イ族の若者は歌う

 イ族のシラピン村で、若者に歌を歌ってもらった。彼らは、白族の若者のように歌を掛け合う文化を現在は持っていない。かつて持っていたかどうかは、よくわからない。ただ、神話を掛け合いで歌うことが出来るというので、歌ってもらうことにしたのだが、実際は、彼らはほんのワンフレーズしか歌えなかった。歌えるのは、今では年寄り達であるという。若者は、悲しい愛情の物語の歌や、現代的な歌謡を合唱した。それはそれで、楽しいものだった。イ族は恥ずかしがり屋だ。そういう彼らの表情は、われわれ日本人とよく似ている、という気がする。むろん、今の日本人にはなくなってしまったとも言えるのだが。イ族の娘さん達の服装は正装。帽子は、既婚の人と違って、華やかに飾ってある。それに比べると、男達はいつもみすぼらしい。でも、この村の男の子達は、とても、ピュアに見える。あまりにわれわれがピュアでなくなった、そのひが目かも知れないが。2000.8.26シラピン村にて。