トゲオアガマ ケアシート

このケアシートは、MR.Randall L. Grayのご厚意によって、日本語に訳すことの許可を得ました。

THE UROMASTYX HOME PAGEからの転載です。



トゲオアガマ属のケアシート

Randall L. Gray

イントロダクション

これらの興味深いトカゲ達はここ数年でより一般的になってきた。

残念ながら不幸なことに、これらの種類についての知識はほんの少ししかない。

これから述べることは、この種類を飼育していく上で手助けとなるであろう。

願わくは、これらの種類についての成功例を多くの人々が味わって欲しい。

これらの特異なトカゲの飼育法を確立していくには、すべての爬虫類愛好家が共通の情報として、コミュニケーションをとっていかなければいけない。

分類と分布

トゲオアガマはおよそ13種類に分類される。

これらのトカゲは乾燥した地域に適応しており、北西インド、南西アジア、アラビア半島、アフリカのサハラ砂漠などに分布している。(Moody 1987)

これらの仲間は別名、DAB(叩く)トカゲ、あるいはspiny tailed lizards(トゲのある尾のトカゲ)と呼ばれている。

これらのうちの6種類(U. aegypticus, U. ornatus, U. ocellatus,U. acanthinurus, U. hardwicki, and U. benti)は、時折合衆国内でも見られる。

その他の7種類は滅多に輸入されることはない。

エジプテクストゲオアガマは最も大きくなる種で、全長が30インチ以上、体重は数ポンドにも達する。

その他の種類は通常全長が14インチ以下である。

色彩は種ごとに、あるいは同一の種類でもさまざまである。

エジプテクスとハードウィッキーは、通常、暗ー淡い灰色である。

アカンシュヌルスは、黄色、グリーン、明るいオレンジ、あるいはそれらが混ざった色合いを呈する。

オルナータは、性別によって色彩が異なり、アダルトのオスはグリーンや青緑の地に、黄色やオレンジのスポットが入る。

メスではより淡い色彩の、黄色や茶色、オレンジ色である。

一般的な特徴

行動は種類によっても、また同一種でも個々により異なる。

アカンシュヌルスとエジプテクスのあるものは、大変シャイで、誰かがケージに近づいただけで隠れ家に逃げ込んでしまうこともしばしば見られる。

一方、オルナータはしばしば馴らすことが出来る。

個々によっても異なる振る舞いが見られ、上のような一般論の例外もよくあるであろう。

最近数年間で、大量のエジプテクスとオルナータが我が国に輸入されてきた。

合衆国魚類野生動物サービスによれば、1994年には7000匹のこれらの種類が持ち込まれている。

原因ははっきりしないが、噂によるとオルナータは飼育されて最初の1ー2ヶ月で80%位の動物が死亡したといわれている。

エジプテクスはより頑強で、適切な処置を行えば飼育状態に適合する。

アカンシュヌルスはここ数年、モロッコからの輸入はない。しかしまれにヨーロッパから輸入されたり、個人的に繁殖された個体が出回ることもある。

これらはおそらく合衆国内では100匹以下であろう。

この種類はたとえ繁殖することが一般的でなかろうとも、飼育下の環境には慣れてくれる。

性別

蝋様の隆起した大腿孔の出現と、ヘミペニスの膨らみによってオスは判断できる。しかしながらどの種類でもこれが明らかなわけではない。

オスは頭が大きく幅広であるが、これはしばしば微妙で間違えやすい。

オルナータの性別鑑定は容易で、オスには大きな大腿孔があり、成熟したオスはメスに比べてよりカラフルである。

アカンシュヌルスの性別鑑定はきわめて難しい。

プローブはアカンシュヌルスではうまく使えないし、またこれらの種類では有効な道具ではない。

社会的行動

ほとんどのトカゲはなわばりを持つ。これの意味するところは、オスのそして時にはメスもその生息場所を他の同種のものや、他の種類の動物から守ろうとする。

飼育下ではしばしば、2匹のオスは正面切って戦う。

たとえ激しく攻撃されなくとも、おとなしい方のオスは逆に影響を受ける。

グリーンイグアナにおける調査によると、支配的なオスが見えたりあるいはその匂いがあったりすると、弱い方のオスの成長が遅くなることが分かった。

トゲオアガマのオスは別々に飼うべきであろう。

何人かの爬虫類繁殖家は、メスも別個に飼育しており、繁殖期にのみオスと一緒にするようにしている。

(Matt Moyle, 個人的な手紙)

