土産物の仮面

 麗江の街の店先にあった土産物の仮面。たくさんの土産物の中に埋もれて、彼らは、自分が何であるかを知らない。が、こうやつて、彼らだけを写真に撮ってやると、突然、自己主張をし始める。今、この写真の中で、彼らは、十分に呪術的な力を発揮しようとしている。彼らがかつて属していた、少数民族の村の中では、彼らは厳かな儀式のなかで尊重されていた。しかし、今では、こんな風に、形も変わり、観光客の物珍しげな視線にさらされる毎日だ。しかし、その心の奥底では、昔、偉大な霊力をでもって人間に恐れられていたその思議な力をきっとどこかで発揮してやろうと虎視眈々とその機会ねらっているのだ。2000.8.26 麗江の店先で。