壁に掛けられた先祖

白族の村で中元節を取材した。要するに、日本のお盆のこと。この時期に先祖は帰ってくる。先祖のために祭壇に、門の前に、先祖をあらわす様々な切り紙を飾り、そこに先祖の名前を書いておく。最終日、それらの飾りを庭で燃やし、その灰を近くの川に流すのである。この習俗は、実は、漢族も盛んに行っている。中元節の日に、大都市昆明に戻ったとき、市民は、燃やした灰を道路に捨てていた。先祖の霊が帰ってくるという、いわゆる迷信を、実は、中国の人々はほとんど生活の習俗として保持しているのである。迷信といいながら、先祖の霊を迎え送る。日本人とこれも同じだ。今、中国は、法輪効の問題もあって、迷信に敏感であるが、この、先祖をまつる迷信だけは、誰も止める人はいない。2000.8.13 白族の村落にて