可能性があるかもしれません。


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