壁とこども

今年もシラピン村に行った。あいかわらず、子ども達は元気だった。しかし、高度3000メートル近い村は貧しいままだ。村人に村の概要を聞いたとき、収入を尋ねると、声を落としてわれわれの村は貧しいと語った。聞かなくてもわかることを何故聞いたのか、反省をした。中国の村をある光景で語るなら、壁である。煉瓦の壁、石の壁、漆喰でできた壁は、自然にちょっと加工しただけだが、その壁づくりから、彼らの文化の基礎は始まっている気がする。壁の前を彼らは無表情に歩き、こどもたちは遊ぶ。いつのまにか、壁という一つの自然の前に、彼ら自身がとけ込んでしまっているような印象さえ受ける。2000.8.24 小涼山のイ族、シラピン村にて。