それぞれのトカゲはその特有の環境に適応している。

その種類における生息地のマクロ的またミクロ的な知識が、ケージをセットアップする場合に考慮されなければいけない。

しかしながらトゲオアガマの生息環境については、わずかに限定された情報しかない。

一般的にいって、この種類は砂漠において発見される。それゆえ、砂漠の環境を設定するのが最良であろうと思われる。

ケージはガラスの水槽、金属製の物入れ、あるいは木箱でよい。

床材には、砂、泥、新聞紙などが用いられる。登ったり、ひなたぼっこをするために、岩やその他の物をケージ内に設置する。

岩のような重たい物は、安全のため固定する。そうでないとトカゲがその下を掘ることによって石が崩れて押しつぶされる恐れがある。

動物が落ち着けるように隠れ場所を用意する。この事は特に妊娠しているメスには重要なことである。

トゲオアガマは夏期の間は外で飼育すべきであり、合衆国南西部の気温が滅多に16度を下回らない地域では通年外で飼育できる。

さまざまな外飼い用ケージが作られており、簡単な物では金属のシートを30cmくらい地面に埋め込み、地上の高さを60cmくらいとった囲い(高さは動物のサイズによって調整する)でもよい。

室外ケージはワイヤー製の蓋をして、外敵の侵入を防ぐ。(猫、鳥、アライグマなど)

温度

これらのトカゲは熱い砂漠気候に適応している。

昼間のケージ内のバスキングスポットでは、温度は49度を超えることもある。しかしトカゲが32度以下の低い温度域に逃げ込めることができるようにしておく。

バスキングスポットには白熱電球を用いることができる。そのワット数はケージの大きさによって調整する。温度計をケージの両極端部におき(最高温度域と最低温度域)、適切な温度勾配がとれているかモニターしておく。

床置きのヒーターを下部に敷いて、補助熱源とする。しかし彼らは昼行性であり、その体温は太陽光を浴びることによって得ている。であるから、スポットライトはこれら昼行性のトカゲの熱源としてはより自然な物である。

夜間の気温は昼の高温よりも下げなければならない。温度は20度くらいまで落とすようにする。


紫外線はほとんどのトカゲにとって重要な物であるといわれている。

フィルター越しでない太陽光線(例えばガラス越しでないもの)は、最良の紫外線源であり、トカゲは可能な限りいつも太陽光を浴びようとする。

いくつかのフルスペクトラムランプが市販されている。

それれに最も要求されるのは、太陽のスペクトラムを模倣したものであるということである。

しかしそれはあり得ないことで、太陽のような強い紫外線を放出するものはない。

これらの蛍光管が有効であるといった仮定を支える科学的な調査はなされていない。しかしながらこれらはトカゲに対して心理的な恩恵を与えるといったような証拠もあり、使用は推奨される。

新しい、ZOOMED社のフルスペクトラムランプは、市販されているどのフルスペクトラムランプよりも高いUVA,UVBを発生するので薦められる。

水分

ほとんどの砂漠棲の種類は飲水する事なしで生きていくことに適応している。

オルナータトゲオアガマの生息地であるシナイ半島は、年間降水量が5cm以下である。

多くの種類で、その水分摂取は食物から得ている。

ある種のトカゲ、オーストラリアのモロクトカゲや北アメリカのツノトカゲなど、においては、朝露を集め、鱗の下の導管を通じて口に運ぶといわれている。

多くのエジプトトゲオアガマの飼育者が、トカゲを水に浸け、それらが水を吸って膨らむと主張している。

動物が実際に水によって膨れたのか、あるいは体腔内に空気を取り込んで膨れたのかはよく分からない。

考慮して欲しいのは、これらは砂漠棲の種類だという事である。水に浸けるということは乾燥した状態に適合した動物にとってはあり得ないことであり、動物を水に浸けた後完全に乾かさないと、呼吸器系の感染症に罹患する可能性がある。

水分は、たまに容器に入れて与えればよい。

水容器は長時間ケージ内に設置すべきではなく、あるいはそうするとケージ内の湿度が許容レベルを超えるほど高くなるかもしれない。

幼体のオルナータは水をケージの壁にスプレーすることによって、水分摂取ができる。

食物

トゲオアガマは動物性のものも植物性のものも摂取する、雑食性の動物である。

この種における特定の栄養要件はデーターがないので、さまざまな種類の食物を与えなければならない。

若い者は、ワックスワームやコオロギ、スーパーミルワームなどの昆虫を、よりすぐに受け入れるようになり、これらを週に3ー4回与えるようする。

以下に述べる野菜も与える。

ケール、コラード、カラシナ、サツマイモ、ニンジン、豆、コーン、ミドリ豆。

さらに、タンポポの葉、アルファルファ、芝草、花なども食餌に加えることができる。

split peas, レンズ豆, navy beansなどの豆類もまた与えることができる。

これらの豆のいくつかは与える前に発芽させてもよい。

鳥の餌のシードもまたサラダに混ぜることができる。市販のイグアナ用の人工飼料もサラダに混入し、よりよい栄養を与える。

これらの種の栄養要求量は簡単には分からないという指摘がある。

何人かの爬虫類繁殖者、彼らは若いエジプテクスとアカンシュヌルスを育て上げているが、成長率の遅さを報告している。

例えば、私は約8cmのエジプテクスの繁殖個体を2匹手に入れた。

8ヶ月で、1匹は12.5cmになり、もう一方は28cmになり、体積も増していた。

飼育法の違いは唯一、大きくなった方には昆虫を与え、小さいものには与えなかった事だけである。

私はまた、アカンシュヌルスの繁殖個体でも遅い成長を観察している。

繁殖

いくつかの動物園(Christie 1993, Thatcher 1990, Wheeler 1988)と個人の繁殖者が、エジプトトゲオアガマとアカンシュヌルストゲオアガマの繁殖に成功している。

しかし繁殖は継続的にできているわけではない。

すべての成功例で、繁殖者は冬期の低温を与えることで繁殖を刺激している。

聞くところによると、トゲオアガマは数年で性成熟期を迎えるといわれている。対照的に、生態学的に似ている北米のチャクワラは、性成熟に達するまで5ー7年を要する。

小型のトゲオアガマでは2ー3年で性成熟に達する。

参考文献

Christie, Bill. 1993. The Egyptian spiny-tailed lizard at the Indianapolis Zoo. Captive

Breeding 1(3):20-25.

Moody, Scott. 1987. A preliminary cladistic study of the lizard genus Uromastyx

(Agamidae, sensulato), with a checklist and diagnostic key to the species. In

Proceedings of the Fourth Ordinary General Meeting of the Societas Europaea

Herpetologica; (eds.) J. J. van Gelder, H. Strijbosch and P. J. M. Bergers.

Thatcher, Terry. 1990. The reproduction in captivity of the North African spiny-tailed

lizard, Uromastyx acanthinurus. British Herpetological Society Bulletin. 40:9-13

Wheeler, Scott. 1988. Husbandry of the spiny-tailed agama (Uromastyx acanthinurus)

at the Oklahoma City Zoo. In Proceedings of the 11th International Herpetological

Symposium on Captive Propagation and Husbandry. (ed.) Michael J. Uricheck.


go index インデックスページへ go uromastyx トゲオアガマのページへ